魔王に堕ちて討伐されたけど、何とか生きてます。

ノベルバユーザー255848

第14話 幼女を覗くとき幼女もまたこちらを覗いている

 「まずい!! アルラオネ殿、儂はあの魔族に突貫する!!! オリビア下がりなさい!? 」


 マルティーナ達が着こうとしたした直後、貴族級の魔族の異変を感じ取り、デカラビアに向かってヴァルターは駆けだしていった。
 あっけに取られてしまったオリビアだが、魔族兵を退がりながら受け止め戦線を維持するのであった。


 ヴァルターと入れ違いで到着したマルティーナへアルラオネは意図せず魔眼を発動したままの状態で向き直り、後ろに跨っているロサリオを直視してしまった。


 「ぴょぉっっ!?!?!?!?!?!? 」


 「団長っ!? 」


 マルティーナは馬上で飛び上がったアルラオネに吃驚したが、戦況よりもアルラオネに注意が逸れてしまったためいち早く状況に気づくことができた。


 「防護魔方陣が解けていますっ!? 冷や汗流しながら固まっている場合じゃないでしょう!! 流れ弾が来ますよ!!! 」


 「だぁああ!? わかっとるわい!! 意識を持ってかれてしもうたわ…… マルティーナっ、取り合えず乱暴にでもいいから防護魔法を発動させい! 後は儂が何とか組み上げてやるわい!! あの爺に長時間ダラダラ魔法を使わされたからもう魔力がほとんど残っとらんのじゃ。」


 「行きますよ!! 身を守る・術亡き人に・陽を当てて・己が引き際・過たぬことっ!…… 」


 『アマデウスアミュレット』


 部隊全体を包みこむ方陣が展開された。展開の速さにアルラオネ自身も多少驚かされるほどの出来に満足し、誉め言葉としては乱暴であるが、弟子の成長の嬉しさも相まって怒鳴りつけた。


 「上出来じゃい!! 木っ端娘!!! 後は魔力で維持に努めい!!!! 」


 マルティーナが発動させたアルラオネ式の防護魔方陣は即席で粗さはあるが、今まで魔法師5名とアルラウネが展開していた防護魔法と同等以上のものを一瞬にして発動展開させた。
 間一髪で、デカラビアが放った対軍用魔術ゲヘナフレイムを受け止めることができた。


 「何ですかこの魔法は!?!? あと数秒遅れていたら、全員一瞬で蒸発してましたよ! 最上級の炎以上じゃないですか!! 」


 「当り前じゃわい!! あれが貴族級の魔族が放つ魔術じゃよ!! 人なんぞ気を抜くと刹那の間に塵芥にされるぞい!!! じゃがまぁこれでこちらは少々の間は大丈夫じゃろ……
 あとは、オリビアと騎士達が魔族兵を数に物言わせて押しつぶせば、撤退にも移れるわい。」


 マルティーナ自身も多少周りを見回す余裕ができたことで、ロサリオがすでにこの場を離れていることにようやく気付くことができた。


 「あああぁぁぁぁぁっ!! アンディーのやつっ!? いつの間にか魔族のところになんか行ってるじゃない!?……
 あんたっ! 何考えてんのぉぉぉぉ!! 邪魔しに行ってんじゃないわよ!? 早く戻りなさい!!!! 私もよくは解らないけど、そこの魔族はレッサーデビルとはわけが違うわよぉぉ! レッサーデビル倒したくらいで調子に乗るんじゃないわよ!? 怪我じゃすまないわよこのバカぁぁぁぁああ!!! 」


 ロサリオは到着後すぐに、魔族の脅威を感じ取り、ヴァルターの援護に向かっていたためにアルラオネに視られていたことなど微塵も感じていなかった。魔族の驚異的な強さを感じ取り即座に突進しヴァルターとの共同戦線を張りに行った。


 「のう…… マルティーナ…… ずいぶんあの小僧と仲がよさそうではないか? 」


 アルラオネは別に揶揄するために聞いたのではない。ただ、自身が視てしまった少年に対する興味と畏怖から、何故か打ち解けている愛弟子が不思議で単純に問いかけただけであるが、マルティーナはそうはとらずに―――


 「べ、別に仲良くなんてないですよ!?!? 何言ってるんですかお師匠様は!! ただ、あいつがレッサーデビル2体を倒したようなもんだし!! ……強いからって調子に乗ってるのを心配しているわけじゃないんですからね!!! ……勘違いしないでください!!!! 」


 「な~にをいっとんじゃお前は…… 別にお前があの小僧と乳繰り合いたい! なんていう願望を揶揄ってるわけじゃないわい…… 何を勘違いしているんかこのバカ弟子が。」


 ジト目をしながらマルティーナをねめつけながらアルラオネは言ったが―――


 「乳繰り合いたいなんて思ってません!!!! 大体あいつのほうから揉んできたんですからっ!! ……はっ!? いや…… そのぉ…… 」


 「おい、揉まれたらしいぞ…… ……ひそひそ、いや、あの年であるのか? バカっ!! マルティーナは年の割に結構あるぞ!! ……ひそひそ、ローブで着やせするんだよ!! ……なんだ多いじゃないかロリコン…… ……ひそひそ、いやっ見た目的にマルティーナはロリではない…… ……ひそひそ」


 盛大に勘違いしたまま暴露し、近くにいた騎士達にバッチリ聞かれてしまっていた。


 「なんじゃい…… すでにヤっとったんかい!? 」


 「ぐっ!! ……あれはただの事故で…… ていうかヤる! ってなんですかヤる! って…… ってロリとか言ったやつら!! 凍らせて切り落とすわよ!!! 」


 騎士達は物理的に縮み上げられそうになり内股になってしまったものが数名出てしまった。


 「まぁ、んなことはどうでもいいんじゃが、あの小僧は何者じゃ? 取り敢えずのさわりぐらいは聞いとるんじゃろ? ……触り合っただけに、ククッ」


 「グっ!! ……どうでもよくはないですが…… 姫様に自己紹介をしてたのを聞いてましたからそのぐらいは、どうやらランサローテ皇国の元貴族みたいですよ。ふんっ!!
 あっ!! それと、お師匠様さっき視てたでしょう! 今回の魔法の件貸し一です!! 後でしっかりと教えてくださいね…… んふふっ!! 」


 「目ざとい娘じゃのぉ…… 気づいとったんかい。ふぅ…… 正直儂の手に余るわい…… 小僧も含めて了承をもらえるようなら考えんこともないがの…… あの小僧も悪意の無さそうなやつでとりあえず安心したわいな。」


 アルラオネらしからぬ慎重な物言いに先ほどまでの浮ついた場の雰囲気が一気に掻き消えてしまうほどの真剣な表情でマルティーナへ告げるのだった。


 「まぁただの善良な奴であんなようなことにはなるわけはないがのぉ…… 」


 「マルティーナさんも結構やるなぁ。そういえば隣の幼女は何なんだろ? とっさにこっちに向かったからスルーしちゃったけど、只者じゃぁどう考えてもなさそうだし…… ていうか別に調子に乗ってません!! なんか当たり強いし…… 参ったなぁ。
 あのお爺さん騎士も相当にできる人そうだけど、さすがに一人であれの相手は無理でしょ!? よく抑えてはいるけど、大陸にもSランククラスがいるんだな!! 大陸にはSランククラスは20人いないってマルティーナさんから聞いてたけど、公爵のお姫様といい遭遇してはいけないレベルの人たちのオンパレードなんだけど…… 」


 ヴァルターの突貫も間に合わず、魔術を放たれてしまったが、その後は何とか魔術を後方に放たせないようにするのが精いっぱいであり後手に回っていた所にロサリオが戦線に加わった。
 この戦闘後、穏便に去ることができずにどうやっても関わってしまうような予感を感じながら。

「魔王に堕ちて討伐されたけど、何とか生きてます。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く