異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第201話お母さん! 母と魔女④
俺とブラックは玄関ロビー脇のダイニングに通され、俺は何故か曾爺さんである桐島怜人に「おい。若いの、ちょっと、茶を煎れろ」とコキ使われていた。
それにしても、驚いた。
どうして、曾爺さんがここにいるんだ?
ブラックは時間を戻したって言っていたけど、まさか、時間を戻した事で曾爺さんが蘇ったのか?
「おい! 若いの! 早くせぇ!」
「は、はい!」
キッチンでお茶を沸かしながら考え事をしていると、曾爺さんの大きな声が届き、俺は急いでダイニングまで向かった。
______ダイニング______
床には玄関ホールと同じ赤い絨毯が敷き詰められ、20人は一度に食事が出来てしまうのではないかと思うほどに大きなダイニングテーブルセットがあり、ブラックと曾爺さんは端と端に座っている。
こんなに席が空いているんだから、もっとお互いに近づけよ!
と内心思ったが、口に出すとこの短気な爺さんの琴線に触れると思い、余計なことは言わなかった。
「......不味い。こんなに不味い茶は初めて飲んだ」
曾爺さんは俺の煎れたお茶を口に含み、礼より先に文句を言う。
流石、俺の母親の爺さんであり、花島不動産創業者だ。
母親の常識外れの言動は曾爺さん譲りなんだなと俺は一人で納得した。
俺はブラックにも茶を煎れ、ブラックの近くの椅子に腰を掛ける。
そして、俺は曾爺さんに問う。
「あの、ブラックを知っているって事はあなたも異世界に行った事があるんですか?」
「あぁ。如何にも......」
曾爺さんは言葉少なに答え、それからしばらく黙りこくってしまった。
普通であれば、「君も異世界に行った事があるのか?」と質問をしてくると思うが、曾爺さんは興味がないのか何も尋ねてこない。
何故、何も尋ねて来ないのか?
悶々としていると、突然、頭の中に直接声が響く。
『お前の事はいちいち聞かなくても分かる。のう? 我が孫よ』
「______え?」
驚きが声に出て、立ち上がると、曾爺さんはしたり顔で俺を見やる。
聞かなくても分かる?
それに、この爺さん、今、俺を孫って......。
「それが怜人の力なのよ~。能力とは違う、天力という神から授かった力よ~」
「神から授かった?」
「そう~。正確には、神から奪ったというべきかしら~」
「ん? 奪った? どういう事?」
ブラックは曾爺さんの不思議な力について説明してくれてはいるが、ざっくばらん過ぎて理解が追いつかない。
俺が困惑していると、『しょうがねぇなぁ』と再び、脳内に曾爺さんの声が響き、その直後に鮮明な映像が飛び込んできた。
映像の中には男女三人が酒場のような場所で飲み食いをしている。
金髪で金色の瞳の美しい幼女、スラッとモデルのような体型で青と緑のドレスを身に付けている長い耳が特徴的なエルフ、無精ひげを生やしたオッサン。
この映像は一体、何なんだ?
『俺の記憶の一部を見せている』
「......って、事はこのオッサンは若い頃の曾爺さんか。じゃあ、目の前にいる二人は?」
『胸が小さいのがレイン、大きいのがエゼキエルだ』
「レイン? 確か、ブラックが俺の体内から魔石を取り出した時にその名を言っていたな。そうか。こいつがレイン。まるで人形みたいで可愛い奴だな」
『......ま、思い出さないか。記憶を取り戻したら俺に感謝しろよ』
「ん? 何が?」
『いや、いい。それより、次に行くぞ』
「え!?」
曾爺さんがそう言うと、まるで8mmフィルムのように「カシャ」という音を立てて、映像が切り替わった。
それにしても、驚いた。
どうして、曾爺さんがここにいるんだ?
ブラックは時間を戻したって言っていたけど、まさか、時間を戻した事で曾爺さんが蘇ったのか?
「おい! 若いの! 早くせぇ!」
「は、はい!」
キッチンでお茶を沸かしながら考え事をしていると、曾爺さんの大きな声が届き、俺は急いでダイニングまで向かった。
______ダイニング______
床には玄関ホールと同じ赤い絨毯が敷き詰められ、20人は一度に食事が出来てしまうのではないかと思うほどに大きなダイニングテーブルセットがあり、ブラックと曾爺さんは端と端に座っている。
こんなに席が空いているんだから、もっとお互いに近づけよ!
と内心思ったが、口に出すとこの短気な爺さんの琴線に触れると思い、余計なことは言わなかった。
「......不味い。こんなに不味い茶は初めて飲んだ」
曾爺さんは俺の煎れたお茶を口に含み、礼より先に文句を言う。
流石、俺の母親の爺さんであり、花島不動産創業者だ。
母親の常識外れの言動は曾爺さん譲りなんだなと俺は一人で納得した。
俺はブラックにも茶を煎れ、ブラックの近くの椅子に腰を掛ける。
そして、俺は曾爺さんに問う。
「あの、ブラックを知っているって事はあなたも異世界に行った事があるんですか?」
「あぁ。如何にも......」
曾爺さんは言葉少なに答え、それからしばらく黙りこくってしまった。
普通であれば、「君も異世界に行った事があるのか?」と質問をしてくると思うが、曾爺さんは興味がないのか何も尋ねてこない。
何故、何も尋ねて来ないのか?
悶々としていると、突然、頭の中に直接声が響く。
『お前の事はいちいち聞かなくても分かる。のう? 我が孫よ』
「______え?」
驚きが声に出て、立ち上がると、曾爺さんはしたり顔で俺を見やる。
聞かなくても分かる?
それに、この爺さん、今、俺を孫って......。
「それが怜人の力なのよ~。能力とは違う、天力という神から授かった力よ~」
「神から授かった?」
「そう~。正確には、神から奪ったというべきかしら~」
「ん? 奪った? どういう事?」
ブラックは曾爺さんの不思議な力について説明してくれてはいるが、ざっくばらん過ぎて理解が追いつかない。
俺が困惑していると、『しょうがねぇなぁ』と再び、脳内に曾爺さんの声が響き、その直後に鮮明な映像が飛び込んできた。
映像の中には男女三人が酒場のような場所で飲み食いをしている。
金髪で金色の瞳の美しい幼女、スラッとモデルのような体型で青と緑のドレスを身に付けている長い耳が特徴的なエルフ、無精ひげを生やしたオッサン。
この映像は一体、何なんだ?
『俺の記憶の一部を見せている』
「......って、事はこのオッサンは若い頃の曾爺さんか。じゃあ、目の前にいる二人は?」
『胸が小さいのがレイン、大きいのがエゼキエルだ』
「レイン? 確か、ブラックが俺の体内から魔石を取り出した時にその名を言っていたな。そうか。こいつがレイン。まるで人形みたいで可愛い奴だな」
『......ま、思い出さないか。記憶を取り戻したら俺に感謝しろよ』
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『いや、いい。それより、次に行くぞ』
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