私は聖女になります性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

020★聖女候補達の保護者は?

 そんな、腹黒いことを考えたオスカー副団長は、自身の安寧と団長の為に、恵里花に気付かれないように魔力を込めて睨む。
 そんなことになっているとは気付かない恵里花は、マイケルの報告内容を思い出して問い掛ける。

 「あのぉ…私以外の
  召喚された人達は

  何処の騎士団に
  行ったんですか?

  それと…私達は…個々で
  保護というカタチに
  なるんでしょうか?

  それとも
  騎士団預かりという
  カタチの保護に
  なるのでしょうか?」

 恵里花の問い掛けに、オスカー副団長の魔力がたっぷりとこもった睨みを感じながら、マイケルは自分がミスをしたことを自覚しながらも、余分なこと(情報)を与えないように気をつけながら答える。

 「はい、6名の
  聖女候補様達は

  王城内に有ります
  帝都騎士団の本部と

  東域騎士団の支部
  西域騎士団の支部

  南域騎士団の支部
  北域騎士団の支部

  中央騎士団の支部の
  各隊舎に在籍して

  試練の森での護身の為に
  剣と乗馬と精霊魔法を

  習うことに
  なっております」

 マイケルの言葉に、恵里花はハッとした表情になる。

 〔えっ…一緒に召喚された
  美少女達は……

  もう、所属する?

  騎士団の方に
  行ってるの?〕

 「あれ?
  もしかして、私だけ………

  行く先が決まって
  いないのかしら?」

 困った顔で小首を傾げる恵里花に、オスカーがはっきりそうと判る微笑みを浮かべて言う。

 「いえ、姫君は
  我が魔法騎士団に

  所属する予定に
  なっておりますよ」

 オスカー副団長を見上げ、恵里花はきょとんとした表情で確認する。

 「そうなの?」

 「はい」

 ハッキリと頷くオスカー副団長に、恵里花は疑問に思う。

 〔……あれ?
  もしかして…………〕

 「ちょっと
  聞きたいけど良い?」

 「何でしょうか?」

 「帝都騎士団
  東域騎士団

  西域騎士団
  南域騎士団

  北域騎士団
  中央騎士団と

  同格なのは
  近衛騎士団でしょう

  それより…
  格が明らかに上の
  魔法騎士団に、なぜ?」

 自分が保護される?ことになるのかと、言外に聞く恵里花に、オスカー副団長は、淡々となんでもないことのように答える。

 「まず、近衛騎士団とは

  皇族と王城を
  守護する騎士団なので

  代々聖女候補の訓練は
  いたしません

  いや…出来ないと
  言った方が良いですね

  ちなみに、現陛下には………
  7人の妃がおりますし
  皇太后様も………

  そして、皇子方と
  皇女方が合わせて
  15人もいますので…………

  はっきり言って
  そういう余裕が
  ありません」

 そうズバリと言うオスカー副団長に、恵里花は納得顔になって頷く。

 「そうね……たしかに
  それでは……

  …余裕なんて無いわね
  …うん…確かに…」

 オスカー副団長の説明に頷く恵里花に、司祭のアルベルトが声をかける。

 「あのぉ~…
  ちょっとイイですか?」

 その言葉に、恵里花はアルベルト司祭の方へと向きなおる。

 〔えぇ~とぉ…たしか…
  司祭様よね……

  アルベルトという
  お名前の……何かしら?

  あっ…もしかして…
  重要なことでも………〕

 恵里花は、常々、パパから………。

 『よくお聞き、恵里花
  やましいことや
  嘘を口にする時は

  かならず、挙動不審に
  なるから………

  相手から正確な情報を
  取りたかったら

  かならず、相手の瞳を
  見なさい………』

 と、言われているのだ。

 勿論、その後には、定番の………。

 『いいかい、恵里花は
  可愛いんだから………』

 と、続くのだ。
 当然、兄も同じことを何度となく口にしていた。

 だから、人の話しを聞く時は、真正面から相手の瞳を見るようにとパパに教えられている恵里花は、きっとこれば重要な内容に違いないと、しっかりと視線を合わせて聞く。

 「アルベルト司祭様
  何か?」

 自分に向き直り、聞く体制になった恵里花に、アルベルトは真面目な表情で言う。

 「はい、聖女候補の
  姫君が7人も

  召喚された事例は
  今までございませんでした

  今までで
  1番多い召喚人数が
  3人でしたので………

  精霊魔法は
  魔法師団で習い

  神聖魔法は
  神聖魔法師団で習い

  剣や馬術などの戦闘…
  …ゲフンゲフン…

  すみません…
  ちょっと喉が……

  ご自身で身を護る為の
  護身術は帝都騎士団で
  習うという状態でした

  今回は…人数が多いですし………

  どうせなら…
  実戦形式で指導した方が

  色々なコトを
  早く覚えるコトが
  出来るだろうという……

  こちらの事情が
  ありまして…………」

 〔えぇ~と…やっぱり…
  聖女召喚の定番の
  瘴気とかかな?

  魔王討伐とかは
  イヤだな……

  まぁ…そんな雰囲気は
  ないから……

  瘴気でしょうねぇ……
  たぶん……

  じゃなくて…
  聖女候補召喚の場に

  全部の騎士団関係の
  人って居たのかな?〕

 そんなコトを、恵里花は考えてしまった。






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