私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

021★魔法騎士団の団長はどこでしょう?…前編

 だから、恵里花は言外に、困っているのは瘴気の方よねと言う意味を言外に込めて、確認するように言う。

 「そう…そんなに…
  瘴気が酷い状態で…

  浄化を必要として
  いるんですね

  そう言えば…
  あの場所には…

  各騎士団の団長様が
  居たのでしょうか?」

 恵里花の問い掛けに、丁寧に答えるようにと、マイケルに対して、視線でオスカー副団長が命令する。
 その視線の強さに内心でひびりながら、マイケルは思考する。

 〔オスカー副団長
  酷いですぅ~…

  俺は…隊長に
  なったばかりの
  ペーペーなんですよぉ~………

  いくら、あの慈愛の
  聖女の子孫の血を
  引くって言っても………

  なんで…こんな運の
  無い勤務になって
  いるんでしょうか?

  我が祖先の聖女様……
  哀れな末裔に
  愛の手を……〕

 何度も、各騎士団の正式名称を口にするのは面倒臭いと思いながら、丁寧に詳しくと心の中で呪文のように唱えながら、マイケルは説明する。

 「近衛騎士団と
  帝都騎士団と

  魔法師団と
  神聖魔法師団の

  団長と隊長達が
  数名づつ居ました

  東域騎士団と
  西域騎士団と

  南域騎士団と
  北域騎士団と

  中央騎士団は
  副団長と隊長達が
  数名づつ居ました

  魔法騎士団は
  ここにおります

  副団長のオスカー殿と
  隊長が数名おりました」

 マイケルの説明に恵里花は首を傾げる。

 「んっ? あれ?
  王城内に本部がある
  騎士団は隊長が

  参加するのでは
  ないでしょうか?

  何かあったんですか?」

 恵里花の鋭い質問に、マイケルはどう答えたら良いか?と視線をオスカー副団長に向ける。
 視線を向けられたオスカー副団長は、内心で色々と思考する。

 〔団長からは…………
  未だに魔物討伐
  完了の連絡が無い

  たまに連絡するのを
  面倒くさいと
 
  サボるコトは
  有ったが………

  聖女召喚が
  何時されるか

  判らない状況に
  なってからは………

  定時連絡まで
  するようになったのに……

  かなり不味い状況に
  なっているのでは………

  団長のテンションが
  上がるように………
  今すぐにだって………

  団長の好み(姿)と
  理想(性格)を

  体現した姫君を
  連れて行きたい…

  心優しい姫君を
  守る為にも………〕

 オスカー副団長は、恵里花を聖女として、自分の主と定めた団長の下へ連れて行こうと決心していた。
 そう、既にこの時点で、オスカー副団長及び、神官や魔法使い、騎士達にとって、恵里花は聖女候補ではなく、聖女だった。

 そう認識されていると知らないのは、本人だけである。

 そして、オスカー副団長は、目的を果たす為に、人の命は何者にも勝るという主義を持つ恵里花を煽るコトにした。
 オスカー副団長は、嘘は言っていないが、真実を告げてもいないという高等技術を駆使するのだった。

 「姫君
  魔法騎士団の団長は

  中央騎士団の
  要請により

  魔物討伐に
  出撃したまま
  定時連絡も無く………

  我々も、今どのような
  状況なのか

  はっきり言って
  わかっておりません

  ただ、団長の魔力も
  側近達の魔力も

  途切れずに
  戦っているのは

  サーチの得意な
  魔法師団の者達が

  確認しているという
  状態です

  私としては
  1分隊を連れて

  確認と応援に
  行きたいと
  思っています

  出来れば
  姫君の協力を

  仰ぎたいと
  思っております」

 オスカー副団長の沈痛な表情と説明で、恵里花は、魔法騎士団の騎士達と・それを率いる団長が、かなり不味い状況にあることを理解した。
 そして、恵里花は黙って考え込む。

 〔超エリート集団の
  団長様って
  どんな人なんだろう?

  なんかすごぉーく
  気になるなぁ~……

  ここにいる
  甲冑を着た集団の

  騎士様達って
  容姿も入団基準なの?

  って思う程、整った
  容姿しているから………

  眼の保養って
  感じだしねぇ~………

  じゃない
  現実逃避して
  どうするの恵里花

  最強の武闘集団である
  魔法騎士団が

  不味い状況にある
  ってコトは………

  この国の最終防衛ラインが
  機能不全になる

  可能性が有るって
  コトでしょう………

  はっ…あれ?
  もしかしなくても………

  聖女候補の召喚で
  援軍というか補給?

  交代?用の余裕の人員が
  ここに留め置かれている
  ってコトよね

  それに、王城や帝都
  もしかしたら……

  国自体の《結界》に
  あちらこちらに穴が

  あの・超常現象の
  シンクホールのように

  開いている可能性も
  有るしねぇ~……

  ってコトは、魔法師団と
  神聖魔法師団は

  《結界》の補修
  または、張り直しに
  駆り出しされるはず………

  魔法騎士団への
  援護は無いに
  等しくなるわ

  ここは、最初から
  数に入っていない
  恵里花が

  オスカーさんの言う通り
  援護に行く方が
  イイわねぇ……

  一応、召喚された
  ことによる

  チート能力が
  有るみたいだし……

  食料の補給も
  私の荷物の中身を
  使えばイイんだし………

  良し…団長様に
  会いに行きましょう……

  って、ことで
  オスカーさんと相談ね〕

 熟考した恵里花は、決意を込めた視線で、オスカー副団長を真っ直ぐに見る。

 「それじゃ
  私の持ってきた
  食料を持って

  騎馬で
  団長さん達の
  応援に行きましょう」

 それは、もしもし、相談はどこに行った?……と、いうような堅い決意で………宣言したのだった。






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