○○系女子の扱いには苦労する
5話―3「放り投げられたクッキー」
「なんかまだ勘違いしてるみたいだから言っておくけど、円芭とは全くそんなことはないから」
今はまだっ。
これから先どうなるか分からないが。
……あ~、胸がズキズキする。
どうして俺がこんな思いを朝からしなければいけないんだっ。
「へぇ、そうなんだ」
「そうなんだよっ」
「言っとくけど、私、円ちゃんじゃないお嫁さんだったらイビるから」
「はぁ!?」
まさかのお袋から将来の嫁候補に対するイビり宣言いただきましたよ。
冗談を言っていると思っておこう。
真面目なトーンだからほとんど本気っぽいけど……。
「まぁ、そのときの気分よね~。ふふっ」
なぜそこで笑うっ。
昼ドラの意地悪姑のごとく不敵な笑みである。
将来が不安だよ……。
「祐君、そろそろ行かないと円ちゃんの頭に角生えちゃうよ」
「もうこんな時間かよっ。あいつ集合時間より早くいるからな」
「いいことじゃない。ホント真面目で良い子」
お袋の中の円芭に対する好感度があがったような効果音が、幻聴で聞こえてしまうくらいお袋はルンルンな様子。
はぁ……困ったな。
将来の嫁候補一択とかありかよ。
……いや、そういう大事な選択の場面で他人の指示・アドバイスを鵜呑みにしてはダメだ。
この件に関しては、自分の意思を貫くぞっ。
そう決意も新たに家を出て、自転車に股がり円芭の家へ視線を送る。
「……」
よし、まだ出てきてない。
早めに出て正解だった。
今日は絶好のプール日和だ。
あと、紫外線が痛いのなんの。
真っ青な天井を見る。
雲が一つもないって良いね。
ガチャ。
「ハクシュ!」
なんで空見るとくしゃみが出るんだろうね。
つか、今ドアが開いた音しなかったか?
「私の家の前でくしゃみしないでもらえる?」
ドアの開いた音のする方へ視線を向けたら、制服を着た円芭が訝しげな顔をしていた。
別にしたくてしたわけじゃないんだけどな……。
「す、すまん」
「……まったく。行くよ、祐」
「そうだな」
さっきから俺の横を学生達が通りすぎていってたから時間的にどうなんだろうとわずかながら不安になっていたが、円芭の素振りからして遅刻ギリギリに着くということはなさそうだ。
ゆっくりスカートを整えている。
「あと、行く前に渡したい物があるの」
「渡したい物?」
「そう。何度も言わせないで」
まだ一回しか訊いてないんですけど。
キレるタイミングがいまいちよく分からん。
「すまん」
「と、とにかく渡すっ」
「お、おう」
スカートのポケットの中から取り出してきたそれは、なんとも生温かった。
普通人に渡す物を体温で温めておくか? 
冬でもないのに。
「中身クッキーだから」
「どうした、急に」
こいつが俺にクッキーを作ってくれるとかなにか意味があるに違いない。
これは警戒した方が良さそう。
「ぎ、疑似のお礼」
そう警戒していたら、まったく異なる反応を円芭が示した。
照れ臭そうにしている。
「サンキュ」
「そ、そろそろ行くよ」
恥ずかしさに耐えられなくなった円芭は自転車に股がり、ペダルを漕ぎ出した。
耳まで真っ赤にして。
そんな自業自得な幼なじみについていく。
疑似のお礼とかなんとか言って渡せばいいのに。
ちょっとこういうところ円芭は苦手に思える。
「……」
「……」
こんな無言で通学してて、何かアイディアでも浮かぶのか?
まぁ、小説のアイディア起こしの一貫で疑似恋人に円芭から任命されたわけだが、こいつに限ってはクッキーを渡すので精一杯なのだろう。
通学中終始無言のまま、俺達は、なんにも特筆することもなく学校に着いた。
こんなのでアイディア浮かぶのだろうか。
☆☆☆
「机半分使うぞ」
「いちいち断らなくて良いよ」
一日経つのは凄い早い。
気づいたらもうお昼になっていた。
俺的には、ついさっき登校してきた気分だ。
「いや、言わないとキレるだろ」
「誰が?」
「祐しかいないだろ」
……確かに、そう言ったかも。
だが、この際そんな些細なことはどうでも良い。
早くクッキーを食べたい。
「つか、そんなことよりその袋はなんだ?」
「昨日買ったんだよ」
一応嘘をついた。
円芭からもらったというと、めんどくさそうだからだ。
にしても、袋の存在に気づくの早いな。
「ふ~ん、凄い手作り感あるんだが」
「今時そういうものもあるだろ」
「……円芭か」
「だから、買ったんだって」
「……」
ダメだ。
昼に食うのは止めよう。
こんな監視状態にある以上食べるのは危険すぎる。
絶対形で言い逃れ出来なくなるに違いない。
円芭め……。
色んな意味で爆弾放り投げてきやがった。
しかも、無意識にっ!
今はまだっ。
これから先どうなるか分からないが。
……あ~、胸がズキズキする。
どうして俺がこんな思いを朝からしなければいけないんだっ。
「へぇ、そうなんだ」
「そうなんだよっ」
「言っとくけど、私、円ちゃんじゃないお嫁さんだったらイビるから」
「はぁ!?」
まさかのお袋から将来の嫁候補に対するイビり宣言いただきましたよ。
冗談を言っていると思っておこう。
真面目なトーンだからほとんど本気っぽいけど……。
「まぁ、そのときの気分よね~。ふふっ」
なぜそこで笑うっ。
昼ドラの意地悪姑のごとく不敵な笑みである。
将来が不安だよ……。
「祐君、そろそろ行かないと円ちゃんの頭に角生えちゃうよ」
「もうこんな時間かよっ。あいつ集合時間より早くいるからな」
「いいことじゃない。ホント真面目で良い子」
お袋の中の円芭に対する好感度があがったような効果音が、幻聴で聞こえてしまうくらいお袋はルンルンな様子。
はぁ……困ったな。
将来の嫁候補一択とかありかよ。
……いや、そういう大事な選択の場面で他人の指示・アドバイスを鵜呑みにしてはダメだ。
この件に関しては、自分の意思を貫くぞっ。
そう決意も新たに家を出て、自転車に股がり円芭の家へ視線を送る。
「……」
よし、まだ出てきてない。
早めに出て正解だった。
今日は絶好のプール日和だ。
あと、紫外線が痛いのなんの。
真っ青な天井を見る。
雲が一つもないって良いね。
ガチャ。
「ハクシュ!」
なんで空見るとくしゃみが出るんだろうね。
つか、今ドアが開いた音しなかったか?
「私の家の前でくしゃみしないでもらえる?」
ドアの開いた音のする方へ視線を向けたら、制服を着た円芭が訝しげな顔をしていた。
別にしたくてしたわけじゃないんだけどな……。
「す、すまん」
「……まったく。行くよ、祐」
「そうだな」
さっきから俺の横を学生達が通りすぎていってたから時間的にどうなんだろうとわずかながら不安になっていたが、円芭の素振りからして遅刻ギリギリに着くということはなさそうだ。
ゆっくりスカートを整えている。
「あと、行く前に渡したい物があるの」
「渡したい物?」
「そう。何度も言わせないで」
まだ一回しか訊いてないんですけど。
キレるタイミングがいまいちよく分からん。
「すまん」
「と、とにかく渡すっ」
「お、おう」
スカートのポケットの中から取り出してきたそれは、なんとも生温かった。
普通人に渡す物を体温で温めておくか? 
冬でもないのに。
「中身クッキーだから」
「どうした、急に」
こいつが俺にクッキーを作ってくれるとかなにか意味があるに違いない。
これは警戒した方が良さそう。
「ぎ、疑似のお礼」
そう警戒していたら、まったく異なる反応を円芭が示した。
照れ臭そうにしている。
「サンキュ」
「そ、そろそろ行くよ」
恥ずかしさに耐えられなくなった円芭は自転車に股がり、ペダルを漕ぎ出した。
耳まで真っ赤にして。
そんな自業自得な幼なじみについていく。
疑似のお礼とかなんとか言って渡せばいいのに。
ちょっとこういうところ円芭は苦手に思える。
「……」
「……」
こんな無言で通学してて、何かアイディアでも浮かぶのか?
まぁ、小説のアイディア起こしの一貫で疑似恋人に円芭から任命されたわけだが、こいつに限ってはクッキーを渡すので精一杯なのだろう。
通学中終始無言のまま、俺達は、なんにも特筆することもなく学校に着いた。
こんなのでアイディア浮かぶのだろうか。
☆☆☆
「机半分使うぞ」
「いちいち断らなくて良いよ」
一日経つのは凄い早い。
気づいたらもうお昼になっていた。
俺的には、ついさっき登校してきた気分だ。
「いや、言わないとキレるだろ」
「誰が?」
「祐しかいないだろ」
……確かに、そう言ったかも。
だが、この際そんな些細なことはどうでも良い。
早くクッキーを食べたい。
「つか、そんなことよりその袋はなんだ?」
「昨日買ったんだよ」
一応嘘をついた。
円芭からもらったというと、めんどくさそうだからだ。
にしても、袋の存在に気づくの早いな。
「ふ~ん、凄い手作り感あるんだが」
「今時そういうものもあるだろ」
「……円芭か」
「だから、買ったんだって」
「……」
ダメだ。
昼に食うのは止めよう。
こんな監視状態にある以上食べるのは危険すぎる。
絶対形で言い逃れ出来なくなるに違いない。
円芭め……。
色んな意味で爆弾放り投げてきやがった。
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