魔王に堕ちて討伐されたけど、何とか生きてます。

ノベルバユーザー255848

第78話 メルダ陥落

 「西門が突破されそうです!! 」


 「南門を手薄にするわけにはいかん! ヴェルナー卿に対応をお願いしろっ!! 」


 第3王女エレーナのメルダ攻略軍に、パーヴェルがいる本陣から5,000が増員されたのが8時であり、9時過ぎから全軍がメルダに攻撃を開始した。
 外壁からメルダ守備隊の攻撃に曝されるのを、怯まずに取り付こうとする帝国軍の様子に肝が冷える思いをマルティーナは味わった。


 現在メルダは、主要である南門をメインに西門及び東門も攻撃に曝されている。
 破城槌は昨日に破壊したが、カタパルトは依然として健在であり、南門に配置されたマルティーナは物理防御に専念せざるをえなくっている。
 10名いる魔法師は、3名ずつ東門と西門に配置されており、南門にはマルティーナを含む5名で、エレーナ軍の攻撃を防御に専念している。
 敵の魔法師の攻撃をマルティーナ以外の4名で対応しているため、手が間に合わずに町や兵達にも被害が及んでいる。
 外壁にも損害が出始めるのを魔法を発動させながら、苦虫を噛み殺した表情でマルティーナは睨むことしか出来ない。
 門を破壊されたら敵兵が雪崩れこむのは誰しもが予想出来る。自身の付近にも帝国軍の魔法攻撃や弓兵の矢が届き出しているが、ここを離れるわけにはいかなくなっている。
 今も帝国軍が弓なりで放った矢が頭上から降り注ぐ。


 「大丈夫ですかっ!? マルティーナさん! 」


 マルティーナは、防御魔法を継続するために回避仕切れない所をサーラブに切り払われて救われた。


 「くっ、ありがとうサーラブ…… 避難状況はもういいの? 」


 「後は最後のグループだけです。冒険者達に任せて私はこっちに来ちゃいました。」


 あっけらかんとした様子で、マルティーナに話すサーラブに毒気を抜かれてしまう。


 「来ちゃいましたって…… 言っとくけど、ここもそう長くは持たないわよ…… 」


 帝国軍の魔法師部隊の攻撃を防げなくなっている。外壁も削られ、守備兵が敵の梯子をなんとか外しているが、その兵も攻撃に被弾している。外壁の歩廊にいる兵達の犠牲も看過できない状況であった。
 帝国軍の攻撃は苛烈を極めだしている。メインである南門よりも小さいが、西門側はもう破られる寸前である。ヴェルナーが向かったが、もう少しすると市街戦に突入する可能性もある。


 「敵兵の侵入を許した場合、マルティーナさん達はどうするんです? 」


 自身が得意とする矢を射掛けながら、サーラブは守備兵やマルティーナ達の行動を問い掛ける。


 「北門から脱出するために、町の北側にある町舎で時間稼ぎね…… 帝国軍を食い止める役割りは状況に応じてになるでしょうけど…… この南門にいる時点で、退くのは最後になりそうね…… 」


 「まぁ、ここを破られたら終わりですからね…… 自然と殿しんがりになっちゃいますよね…… 」


 貧乏くじを引いた形になってしまったなと思いながらも、どこも一緒なのは変わりない。退いた瞬間に背後から敵兵が迫ってくるのには同じである。


 「住民達の最終グループが北門より脱出したと連絡が入ったぞ!! これより我々は可能な限りここで帝国軍を食い止める。突破されそうになったら、急いで町舎まで退けっ! 」


 「とは言っても…… 」


 「もはや退くタイミングがないですよね…… 」


 守備隊長の言葉通りに退けるかどうか難しいとマルティーナ達は考える。皆が退いたら即座に帝国軍は雪崩れ込んでくるだろう。
 住民達が町から退避出来たので、一応の目的は達せられたことに守備隊の面々は安堵する。しかし、自分達がここから生きて脱することが出来るとは思えない。その事を改めて認識すると、皆が悲壮感漂う表情を浮かべるのを止めることは出来なかった。









 エレーナ率いる帝国軍は、メルダを3方向から攻めている。今朝がた5,000の兵が増員された事がそれを可能にした。
 町の北側は森に接しているため攻めるには容易ではなく、相手の逃げ道を残しておくのも攻略しやすくなるため敢えて見逃している。


 「兵達は、残念がるでしょうけど…… まぁ住居内に残された財産をある程度分配すればいいでしょう。」


 ここは敵国であるので、帝国軍の兵達も蹂躙するのを躊躇わない事は明白であるが、もう住民はほとんど逃げているだろうとエレーナは当たりをつけていた。


 「あの魔法師、アルラオネの直弟子とやらは生きて捕らえなさい。何としてでも私の眼前に引摺り出しなさい! 」 


 「姫様、準備が整いました。」


 側近がエレーナに耳打ちをする。その言葉にエレーナは獰猛な笑みを以て反応した。


 「夕方には間に合ったわね。属性としてはあまり多くはない土魔法師の儀式魔法…… 破城槌を破壊されたからといっても他に手がないわけではないわ。伊達に帝位継承争いをしていたわけではないことを知らしめてやりなさい! 」


 土魔法師達10名による儀式魔法が発動態勢に入る。土属性は少なく、ロサリオもアルラオネも、そしてマルティーナやアメリアも持ち得ていない。
 この魔法は帝国で発展を遂げたオリジナルである。


 「さあっ! 門と外壁を抉じ開けなさい!! 」


 『グロースプファール』


 土属性の魔法師達が織り成す魔法が形成されていく。 大人が10人手を繋いで、やっと囲むことが出来る程の大きさの石槍である。先端がメルダ南門方向に照準を併せてるかのようにゆらりゆらりと揺れ動くのを今か今かとエレーナは待ちながら、前の獰猛な笑みを湛えながら見つめる。
 そしてピタリと制止したのを確認して吠えるように叫ぶのであった。


 「放ちなさいっ!! 」









 外壁からそれを見たマルティーナは、その魔法に込められている魔力に驚愕し、サーラブや守備隊に叫ぶ。


 「なっ!? なんなのあれはっ…… 皆早く下がりなさいっ! あんなのくらったらひとたまりもないっ! この人数の魔法師ではとてもじゃないけど防げないわっ!! 」


 マルティーナの取り乱す様を見て、エレーナ率いる帝国軍の後方に巨大な石槍を守備隊達も見つける。もはや槍というよりも巨大な杭の先端がメルダに向いているのを確認し、逃げ惑い始めた。


 「そのまま町舎まで引きなさい。行くわよ! サーラブ。貴方も早くなさい。」


 マルティーナは、呆然と固まっていた守備隊長を急かすように怒鳴りつける。
 メルダ守備隊長の名のとおりメルダをよく知る人物であるため、彼の指揮下に入ってはいたが、本来は宮廷魔法師団に所属しているマルティーナのほうが位は高い。
 若い女の魔法師に怒鳴られ我に返り、不快感を顕にしたが、マルティーナの着ている宮廷魔法師団の正装を見て、本来の立場を思い出す。


 「……承知しました。全員町舎へ撤退!! 」


 「来たわよ!! 」


 帝国軍の魔法師達から儀式魔法が発射され、南門に着弾する。


 ドゴォォォオオオオンンッ!! 


 門だけではなく周囲の外壁もろとも破壊されてしまった。素早くマルティーナとサーラブは、外壁から飛び降り事なきを得たが、逃げ遅れた守備隊長や門付近にいた守備隊員達は肉片と化してしまった。


 「私の身体能力じゃ、この程度の外壁の高さとはいえ厳しいかと思ったけど…… この指輪様様ね。」


 昨日の戦闘で魔法攻撃とはいえ、かなりの人数を倒しているので多少はレベルが上がってはいるが、専任魔法師ということもあり、身体は全く鍛えていないマルティーナが4m程度とはいえ、外壁から飛び降りて足を痛めることもなかったのは、偏にロサリオから送られた指輪の効力といえるだろう。 


 「生き残った者達は直ぐに町舎に退きなさい! 北門からの撤退の体制をそこで整えるわよ。」


 マルティーナは辺りに声を掛けながら、サーラブと共に町舎に向かって通りを駆けて行く。
 もはや一刻の猶予もない。土煙が晴れ、破壊後の検分と索敵が終われば雪崩れこんでくるだろう。 唯一の救いは、敵が放った魔法の残骸である巨大な石槍が横たわっているため、侵入路が狭められていることぐらいである。


 「あのデカブツのおかげで少しでも町への侵入の勢いが削がれれば…… っ!? 何? 」


 町の西側からの喚声が聞こえてくる。もはや怒号と言っても差し支えない音量だ。


 「マルティーナさんっ! どうも西門側が突破されたようですっ!? 」


 サーラブは人族よりも鋭敏な聴覚を以て、聞こえてきた叫び声の内容を理解した。


 「今はヴェルナー卿が西側に対応してる…… このままじゃ南門から侵入してきた帝国軍に挟み撃ちにされるわっ!? 」


 「どうします? 退くように伝えに行きますか!? 」


 「ダメね…… そうしたら私達も町舎へ退けるかわからなくなるわ…… 町舎へ撤退する段取りは知っているはずだから、後は任せるしかない。」


 今ヴェルナーが交戦している西門へ向かえば、南門からの帝国に飲み込まれてしまう可能性が高い。苦渋の決断を下しマルティーナ達は町舎へ入るのだった。
 そこには100名程の守備隊員がおり、東門側からも撤退してくる兵達が見える。
 しかし、守備隊長は戦死しており、軍事行動となると町の守備隊の面々は軍内部における位は高くない。しかも魔族侵入を監視するための砦建設に増員された兵は、皆が総じて若いため、必然的に階級も低い。
 騎士、もしくは貴族であるヴェルナーがここにいれば指揮系統が確立されるが、守備隊員の中に騎士はおらず、ヴェルナーもまだ西門側から撤退してきていない。
 マルティーナは、混乱している町舎内の兵達の状況を歯噛みしながらも確認するのだった。


 (ここは誰かが無理矢理にでも陣頭に立たないと、帝国軍の足止めも撤退も纏まらない…… )


 「聞きなさい! 私はローゼンベルク魔法師団所属のマルティーナよ。先程南門で守備隊長は戦死したわ…… よって今から臨時で私が指揮を取ります。」


 「しゅ、守備隊長が…… じゃあこれから俺達はどうすれば…… 」「早く撤退だろ!? 」「でも西門ではまだ戦闘が! 東門の奴等もまだ…… 」


 守備隊長の戦死の報告で兵が右往左往し出す。混乱時に頭となる人物がいないと、皆が不安で押し潰されそうになっている。しかも全員が実戦経験も乏しい10代の若い兵や、長年このメルダで守備隊をしていただけの現地兵だけである。
 まだ正規軍のような軍事訓練に乏しいのが、この混乱の仕方で判る。
 マルティーナとて若すぎるといえる年であるし、宮廷魔法師は陣頭指揮をとらずに参謀や騎士の指揮下においての戦術的役割がほとんどである。荷が重いと言わざるを得ない。
 サーラブはそんなマルティーナの状況に口を挟むことが出来ない己の立場がもどかしいと感じてしまう。


 「静まりなさい! いいっ、東門からの撤退の兵が到着次第、北門から皆は随時撤退なさいっ! 35歳以上の兵は前に出なさい!! 」


 マルティーナの気迫の籠った指示に皆は息を飲み、その迫力に負けて該当する19名の兵が前に出てくる。


 「まぁこんなものか…… 申し訳ないけど、あなた達は私達とここで帝国軍の足止めよ。西側からヴェルナー卿達が、こちらに退いてくるまで南門から侵入してきた帝国軍に攻撃を仕掛けるわ。撤退する他の者達は、ポーション類をここに置いていってもらうわ。」


 「たかだかその人数で帝国軍を…… 無茶だろっ!? 貴女だって俺と同じくらい若いのにっ!! 全員で今すぐにでも撤退したほうが…… 」「おい、向こうは宮廷魔法師だぞっ。」


 若い10代兵士が、マルティーナの言を無謀だと言い、それを隣の兵が嗜める。確かに無謀なのは明白だ。そのような事はマルティーナがこな中で一番理解しているだろう。


 「撤退戦は誰かが殿を務めなければ全滅するっ! 見なさいっ、もう帝国軍がこの町舎に向かって隊列を整え出しているわ。このローブを纏っていて、貴方達よりも先に撤退なんて出来るわけないでしょう!! 」


 その言葉に兵達は押し黙ってしまう。ここには、ローゼンベルクや各地から召集された、まだ兵士となって間もない者も多く、宮廷魔法師の言葉には逆らえない。
 しかもその言葉が、自分達を逃がすための者であり、死地に立つのは自分だと言っているのである。


 「そこの貴方。貴方が撤退の兵を纏めなさい。そして隣の貴方がそれを補佐なさい。ほら、東門からの撤退兵達ももうすぐそこよ…… さあ、行きなさいっ!! 」


 マルティーナは自分に対して意見を述べた若い兵士を撤退時の纏め役に、そしてそれを嗜めた同じく若い兵士を補佐役として任命した。


 「ぐっ、すみません…… 御武運を…… 」


 その纏め役に指名された兵士は涙を浮かべながら、もう幾ばくも時間もないという状況なので、東門からきた兵士達に、北門から脱出するために大声を張り上げながら纏め出す。
 皆が危うい状況を肌で感じ、その目で見ているので反発もなく、町舎裏手から出ていった。


 「さあ、私達は2階のバルコニーから向かえ討つわよ。残った人達には悪いと思ってるわ…… サーラブ、あんたは兵士じゃないんだから、ここまでで十分過ぎるくらいなんだけど…… 」


 「何言ってるんですか、若い女性が1人だけ残るなんて可哀想ですよ…… お付き合いしますから。」


 「俺らなんかはいい年ですからまあいいんですが、貴女達には申し訳ない。そもそも宮廷魔法師のお偉いさんや、今回尽力してくれた狐人族の美人さんの二人に、死地に残させるような状態にしてしまって…… 」


 残った19名の内の一番年長者である兵が、申し訳無さげにマルティーナに頭を垂れて申し出てきた。


 「この娘を見捨てるわけにはいかないからね…… さあ、帝国軍に一子報いるわよっ! このまま町をいいように利用させやしないんだからっ!! 」


 町一番の大通りを6列縦隊で、町舎に迫りくる帝国軍にマルティーナは詠唱を始める。もはや互いの魔法による射程内に入っている。


 「何故向こうから魔法が飛んで来ないんでしょう? 」


 その事にサーラブも気付いたが、マルティーナも疑問を覚えるだけでそのまま詠唱を続けた。


 「ー 咎人の、業火に燃ゆる、おのが見て、聖し紅きに、蠱罪消え行き ー 建物ごと燃えなさいっ!! 」


 『ブレンネンレーゲン燃える豪雨


 メルダが陥落したのは既に明白である。良心が咎めはしたが、このまま素直に町を帝国に使われるくらいならば、いっそ燃やしてしまえと考えてマルティーナは魔法を放った。火事の混乱に乗じれば、ヴェルナーの部隊との合流や脱出もしやすくなるだろうとの考えであった。


 「なっ!? 何よあの防御魔法の厚さはっ!? くぅぅ、備えられていた…… 」


 先日エレーナ達は、マルティーナが放った魔法に手痛い損失を被っている。その事もあり、本日もどこかであの戦術的な魔法が放たれることを見越して、町への侵入部隊に30名の魔法師を配置して防御魔法の発動に備えていた。
 ファイアーランスが雨のように降り注ぐなか、人海戦術での備えに備えた防御魔法を突破する事は叶わず、帝国軍は無傷で防ぎきった。


 「これであの魔法師はほぼ使い物にならなくなったぞっ! 突っ込んで引っ捕らえてこいっ!! 」


 第3王女エレーナの側近が、前線に出張ってまで指揮を取っている。昨日の失態を多少でも挽回せねば、パーヴェル、強いてはその父である第1王子のイヴァーン・アストラハン・グランクルスより、どのようなペナルティが課せられるか解ったものではない。
 そのような恐れから、エレーナ自身はさすがに本陣にて待機しているが、信用の置ける側近を前線に投入せざるを得なかった。


 「マルティーナさん魔力回復ポーションですっ! 辛いでしょうが早く整えてください。……ファイアーボムッ! 」


 サーラブが己の唯一の属性である火系統の魔法である、ファイアーボムを詠唱し、マルティーナの魔法を防ぎきり、防御魔法が消えた間隙を縫って攻撃する。
 同じ中級の魔法でも攻撃力に特化したランス形態よりも、範囲攻撃に該当するファイアーボムのほうが、密集している部隊への攻撃には、隊列を乱す役割もあるため効果的ではある。
 しかし、貴重な専任魔法師をここが勝負どころと、帝国軍は前線に投入しているため、即興の防御魔法とはいえ、数の力で防がれてしまっていた。


 「町舎などどうでもいいっ、破壊尽くしてしまえっ! 魔法師の一斉攻撃後に突入するぞっ!! 」


 帝国軍の指揮官からの力強い指示後に、30名からなる専任魔法師からの魔法攻撃が無慈悲に降り注ぐ。
 マルティーナは魔力回復ポーションを飲みはしたが、疲弊して即座の対応は出来ない。この場にいる魔法師3名は、元々が守備隊に配属されている者であり、宮廷魔法師団の練度には程遠く防ぎきる事など無理であった。


 「キャアアアッ」「くそっ、持ちこたえろっ」


 町舎が破壊され、バルコニーにいた兵達にも被弾し出した。


 「マルティーナさんっ、大丈夫ですか? 」


 「何とか…… それよりも雪崩れ込んで来たわね…… ごめん、しくじったわ…… 」


 町舎への着弾を確認後に帝国軍は町舎内に侵入を許してしまいそうになるところに、ヴェルナー率いる部隊が側面から攻撃を仕掛けてきた。


 「マルティーナ殿、直ぐに脱出を!! 」


 「ヴェルナー卿!? 無茶ですっ、せめて貴殿方こそっ!! 」


 見ればヴェルナーの部隊は、既に100騎程度までに減っている。帝国軍は市街ということもあり、歩兵が大多数である。そこをヴェルナー達の騎馬で突撃を掛けたために意表を付くことが出来たため、町舎手前の敷地で足止めをする事が出来たが、多勢に無勢なため早晩呑み込まれて討ち取られるのは明白である。


 「ほらっ、早く逃げて下さいっ! 」「貴女になんかあったら、うちの新しい当主様になんていやいいんですか!? 」「正直、Cランクの魔物をたった1人で倒しちまう御当主のほうが、帝国軍よりよっぽど恐怖なんですよ。」


 ヴェルナー達老兵のここを死地と定めた晴々とした表情に、マルティーナとサーラブは何も言えなくなってしまう。


 「あいつがランビエール子爵領の当主となってから、まだ幾日も経ってないじゃない…… それなのに義理立てしてまで…… 」


 「停滞し、かつての栄華が枯れるのをただ見ている事しか出来なかった我々に、ロサリオ様は未来を繋ぐ可能性を届けてくれましたからな…… 最早ランビエール子爵領に後顧の憂いなし。さあ、早く逃げなさいっ!! 」


 力強く叫ぶヴェルナーの言葉に押されて、マルティーナ達バルコニーにいた面々は階下へと降りて町舎の裏手へ急ぐのであった。 

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