魔王に堕ちて討伐されたけど、何とか生きてます。

ノベルバユーザー255848

第37話 第1章 エピローグ

 草木は眠り、風が木々の葉を撫でるように震わし、耳辺りに心地よい音を響かせる丑三つ時。
 魔物は眠らずに活発化するものもいる中、夜こそが己の領分であると言って憚らない者もいる。


 サキュバスのメリディアナが、瞳を梅が重なるような鮮やかな色合いを発色させながら、多数の魔物を集めていた。
 ゴブリンにオーク、ソートゥースウルフもおり、中にはオーガや、直径2ミリにもなる剛毛を針のように飛ばすニードルベアなどまで集まってきている。
 上位種や変異種でなければ、ゴブリンはFランク、オークはEランク、ソートゥースウルフは単体ならEであるが必ず群で遭遇するためにDランクである。
 オーガやニードルベアなどは、例えBランクの騎士や冒険者でも1人では相手にしたくない、Cランクにも達する魔物達である。
 その他、多数F~Dランクの魔物が多数犇めいており、この森は一種異様な雰囲気を発しており、鳥に獣に虫でさえも慌ただしく一刻も早くと逃げ出していた。


 「まさか、あのデカラビアが殺られてしまうなんて…… こうまで人間に虚仮にされるなんて我慢ならないっ! 完全な実体化をしてまで来てるんだから、もっと魔族のサキュバスの恐ろしさを思い知らせてやるわ!! 」


 サキュバスが実体化して行動するのは珍しい、通常彼女達は半実体化して、他の魔族や人間達から精気を吸収する。間接的な方法や直接的な方法など、多岐に渡る手段を持っている。
 半実体化であれば、例え討滅させられても実体のある、魔族領の本国で復活を果たすことができる。
 何故、実体化してきたかというと、同盟のための歓迎という名目で、悪魔族の王都に招待されていたこともあり、誠意を見せる意味も込めて、サキュバス女王リリスの娘が実体化して訪問していた、という経緯である。


 実体化であれば、房事に至らなくても間接的な接触、軽い接触だけでも十分な精気を吸えるという利点もある。
 加えてサキュバスは高位のものほど、精気を得るためだけに房事に耽ることはめったにない。
 元々サキュバスはそこまで強い種族ではなく大体がDかCランクレベルの者たちである。そういう者達は自らの格を高めるためと、魔力を枯渇させずに生きて行くために積極的に房事に耽ることもままある。
 Bランク以上になったり、生まれた時からその位にあるものは、プライドも高く相手も選ぶのと、間接的なものだけで十分魔力を蓄えることのできる能力になる。


 そもそも、魔族の中でも、サキュバスや吸血鬼族は人間と共生してる部分もあるので、大規模な戦争に発展することは今までは、1,000年前も200年前も無かった。
 吸血鬼族とは小規模な争いや個人レベル、冒険者レベルでの争いは稀にあったが、サキュバス族とはほとんど記録にない。
 サキュバス族からの実害が、ほとんどと言っていいほど人族にはないからである。
 特に男性諸君らは無下にはしないだろう。伴侶のいる身で女性に知られたら、言葉にするのも躊躇われるほどの仕打ちが待っていることだろう。 サキュバスにではなく、男性諸君らに。


 今回の件が、サキュバスのメリディアナが主犯と判明すれば、サキュバスによる被害として、歴史に刻まれることになるだろう。


 「さぁ! 行きなさいあなたたち!! 人間たちにたっぷりと恐怖を!! 夜の魔物の恐ろしさを味わせて蹂躙しなさい!! ふふふ…… ふははははっ、アァーッハッハッハッハッハ。」


 闇夜に光輝く一面の妖しい瞳が一斉に蠢きだした。地獄の巷を思い起こさせる、圧倒的な数に史上稀に見る魔物達の大群が、ナーダへと地響きを響かせながら進攻するのだった。

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