冬の稲妻

ブラックベリィ

015★傷の舐め合い

 秀人は、雅美の背中を軽く叩きながら、微かに苦笑する。

 そりゃー、まとまりも良くなるだろうなぁ…………。
 クラスメイト全員で、傷、舐めあっていたならな。

 話し終わった雅美は、黙っている秀人に、訴える。

 「怖かったんだもん
  怖かったんだもん

  ……秀人君、こんな僕
  馬鹿にする?」

 秀人の苦笑を見て雅美は、ほんの少し拗ねて言う。

 ふっ………たまんねぇーな…雅美に自覚ねぇーみてぇーだけど、そんな風に訴えられたら………。

 毛を逆立てて爪を立ててながら、しっかとしがみついている子猫から、項垂れて耳を垂れている子犬のように、シュンとしている姿に変わった雅美に、秀人は微笑しながら答えてやる。

 「ぅんにゃ」

 自分を上目使いで見る雅美に、秀人はとびきり優しい笑顔を浮かべて答える。

 「ほんと?」

 心配?そうに問う、雅美が可愛くて、秀人はつい甘い表情を浮かべる。

 「ああ、大変だったな」

 「怖かったんだもん」

 雅美が、悲しそうな顔をすると、秀人は、遠い目をしてポツリと言う。

 「雅美、俺だって
  赤い血の色がな

  もの凄く怖かった
  時期があったからな

  今のお前の気持ちは
  理解わかるぞ

  ちなみに
  今は平気だけどな

  でも、赤い色が
  大嫌いだった時あるから

  それは理解わかるぞ」

 「なんで? なんで?」



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