魔王に堕ちて討伐されたけど、何とか生きてます。

ノベルバユーザー255848

第5話 絶望を…… 快傑ズバっと!!

 街道も間近というところで、よく慣れ親しんだ雰囲気や気配を感じとった。


 ドォォオオン


 耳をつんざくような音と木々を震わせる衝撃が届いた。


(これは、火系統の中級魔法か?
 大陸ではランサローテで主流の魔術と違って体系化された魔法が主流のはずだし・・・)


 ガラガラガラガラガラガラドゴン!!


「「キャアアアアアアアアア!! 」」


 車輪の付いた大きいものが木にぶつかるような音とともに続いて、女性の悲鳴が2名分ハモりながら響いてきた。


 状況的に非常に不味いものを感じ、すぐさま意識を戦闘時の状態に引き締めて街道に躍り出た。


 正直、ロサリオとしては情報収集のために早く人に会いたいと思っていたので渡りに船かと感じはしたが、気になったのは、悲鳴とともに聞こえた、何かが木にぶつかる音に半分意識を持ってかれていた。


(十中八九馬車だとは思うけど、通常何かにぶつかってあんな音はしない…… もっと破壊されるような音になるはずなのに破壊音がしないということは……。)


 街道に飛び出て目についた馬車に納得してしまった。


 それは、物理防護に魔法防護の魔法がかかったやんごとない身分の人間を乗せるための立派な馬車であり、そこから若い、見るからに身分が高そうな女性とメイドであろう若い女性がでてくるところを目撃する。


「姫様っ!! この馬車よりでてはなりません! 中へお戻りくださいっ!! 」


 まだ馬車から半身がでているところでメイドより呼び止められ、一度身体をすくませたがメイドに強い目くばせをして伝えた。


「でもアンナ…… 状況を確認しないと。騎士たちの安否もたしかめなければ。」


 気丈にも自らを奮い立たせ馬車を降りるとそこには……


 絶望が少女の前に現れた。


「ひっ!! 」








 ロサリオがちょうど街道へでて目に飛び込んできた映像は、少し離れた街道沿いで騎士4人と魔法師1人が、紫色の肌に体躯は人に酷似しているが、背中から蝙蝠のような羽を生やしたレッサーデビル1体と交戦しており、ロサリオから100メートルほど離れた場所でもう1体のレッサーデビルが、馬車からでてきた女性の間近へ迫っている状況であった。


(あれは魔族か!! たしかレッサーデビル。魔族側では主に斥候や諜報を担当する種族のはずだけど、野良なのか…… ではさっきの魔法だと思ったのは魔術か…… それよりも護衛が抜かれたのかっ! )


 瞬時に魔力を体内で練り上げ身体全体を多い、矢や魔法よりも速いスピードで駆け抜け女性とレッサーデビルの間に身体を割り込ませることに成功した。


 突然湧いてでたかのような人間の少年にレッサーデビルも驚き、虚をつかれたのか一瞬硬直してしまい、後悔する間もなくロサリオに一刀両断され、上半身がずり落ち、少女が傾いて見えていくのをただただ眺めながら意識が消失していった。


「危ない目に遭ったみたいですが、無事で何よりです。」


 ロサリオはとりあえず、無難に声を掛けつつ、緊張からかしゃがみこみ、固まったままの少女の様子を伺った。


 少女は依然として反応を示さないので、顔を近づけ再度声をかけたところ、慌てふためく様相を呈された。


「すっっすす、すいません。危ないとっ、ところを!! 」


(うわぁ、何っこのものすごい綺麗な子!!
 馬車といいこの見た目、ていうか銀に近いプラチナブロンドなんて生まれて初めて見たよ。
 14、5歳くらいかなぁ、どもっちゃって可愛いなぁ。
 まぁランサローテは魔族の集落もあり人間と小競合いやお互いの利益を求め交流もあったけど、大陸では魔族を目にする経験はないからしょうがないか。)


 目は蒼穹を体現したかのようなスカイブルーにプラチナブロンドを緩くエアリー感をだしたフワッとした巻き髪に色気と可憐さを感じ取ってしまい、本来はロサリオと同い年の12歳なのだが、ロサリオは勘違いを起こしてしまっていた。


「騎士の方々を援護してきますので馬車のなかへ入っていてください! 」


「はっははい!!  御武運を! 」


 騎士のほうたちは上空からレッサーデビルに火の魔術攻撃によりいいようにされている。
 魔法師が魔法防御壁を展開し同時行使で氷属性の攻撃魔法のアイスランスを放っているが、相手の旋回性能が高く有効打を与えられてない。


「通常の火魔法と違い直線的な動きじゃないから防ぐことでいっぱいいっぱい!!
 私の攻撃も散漫気味になってしまうので、弓なりなんなりで攻撃してあいつの意識をそらしてくださいっ!!!! 」


 魔法師が焦りと苛立ちから騎士へ呼びかけ、騎士は時折弓矢を放つが軽くあしらわれてしまう。


(魔法師はなかなかいい腕してるけれど、知恵を持ち、かつ飛翔する魔族の相手はいかにこちらの土俵に引摺りこむことを考えないと。)


「援護します! 今からレッサーデビルを叩き落とすので騎士な方達で止めをさしてください。」


「君のような少年が一体…… 」


 1人の騎士が問いかけている最中であったが、それには答えず、風の魔術で叩き落としなおかつ地に縫い付けるように濃密度の吹き下ろしの風を発生させた。


 ゴォッッッ・・・ズダアァァァァン


 回避も身動きも出来ずに地面に叩きつけられたレッサーデビルに騎士達はあっけにとられていた。


「何なの!! この魔法は!?」


 ローブを外し、驚き伺いみる顔を見て女性であったことを今更ながらにロサリオは気づいたが、あまり悠長にしているような場面ではないので、女性の魔法師は一旦無視して騎士を一喝した。


「呆けてる場面ではありませんよっ!! 今なら4人で取りかかれるはずです。」


「了解したっ! うおぉぉぉ!! 」


 4人の騎士たちが群がり、レッサーデビルの身体へ次々に騎士剣を沈ませていき、ようやく魔族との戦闘に一息ついたかと思われた。


 魔法師の女性や騎士たちに注目を受けながらロサリオは、この戦闘で騎士のレベルの低さと何より実戦経験の足りなさに驚かされていた。


(あの子というのは失礼か。あの女性の身分を考えるとどうにも騎士のレベルが低い。
 恐らく30前後…… ランサローテを考えると10は低く感じられる。)


 それでもここは、帝国領に接し魔族領とも近いことからこの付近で公務とはいえ活動する騎士のレベルは大陸内では決して低いものではない。ただしロサリオにはまだ詳しい場所や状況を知らないので仕方なかったといえる。


 (実は身分がそれほど高くないか、やはり大陸は平和なのか…… まぁ後者だろうなぁ。
 あの馬車といい身に付けてるものやそもそもの見た目も相まって…… ヤバい…… 正直ちょっとめんどくさいことになりそうな予感が……。
 とりあえず、何者か誰何されるだろうから偽名や生い立ちなどの素性を考えとかなきゃ。)



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