私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません
048★野営地の食事……その前に…
干し魔肉も干し魔果も、試食してみた結果。
それらはエリカにとって、かなり美味しいと思えるモノだと思った。
だから、調理済みの干し肉ではなく、生の魔肉も調理して食べてみたいと思ってしまうのは当然のことだった。
ただし、食材の元の姿にゲンナリしたくなかったので、あえて聞かないことにしたエリカだった。
「アル、魔肉のなかで
ウシとかブタの味に近いモノで
生のお肉ってあるのかな?」
エリカの質問に、アルファードが首を傾げる。
「ウシやブタに近いモノは………確か……
倒して…入れておいたと思ったけど…」
〔えーと…エリカご希望の………
あったよなぁ………〕
アルファードは【空間魔法】と【時間魔法】のかかった【魔倉庫】の中を確認した。
すると、解体したモノも倒してそのままの状態のモノも複数あった。
それに、自走植物の魔果も色々な種類が大量に入っていた。
〔どれが本当に使いたいモノか判らない
ここは、実際のを見せて聞くか?〕
そこで、アルファードは、水球を作り出し、中身をエリカに見せる為に映し出す。
いや、魔果の群れは、見ても良かったが………。
〔うわぁ~い…あれが魔果ねぇ………
でも、そのまんまや解体しかけたモノは
ちょと…凄いというか…グロいわ…〕
魔物の方は、本音を言えば見たくないと思っていたエリカだが、アルファードの親切心の現われだと思って、笑ってお礼を言う。
が、その思いを裏切り、微妙な笑顔になっていた。
それに気が付いたアルファードだったが、あえて何も口にしなかったのは確かなコトだった。
だから、エリカは水球に映ったモノを見ながら言う。
「へぇ~これが、魔果なのね
本当に普通の果物に見えるね
何か大きさがあって無い気がするけど…
それに、魔物って言っても………
オークみたいのとか……
ウシオニみたいなのがいるんだね………
他にも色々と………」
様々な食材?を見ながら、エリカはどれが使えるかなぁ~と思いつつ、何を作ろうかと悩む。
「ああ、けっこう、色々と種類がある
これは、俺の個人用に獲っていたモノだから
幾ら使っても良いんだ
料理したいなら、これを使えば良いよ
乾燥させた野菜も入っているのが見えるだろ」
〔あっ…これってアル個人のなんだ……
てっきり、騎士団用かと思った
そっか、好きに使って良いんだぁ~……
うん…確かに、野菜類も見たいね〕
「あっうん入っているね
でも、どうして…乾燥野菜や乾燥果物…
乾燥肉が入っているの?」
素朴な質問に、アルファードは肩を竦めて端的に言う。
「そのままで食べられるから…………
戦闘中とか、その合間に栄養補給する為にな」
アルファードの言葉に、エリカはちょっと驚いた表情で聞く。
「戦闘中でも食べるの?」
アルファードは、ちょっと困ったような表情で、エリカの問いかけに答える。
「俺は、生まれた時から内包する
《魔力》がやたら多いから………
その《魔力》の維持の為に
大量に食べる必要があるんだ
だから《魔力》を使う魔物討伐の時は
小まめに栄養補給しないと、倒れるんだ」
〔う~ん…栄養補給…倒れるって…
まるで、糖尿病に近いイメージね
いや、だから、糖分を補給する
乾燥果物って感じかな?
もっとも…人間じゃ無いから…違うけど
もしかしてドラゴニアンって………
飛竜と人間のハーフなんだから
(飛竜+人間の食事量)÷2=必要な食事量
なのかもしれないわね
アルってば、大変そう〕
エリカはその説明を聞いて、なるほどと思いつつ、アルファードに聞く。
「今はお腹空いてないの? 大丈夫?」
エリカに問い掛けられて、アルファードは空腹を自覚する。
すると、それに反応してお腹が、グッグゥーとなった。
お腹の音を聞いて、エリカは天幕の中を見回す。
〔あっ…ごはんを意識した途端にこれって…
……なんか、アルが可哀想ね
直ぐに食べられるモノが欲しいわね……
っと、エリカの持って来た………〕
気配りのオスカーなら、エリカのスーツケースなどの荷物をこの天幕の中に入れて置いてくれたのでは?と思ったからだ。
すると、広い天幕の端にエリカの荷物は置いてあった。
それを見たエリカは、倒れた神官や魔法使い達に使ったエネルギーチャージゼリーをアルファードに食べさせようと思った。
〔うん…流石、オスカーさん………
よし、持って来たのをアルに食べさせよう
勿論、空腹を即満たすには、アレが良いわね〕
エリカは、味替えをする為に数種類のチャージゼリーを買っていたので、それをアルファードに食べさせることにした。
即断即決を心掛けるエリカは、ててっとスーツケースのところに行き、カパッと開いて、目的のモノを取り出す。
「アル、コレを食べて」
そう言って、スーツケースから、チャージゼリーの袋を取り出すのだった。
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