私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

063★朝食は簡単に出来るモノにしましょう


 エリカが、乙女らしく自分の体型で悩み始めた、その頃。
 騎士達との鍛錬も入浴も終わって退屈し、新米隊長マイケルと会話しているのも飽きたギデオンとレギオンが、天幕にやって来た。

 それは、3人ともエリカの作ってくれた夕食に味をしめて、朝食も作ってもらおうという会話に成ったからだった。
 アルファードの天幕に入るなり、キデオンはエリカに話し掛ける。

 「姫君、今日の朝食は
  どんなモノなんですか?」

 そして、ギデオンに続き、レギオンも聞く。

 「昨日みたいに
  各自で作るモノですか?」

 わくわくして、子供みたいなギデオンとレギオンの言葉に、エリカは思考の海から戻って苦笑する。
 
 〔これは、何か作らない限り
  騒ぎそうな気がするわ

  2人とも、確かに30才なんだろうけど
  実年齢は…エリカ以下のような気がする

  アルで、私ととんとんかちょっと上程度?
  オスカーさんで、お兄ちゃんよりも
  ちょっと上ぐらいかな?

  もっている寿命を考えると
  そのぐらいって思って
  イイんじゃないかな?

  …というコトは、ご飯を与えない限り
  食べ盛りのギデオンさんレギオンさんは
  確実に、騒ぐってことね

  勿論、食べることが負担に感じている
  アルも、きっと楽しみにしているわね

  とは言っても、過去の聖女様がどんな料理を
  作って広めていたか知らないしなぁ………

  う~ん…ここは、何か簡単に作れて
  すぐに食べられるモノを
  ちゃっちゃと作るしかないかしらね〕

 エリカは、簡単に食べられる料理を考える。
 
 〔ふむ、丸い輪を使って、通常よりも
  少し厚地のクレープを焼かせようかな
  これなら誰でも出来るよね

  生地が薄くないから、そんなに簡単に
  破けないだろうし

  それに蒸した野菜とお肉を挟んで食べる
  これなら、色々な味を楽しめるし………

  昨日作ったのに、結局食べなかった
  お肉と野菜のシチューを付ければイイかな?

  デザートは生クリームとチョコクリームと
  カスタードクリームと魔果で作ったジャム
  それに、砕いた木の実と蜂蜜

  あとは、そのままで食べられる果物を
  カットしたモノを用意すればイイわね〕

 メニューが決まったエリカは、食材が入っている【魔倉庫】を持つ者達に声を掛ける。

 「アル、オスカーさん
  【魔倉庫】に、まだ、お肉、野菜、魔果
  果物、木の実、牛乳、卵は残っていますか?」

 そう聞かれたアルファードは、無意識に嬉しさの笑みを零れ落としながら聞く。
 エリカの作るモノだと『はぁ~もっと食べなきゃ…』が無いのだ。
 美味しくて口に合うモノを作ってもらえるので、幾らでも食べれるのだ。

 「エリカ、今日も料理する気か?」

 〔アルってば、瞳をキラキラさせて………
  やっぱり、作るって思って正解ね

  パパとお兄ちゃんが言っていた通り
  男の人は胃袋なんだ〕

 「うん、作る予定してたから………
  って言っても、簡単なモノにする予定よ」

 アルファードの言葉にエリカが答えている間に、自分の【魔倉庫】の中身を確認し、報告する。

 「姫君、私の【魔倉庫】に全て入っております」

 「俺の【魔倉庫】にも、全部あるから大丈夫だ」

 「「俺達の【魔倉庫】にも入っているから」」

 エリカが朝食を作ると聞いて、全員が瞳をキラキラさせる。
 そして、アルファードが代表で聞く。

 「エリカ、何を作るんだ?」

 好奇心を絵に描いたような表情のアルファードに、エリカは小首を傾げながら答える。

 「こっちにあるかどうか判らないけど
  少し厚地のクレープよ」

 「クレープって?」

 「あっ無いんだ
  クレープは、小麦粉に牛乳と卵を入れて

  ダマが無くなるまで溶いたモノを
  鉄板でまーるく焼いたモノよ」

 エリカの説明に、アルファードが聞く。

 「ホットケーキとどう違うんだ?
  材料的には同じようなモノだが……」

 ちょっと考える仕草のアルファードに、エリカは笑って言う。

 「まぁ…確かに、似たようなモノだけど
  ホットケーキよりかなり薄いから
  色々なモノを巻いて食べられるのよ」

 「色々なモノ?」

 「そう、例えばご飯としてなら
  蒸したお肉と野菜を包んで食べれば良いし……

  ほら、昨日、作ったのに出さなかった
  野菜とお肉のシチューを掛けて
  食べても良いし………

  デザート風にするなら……
  生クリーム、チョコレートクリーム

  カスタードクリーム、魔果のジャム
  蜂蜜、カットフルーツ、砕いた木の実など

  好きなモノをクレープに乗せて
  そっと包んで食べるの
  美味しくて、幸せになれるわよ」

 エリカの説明を聞いたアルファード達は、口腔に唾液が溜まるのを感じた。







コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品