悪役令嬢は退場しました

こうじ

取り敢えず一泊します

 森を抜けて夜の街道を歩く事一時間、小さな町にたどり着いた。
「取り敢えず今日は此処で一泊ね。後、食事もしなきゃいけないわね。」
 宿屋はすぐに見つかり、部屋を確保する事が出来た。
 食堂と併設されていたので、夕食を食べた。
 意外と美味しかったのでビックリした。
 そういえばパーティーで何も食べてなかったわね。
 頭の中は計画が上手く行くかどうか不安だったんだけどね。
「おい、聞いたか? 王太子様が婚約破棄をやらかしたらしいぞ。」
「マジかよっ!?」
「しかも、その相手が婚約者の妹らしい。」
「姉妹に手を出したのかよ、クズだな。」
「それで、その婚約者はその場で自殺したらしい。」
「可愛そうになぁ、恋人や家族に裏切られるなんて、なぁ・・・・・・。」
 早くも話題になっているらしい。
 その話題の婚約者、近くにいるんですよ?
 逆に精々してますよ。
「他人から見るとわからない物ねぇ・・・・・・。」
 私は小声でボソッと呟いた。
 食事を終えた後、私は部屋に戻りシャワーを浴びて部屋着に着替えてベッドにダイブした。
 貴族令嬢としてはしたないと思われるが、貴族ではないのだからもう関係無い。
「私は自由になれたのね・・・・・・。ようやく私の人生が始まるのよ。」
 そう思うと私は自然とニヤニヤしてきた。
「隣国に行ったら何をしようかしら? 何処か小さな村で静かに暮らそうかしら? 好きな事をやって好きな物に囲まれながら生活するのも悪くないわね。」
 まずは明日、無事に国境を越える事が大事になるんだけど。  

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