魔王に堕ちて討伐されたけど、何とか生きてます。

ノベルバユーザー255848

第31話 戦の後には華を愛で

 領主館に到着すると領主であるヨアヒム・ナーダ伯爵に厚く出迎えられた。
 代々ヘルツォーク公爵に仕える伯爵家であり、このヘルツォーク公爵領の辺境であるナーダ一帯を治めている伯爵家である。ということはティファニアの辺境でもあるので伯爵自身も辺境防衛の指揮にあたれるほどの武勇は治めている。
 30代後半という年齢も相俟って非常に精力的で精悍な顔つきをしている。一般的な優男の印象を受ける王国の貴族の顔ではなく、軍人のような実直で壮健な雰囲気も持っている御仁である。
 ナーダ伯爵はティファニア王国より伯爵位を賜っているが、このようにヘルツォーク公爵領は各所に統治させる爵位持ちの貴族を抱えているが、決して奢らず、王国に反抗的な態度を取ることもなく、王国の盾であり矛であるという矜持を崩さずに建国時より続いているため、敬意も込めて大公と呼ぶものも多い。


 アメリア国境会談護衛部隊副官であるサブナクから此度の魔族遭遇戦の概要を聞いているのでロサリオ自身も歓迎を受けることができた。食事の準備も間もなく済むということで、アメリアを筆頭に女性陣は湯を頂き行軍の疲れと汚れを落としている。
 アルラオネとロサリオは食後に湯に入ることとし、今回の一件を女性陣の身支度が終わるまでに伯爵へ此度の詳細を報告することとなった。


 「ふむ、ランサローテで魔王が討伐されたことは俺も聞いているし大陸にとってもめでたいことでもある。かと思えば、ヘルツォークに今度は魔族が現れるとはな…… その撃退の功労者がランサローテ出身の元貴族とは、奇妙な縁を感じるな…… アンドラス卿。
 アルラオネ殿からの報告を聞くと君たち二人が居てくれたことがまさに僥倖だ。アンドラス卿は今後どうするのかね? 魔王討伐もなったことだしランサローテに戻るのかい? 」


 ランサローテ島南西部を治めていたティアス伯爵家所縁のものと紹介しているので、ナーダ伯爵は、確認できるものを身に着けていないというのに、貴族へ対するものとして接してきている。
 アメリア救出の件もあり誠意を見せている。


 「ナーダ伯爵、卿はお止め下さい。もう家そのものがないのです。もはや平民と同じでありますので、ただのアンディーとお呼びください。
 今しばらくは、ランサローテ島に戻るつもりはありません。島を去った者が今更、統一されたからと言って戻っても居場所はありません…… 何年か経ったのちに島の平和がどういうものか見てみたいという気持ちはありますが…… それに、今回のサーラブさんの件もありますからね。」


 「小僧…… 若い者がそう暗い顔をするでないわい! 」


 「アルラオネ殿のおっしゃるとおりだよ。では、アンディー君と呼ばせていただくが、君のような才気溢れる若者がヘルツォークにいてくれるのは嬉しい限りだよ。聞くところによると、君は冒険者登録も今はないそうじゃないか? ギルド長からは11歳の時に死亡扱いで剥奪されたと聞く。
 いやいや、ランサローテは凄いところだな、この大陸では、あの帝国でさえも冒険者登録は14歳から15歳くらいを推奨しているというのに! 中には寒村出身や貧困層は、12歳くらいからその年になるまで採取専門で行っているものはいるがね…… 当時11歳でDランクの冒険者とは恐れ入る。」


 (何!? アンドラスは冒険者登録をしていたのか!! 迂闊だった…… 貴族家で軍に関わるものは滅多に冒険者などには登録しないというのに…… いくら冒険者登録は剥奪されていても、ギルドの情報網でティアスにある冒険者ギルドに問い合わせれば、珍しいこともありアンドラスの容姿含めての特徴は知られること間違いないだろう…… 僕たちがギルドへ到着する時間差で、すでにアメリアさんとギルド長は問い合わせて知っているかもしれないな…… )


 当時、アンドラス・ティアスがロサリオ・サン・バルトロメをライバル視して冒険者登録をしていたなどと予想だにしなかったのはいうまでもない。
 戦場で最後に相まみえ、討ち取られたのが自らがライバル視していた少年で、その少年が後になって自らの名前で身分を偽るとは皮肉が効いているだろう。


 「いえ、あの島では8歳くらいから魔力の使い方、10歳くらいから本格的に戦う術を学んでいきましたから、珍しいことではないですよ。」


 「そうか…… それを聞くと大人として思うところがないでもないが…… 何にせよ姫様を救っていただいたこと、改めて礼を言う。本当にありがとう。」


 「いえ、偶々ですよ。さすがにこうも皆から礼を言われると恐縮してしまいます…… 」


 「そうか!? ハハハ、おぉ! 女性陣も準備が出来たようだし食事にするか! 晩餐会ではないが、綺麗な方たちが多いのでな、簡易的ではあるが着飾ってもらったほうが英雄殿も嬉しいだろう!? 
 まぁ食事して今日はゆっくりと休んでくれ、食事後に湯のほうも用意させるからな。」


 女性陣達が入室してきたことによって場が一気に華やぐこととなった。ロサリオも疲れから生じていた眠気が晴れていくのを感じるのだった。


 「どうですか? アンディー様! 」


 「どう! 私にだってこういうの着れるのよ! 」


 「神官の身なのでこういうのは初めてなのですが…… 」


 「剣だけでなくこういうのを着て社交界にもでたことがあるのだぞ!」


 「わ、私の立場でこんないいものを着てもいいんでしょうか…… 露出が激しくて恥ずかしいです…… 」


 アメリアとマルティーナはオフショルダーで胸元を強調し、セクシーかつ華やかに見せている。アメリアはプラチナブロンドがブルーのドレスとよく似あっており深窓の令嬢の雰囲気と色気がいい塩梅で混同している。
 二人とも胸が大きく似たスタイルをしているのでドレスは同系統だが、マルティーナは黄色のドレスで本人の明るい性格と亜麻色の髪とも非常に合った健康的な色香を放っている。
 フリーンは桃色の髪に合わせたピンク色の右肩だけを露出し、大きめのフリルを左肩から斜めにあしらった可愛らしい雰囲気を出しているが、胸から腰にかけてタイトでありラインが強調され加えて丈も短くされているので、神官職ならぬ蠱惑的な魅力を醸し出している。
 オリビアは白いタイトなドレスで露出度は少ないが体の線が強調され、青みがかった黒髪と白のコントラストが非常に映えている。
 サーラブはVラインの胸元と背中が大きく開いている、妖艶でタイトなチョーカー型の奴隷の首輪と非常にマッチした黒いドレスを着ており、長い手足を美しく見せ、大きい胸が零れ落ちそうである。濃い目の黄金の髪が黒によって強調されて豪奢な色気を振り撒いている。


 「ふわぁ!! 皆さん凄い綺麗で色っぽいですよ!! よく特徴が出てますね。アメリアさんとマルティーナさんは胸元が色っぽいですし、ドレスの色合いが髪に映えていて似合ってます。フリーンさんはピンクが似合ってて可愛いし足が綺麗ですね! オリビアさんは騎士の姿とのギャップが!? スレンダーで長身ということもあり、髪色と白が似合って見目麗しいです!! サーラブはなんか色々凄いね!? 綺麗で色っぽいけど、似合いすぎててダイレクトにエロいよね!! 」


 「うふっ! 嬉しいですわ、アンディー様。」


 「ご主人様っ!? あんまりですぅ…… 」


 「変態なんだから! あんまりやらしい目で見るんじゃないわよ! 」


 「まあまあ、サーラブさんも気落ちなさらずに、あれは褒めてらっしゃるんですよ!! そのスタイルの良さは羨ましいです。」


 「騎士姿とは違って中々堂に入っているだろう! 」


 フリーンがサーラブにフォローを入れながら、皆褒められてまんざらでもない様子で席に着き、夕食が始まるのであった。アンナは徹底してメイド服であったのが、ロサリオには逆に印象に残ることとなった。

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