私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

025★魔法騎士団・団長様まで一直線……先導は白い幻鳥



 色々と疑問は有ったが、恵里花は着替えるコトを優先した。
 恵里花本人にも、どうしてなのかわからないのだが、早く団長に会わなければという、焦燥感に駆られていたから…………。

 オスカー副団長に手伝ってもらい甲冑を纏い、隊舎前に出た恵里花を艶々ぴかぴかの毛並みの良い真っ黒な馬が待っていた。
 そう団長の気難しい軍馬だった。

 その馬を恵里花はひと目で気に入ったので、さっそく用意していた角砂糖を手のひらに乗せて差し出した。
 すると黒馬は、ふんふんと匂いをかいでから、パクッと角砂糖を口に入れた。

 〔うわぁ~…すっごく
  馬体が大きいのね……

  やっぱり、乗り手も
  大きければ

  馬もそれにあわせて
  大きいのね

  うふふ…随分…人懐こい
  馬なのねぇ~………

  ああ…だから、この子が
  恵里花用になったのね

  馬に乗れるって
  言ったけど………

  初心者だって
  思われたんだぁ~……

  でも、いっかぁ~………

  大きくて綺麗な馬に
  乗れるんだから…

  あっ? ………馬の名前は?〕

 魔法騎士団の騎士達は、恵里花の行動に内心で盛大に悲鳴を上げてしまう。
 団長の馬は、どれもこれも癖があって気性が荒くて気難しいものばかりで、世話をする馬番泣かせで有名だったから…………。

 それなのに、あっさりと攻略する恵里花の姿に、この場所に居ない団長の執着?執念?を見たような気がしたのだ。
 だから、彼等は、何も言わない…言えないというのが正しいだろう。

 こうして、なし崩しに恵里花の騎乗する馬は、団長の黒馬シルファードとなった。
 のちに、団長本人に譲られて恵里花個人所有の馬になる。
 そんなファーストコンタクトを終えて、恵里花は巨体なシルファードに話し掛ける。

 「綺麗な黒馬さん
  貴方の飼い主は
  誰なの?」

 その言葉に反応して、名前を教えたのはやっぱりオスカー副団長だった。

 「団長の馬で
  シルファードと
  いいます

  軍馬なので
  大柄で力も強く

  また、団長とともに
  何度も魔物討伐に
  出撃しているので………

  何が有っても
  驚かないので
  安全だと思い

  厩舎よりここに
  連れ出しました

  姫君との相性も
  良いように

  見受けられますが…
  いかがですか?」

 「はい、この子に乗って
  行きたいと思います」

 「それでは
  鞍を付けさせますので
  少々お待ち下さい」

 「はい」

 「シルファード
  良い子ね

  一緒に…団長さんの
  所に行こうね」

 恵里花に顔を撫でられたシルファードは、嬉しそうにヒンと鳴いて応えるのだった。 
 そして、お尻尾も嬉しそうにゆらゆらと振られていた。
 馬の世話係は、恵里花がシルファードを撫でている間に、急いで、しかし、きっちり丁寧に鞍を取り付けた。

 それは、自分達の安全と恵里花の安全(鞍に緩みがあると、騎乗している人間の姿勢が崩れ易くなります。その結果、落馬に至る可能性が増大します。バイクや自転車に乗ってる人なら、姿勢とバランスがとぉーっても大事なことはわかると思います。崩すと転びますから)の為だった。

 鞍が着けられると、恵里花は一緒に行く魔法騎士団の騎士の群れを見て思う。

 〔あははぁ~………
  見事に大柄な人間の
  集団だわぁ~………

  こんな人達が前を
  走っていたら……たらぁ……

  前方に何があるか
  わからない

  ブラインド走行状態に
  なってしまうわ

  それに左右を
  守られても一緒ね

  左右の風景というか
  状況が見えないわ

  ここは、騎士様達に
  悪いけど

  恵里花は
  先頭を単騎で
  駆けさせてもらおう

  じゃないと
  前が見えない状態で

  急停止や
  戦闘になった時に
  大変だモノの……

  ここは、我が儘…
  言わせてもらおう

  でも…そうすると…
  行き先がわからない

  どうしよう?
  んっ…とぉ~…そうだわ

  ここは…剣と魔法の
  世界なんだから………

  大き目の鳥を魔法で
  創ってもらい

  その鳥に案内して
  もらえばイイんだわ

  目立つように
  白鳥のように

  真っ白い鳥に
  してもらおう

  ついでに…急いでいる
  救急車や消防車

  または、パトカーなんかが
  通るときみたいに

  『これから、魔法騎士団の
   騎馬隊が、高速で
   駆け抜けますので………

   危険ですから……
   白鳥を見たら

   道路の端に
   よけてください』

  って、言わせたら…
  イイかなぁ~?

  う~ん…恵里花達みたいに
  慣れて無いんだから

  1回じゃなく3回ぐらい…
  警告が必要かな?

  白い鳥に…音声警告を
  入れてもらう

  良し、これで
  頼んじゃおう〕

 と、いうコトで、恵里花の指示によって魔法使いが、魔法で白い鳥を作り、時間を少し置いて順番に3羽飛ばしたのだった。
 そして、ラストの3羽目の少し後ろを、恵里花を先頭とした魔法騎士団が駆け抜けたのだった。

 


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