世界から拒絶された能力者

タンク

出発

翌朝

今日はこの家から出ていく日だ。
支度に関しては昨日のうちに終わらせており、後は父さんの所に行き戸籍の変更を行うだけだ。

シェル(はー、この家ともお別れかー、記憶が戻ってから、半年だけどその前の記憶もあるからさすがに寂しく感じる)

この家との思い出を振り返りながら歩いていると父さんの部屋の前に着いた




こんこん
シェル「シェルです。入ってよろしいですか?」
サルバ「ああ、入ってきなさい」



サルバ「ふう、ついにこの日がきたか。お前とはもう少しいたかったんだが」
シェル「仕方がありませんよ。貴族が魔不病の子供を産んだと周りに知られればそれだけで貴族としての格が落ちてしまいますし」
サルバ「本当に申し訳無い。私がちゃんとした子供に出来なかったせいでこんなことになってしまって」
シェル「それはもう良いですから。早く戸籍の変更をお願いします」
サルバ「ああ、そうだな。よしでは、ここにある紙にサインしてくれ」
シェル「はい」





シェル「書けました」
サルバ「では、これにてお前はこの家の子供では無くなり、町の孤児と言うことになった。これからは人生を存分に楽しんでくれ」
シェル「はい、ありがとうございました。では失礼します」
 








サルバ「・・・シェル。最後にこっちに来なさい」
シェル「はい。お父様」
シェルはサルバの前まで行き、お互いになんとも言えない空気が流れた

 

サルバ「・・・シェル。妻達はあんなことを言っていたが、別に魔不病だろうともお前は私の子供だ。だからお前がもしこの家を訪れることがあったら出来る限りのもてなしをしよう。だから・・・死なないでくれよ」

この時の父さんはもう心配過ぎてやばいと顔に出ているようであった

シェル「ふふ、大丈夫ですよ。何せ僕はお父様の子供ですから」

シェルは出来る限りの笑顔でそう答えた

サルバ「・・はは、参ったな。そりゃあなかなか死なないな。よし、それじゃあ行ってこい!」
シェル「はい!行ってきます!」

最後に見た父さんの顔は明るく、もう心配そうな顔では無くなっていた

シェル(これでこの家で思い残すことは無くなった。さあ、これからはまた新しい人生だ。頑張っていこう)

シェルは新しい人生に向けて思いを馳せながら、歩みを進めて行くのだった




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