異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第190話お母さん! ユスフィアの成り立ち
______研究所・地下庭園______
通された部屋の足元には青々しい芝が広がり、肌を撫でるように暖かな風が辺りを舞い、見上げるほどに大きな針葉樹が空間の中央に御神木のように鎮座している。
この空間一言で表すと”楽園”という言葉が相応しい。
「気持ちの良い空間だろう。ここは僕の一番のお気に入りさ」
白衣を着た男性。
霧妻光は眼鏡をクイッと上に上げながら穏やかな表情で俺にそう言った。
「......あれはヒカリゴケか?」
天井にはレプティリアンの国で見たような植物が生え、その植物が発光していた。
俺が”ヒカリゴケ”というワードを口にすると霧妻光は不器用な笑顔で「そうだ。ヒカリゴケを知っているのか?」と俺に質問する。
霧妻は恐らく、俺から異世界の話をもっと聞きたいのだろう。
「あぁ。レプティリアンの国で見た」
「レプティリアン? 確か、トカゲ人間のような種族か?」
俺は二度頷く。
「この地下研究所はレプティリアンの国と似ている。水も光もあって、自給自足も出来ているし、これは俺の推測だがこの研究所の存在も異世界に影響したんじゃないか?」
霧妻は俺の質問を簡単な言葉で返した。
「そうだろうな。僕達の世界とユスフィアは対となっているから」
異世界から地球に戻り、俺は霧妻から俺がいた世界。
俺がいなくなった後の地球について色々と話を聞いた。
俺が異世界と認識していた世界______ユスフィアと地球は対となり、ユスフィアで起きた事は何らかの形で地球にも影響し、地球に起きた事はユスフィアにも影響を及ぼすらしい。
また、ユスフィアは俺の認識していた異世界の成り立ちと大分違っていた。
俺達人間が生まれるずっと前、恐らく、恐竜などが生まれる前に今の文明社会よりも高度な技術を持つ文明が地球に存在した。
その文明は何かしらの災害で滅んでしまったが、彼らの残した遺物のようなものは世界各地に残る。
俺達はそれらを”オーパーツ”という名称で言っているが、どうやらユスフィアもオーパーツの一種らしい。
簡単に言うと、ユスフィアは今でいうVR空間。
俺達が今、ゲームの中の世界に行きたいという想いを持っているなら、太古に存在した超古代人もそのような夢物語を考えたはず。
霧妻達のチームはその一つの考えを発端とし、ユスフィアを探す研究を始めたらしい。
「しかし、よくそんな一つの妄想から異世界であるユスフィアを見つけ出したな。太平洋に落としたコンタクトレンズを探すようなものだろ」
「ははは。花島はこんな実験を知っているか? 箱の中に猫を入れて、その中に毒ガスのようなものを入れる。一定時間、経過した後は箱の中の猫は死んでいるか、生きているか分からないが、人間が箱を空けて観測すれば生死が判明する。その逆の考えで、人間が箱を開けるまでは猫の生死は不明。観測するまでは生と死が共存しているという状態になっている」
「シュレディンガーの猫か」
「そうだ。つまり、我々が観測しようとすれば異世界は見えない。我々が観測しなければ異世界はそこに存在し続ける」
「気の遠くなるような話だ。で、どうやって異世界を見つけたんだ?」
「良い質問だ」
そう言って、霧妻は鼻を鳴らした。
頭の良い奴は「良い質問だ」という言葉を使い、自分と他者との優位性を保とうとするから嫌いだ。
「見たら、観測したら、異世界は姿を現すどころか遠のいてしまう。私はその原因が何なのか突き止めたんだ」
「原因?」
「あぁ。見て貰った方が早いな。ちょっと、失礼するよ」
そう言って、霧妻は白衣の袖をグイっとまくり、白衣のポケットから六芒星の形をした中二病くさい銀色の首飾りのようなものを出し、俺の胸に充てる。
「おいおい。一体何して______」
銀色の首飾りを胸に充てられ、数秒後。
立ちくらみのような感覚を覚え、視界が暗転。
視界が戻ると俺は自分自身の身体を俯瞰した場所から見上げていた。
通された部屋の足元には青々しい芝が広がり、肌を撫でるように暖かな風が辺りを舞い、見上げるほどに大きな針葉樹が空間の中央に御神木のように鎮座している。
この空間一言で表すと”楽園”という言葉が相応しい。
「気持ちの良い空間だろう。ここは僕の一番のお気に入りさ」
白衣を着た男性。
霧妻光は眼鏡をクイッと上に上げながら穏やかな表情で俺にそう言った。
「......あれはヒカリゴケか?」
天井にはレプティリアンの国で見たような植物が生え、その植物が発光していた。
俺が”ヒカリゴケ”というワードを口にすると霧妻光は不器用な笑顔で「そうだ。ヒカリゴケを知っているのか?」と俺に質問する。
霧妻は恐らく、俺から異世界の話をもっと聞きたいのだろう。
「あぁ。レプティリアンの国で見た」
「レプティリアン? 確か、トカゲ人間のような種族か?」
俺は二度頷く。
「この地下研究所はレプティリアンの国と似ている。水も光もあって、自給自足も出来ているし、これは俺の推測だがこの研究所の存在も異世界に影響したんじゃないか?」
霧妻は俺の質問を簡単な言葉で返した。
「そうだろうな。僕達の世界とユスフィアは対となっているから」
異世界から地球に戻り、俺は霧妻から俺がいた世界。
俺がいなくなった後の地球について色々と話を聞いた。
俺が異世界と認識していた世界______ユスフィアと地球は対となり、ユスフィアで起きた事は何らかの形で地球にも影響し、地球に起きた事はユスフィアにも影響を及ぼすらしい。
また、ユスフィアは俺の認識していた異世界の成り立ちと大分違っていた。
俺達人間が生まれるずっと前、恐らく、恐竜などが生まれる前に今の文明社会よりも高度な技術を持つ文明が地球に存在した。
その文明は何かしらの災害で滅んでしまったが、彼らの残した遺物のようなものは世界各地に残る。
俺達はそれらを”オーパーツ”という名称で言っているが、どうやらユスフィアもオーパーツの一種らしい。
簡単に言うと、ユスフィアは今でいうVR空間。
俺達が今、ゲームの中の世界に行きたいという想いを持っているなら、太古に存在した超古代人もそのような夢物語を考えたはず。
霧妻達のチームはその一つの考えを発端とし、ユスフィアを探す研究を始めたらしい。
「しかし、よくそんな一つの妄想から異世界であるユスフィアを見つけ出したな。太平洋に落としたコンタクトレンズを探すようなものだろ」
「ははは。花島はこんな実験を知っているか? 箱の中に猫を入れて、その中に毒ガスのようなものを入れる。一定時間、経過した後は箱の中の猫は死んでいるか、生きているか分からないが、人間が箱を空けて観測すれば生死が判明する。その逆の考えで、人間が箱を開けるまでは猫の生死は不明。観測するまでは生と死が共存しているという状態になっている」
「シュレディンガーの猫か」
「そうだ。つまり、我々が観測しようとすれば異世界は見えない。我々が観測しなければ異世界はそこに存在し続ける」
「気の遠くなるような話だ。で、どうやって異世界を見つけたんだ?」
「良い質問だ」
そう言って、霧妻は鼻を鳴らした。
頭の良い奴は「良い質問だ」という言葉を使い、自分と他者との優位性を保とうとするから嫌いだ。
「見たら、観測したら、異世界は姿を現すどころか遠のいてしまう。私はその原因が何なのか突き止めたんだ」
「原因?」
「あぁ。見て貰った方が早いな。ちょっと、失礼するよ」
そう言って、霧妻は白衣の袖をグイっとまくり、白衣のポケットから六芒星の形をした中二病くさい銀色の首飾りのようなものを出し、俺の胸に充てる。
「おいおい。一体何して______」
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