異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第158話お母さん! 流浪の民
______マンティコアの瞳内部______
◇ ◇ ◇
■ ■ ■
シルヴィアは真っ直ぐで淀みのない瞳で俺を見つめる。
見た目、心拍数、目の動き。
彼女は噓を付いているように見えない。
だけど、俺にはあの自己中心的な考えで傲慢な天使のような幼女が精神思念体とやらと一つになる事に納得するとは思えなかった。
「兄ちゃん。どうしてそう思うんだ?」
音もなく、突然、クックがシルヴィアの横に現れたかと思うと、クックは唐突に言葉の真意を確かめてきた。
「ゴーレム幼女は俺に助けを求めていた。つまり、お前らが言う一つになるとやらに拒絶している。俺にどうにかして欲しくて、ゴーレム幼女は自身の深層まで招き入れたんじゃないのか?」
それに、ゴーレム幼女は外の世界で暴れまわっていた。
見ようによっては体に纏わりついた嫌な虫を取ろうとしていたように見えなくもない。
一つになる事を受け入れているなら抵抗する必要なんてないからな。
「まあ、半分正解で半分間違いってところだな。実際、レインは一つになる事を拒絶している」
クックは自身の孫娘が言った言葉をあっさりと否定。
シルヴィアに目を向けるが、彼女は悪びれた素振りなど一切せず、ジッとこちらを見ていた。
「まず、兄ちゃんをここまで招き入れたのはレインではなく、シルヴィアだ」
「シルヴィアが?」
シルヴィアはコクリと首を縦に振り、口を開いた。
「あのね。レインは私たちの言葉に耳を貸そうとしないの。私たちには彼らと一つになる事しか選択肢がない。彼らと一つにならなければ私たちの自我は崩壊し、抜殻となったレインの体は世界全てを破壊し続けるわ」
「そんな... ...。お前ら強いんだろ? ゴーレム幼女だって最強クラスの魔女なんじゃないのかよ。そんな訳の分からない精神思念体とやらなんて打ち消せるんじゃ______」
「無理よ。私たちだってやれる事は全てやったわ」
噓だろ... ...。
俺はゴーレム幼女を救いに来たんだぞ。
選択肢がバッドエンドしかないなんてどんなクソゲーだよ!
「感染源... ...。そうだ! これが病気のようなものなら感染源があるはずだ! それを特定すれば解決策が何か見付かるんじゃないか!?」
パンデミック映画なんかを見ると感染源はネズミだったり、蚊や蠅などの生物だったりする。
案外、そういうものを話の中盤で見つけて、問題を解決していくものだ。
今回もきっとそう。
解決出来る事案だ。
だが、シルヴィアは首を横に二度振った。
「私達は彼らと一つになった訳じゃない。そこまでの事は分からない。彼らはとても単調な言葉を伝えてくるだけ」
「単調な言葉?」
「『一つになろう』『失敗』『エンデバー号』彼らから聞き取れたのはこの3つの言葉くらいね。後は言葉になっていなかった」
「失敗? エンデバー号?」
「何か知っているの?」
「ん。何処かで聞いた事があるような、ないような......」
俺は二十七年間生きてきた。
そのような二つの単語くらいどこぞやで聞いたのだろう。
失敗なんて言葉は俺の座右の銘のようなもの。
気になったのは後者。
『エンデバー号』という名称。
小学生の頃に読んだ小説に出てきたような。
いやいや、そんな昔だったか?
どちらかと言うと最近、異世界に来る直前に耳にした気がする。
深くため息をつき、「花島をここに呼んだのはね... ...」とシルヴィアは話の本題に入った。
「... ...どうにかして、レインを自身の運命を受け入れるように説得して欲しいの」
「それは俺がゴーレム幼女に死ねって宣告するのか?」
シルヴィアやクックを睨み付けるとクックは「そうじゃない」と咄嗟に否定。
シルヴィアは「一つになる事は死ではない。私たちは進化するの」と何かSFチックな事を言われ、シルヴィアはダメ押しの一言を俺に言った。
「あなたが説得しなかったら私たちはレインを無理矢理にでも連れて行くわ。でも、そんな事はしたくないの」
あくまでも主導権はそちら側にあるということか。
無理矢理にでもゴーレム幼女を連れて行ける事は嘘ではないのだろう。
シルヴィアやクックはマンティコアの瞳の中に閉じ込められた時から外界と接触はなかった。
反対にゴーレム幼女は色んな人と出会いと別れを繰り返してきた。
一年にも満たない期間だが俺とも寝食を共にし、喧嘩をし、マンションを作ったりしてきた。
シルヴィアやクックは別れの言葉を言う機会を与えてくれたのだろう。
「... ...わかった。どうすればいい?」
シルヴィアはにこりと笑った。
「さっき、あなたに魔石を埋め込んだわ」
あ~。
さっきは少し痛かったぞ。
確かに腰を見ると赤い魔石がしっかりと埋め込まれていた。
「それを左手で触れて、右手は私の胸に触れて」
「... ...わかった」
シルヴィアの年齢は10歳前後か?
いや、微かに胸に膨らみがあるから中一くらいか、発育の良い小学生くらいの可能性もある。
シルヴィアが「触れて」と言うから仕方なく触れるが何か俺の良心が痛む。
クックも「こら! ウチの孫娘に触れるな!」とか言ってくれればいいのに、真顔で事の成り行きを見守るのみ。
それはそれで逆に威圧感あるんだよね。
「お兄ちゃん。どうしたの? 早くして」
「え? あ、ああ」
まあ、ここ異世界だし。
児童ポルノ関係ないし。
頭の中で言い訳を考えながらソッとシルヴィアの褐色の肌に触れた。
◇ ◇ ◇
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シルヴィアは真っ直ぐで淀みのない瞳で俺を見つめる。
見た目、心拍数、目の動き。
彼女は噓を付いているように見えない。
だけど、俺にはあの自己中心的な考えで傲慢な天使のような幼女が精神思念体とやらと一つになる事に納得するとは思えなかった。
「兄ちゃん。どうしてそう思うんだ?」
音もなく、突然、クックがシルヴィアの横に現れたかと思うと、クックは唐突に言葉の真意を確かめてきた。
「ゴーレム幼女は俺に助けを求めていた。つまり、お前らが言う一つになるとやらに拒絶している。俺にどうにかして欲しくて、ゴーレム幼女は自身の深層まで招き入れたんじゃないのか?」
それに、ゴーレム幼女は外の世界で暴れまわっていた。
見ようによっては体に纏わりついた嫌な虫を取ろうとしていたように見えなくもない。
一つになる事を受け入れているなら抵抗する必要なんてないからな。
「まあ、半分正解で半分間違いってところだな。実際、レインは一つになる事を拒絶している」
クックは自身の孫娘が言った言葉をあっさりと否定。
シルヴィアに目を向けるが、彼女は悪びれた素振りなど一切せず、ジッとこちらを見ていた。
「まず、兄ちゃんをここまで招き入れたのはレインではなく、シルヴィアだ」
「シルヴィアが?」
シルヴィアはコクリと首を縦に振り、口を開いた。
「あのね。レインは私たちの言葉に耳を貸そうとしないの。私たちには彼らと一つになる事しか選択肢がない。彼らと一つにならなければ私たちの自我は崩壊し、抜殻となったレインの体は世界全てを破壊し続けるわ」
「そんな... ...。お前ら強いんだろ? ゴーレム幼女だって最強クラスの魔女なんじゃないのかよ。そんな訳の分からない精神思念体とやらなんて打ち消せるんじゃ______」
「無理よ。私たちだってやれる事は全てやったわ」
噓だろ... ...。
俺はゴーレム幼女を救いに来たんだぞ。
選択肢がバッドエンドしかないなんてどんなクソゲーだよ!
「感染源... ...。そうだ! これが病気のようなものなら感染源があるはずだ! それを特定すれば解決策が何か見付かるんじゃないか!?」
パンデミック映画なんかを見ると感染源はネズミだったり、蚊や蠅などの生物だったりする。
案外、そういうものを話の中盤で見つけて、問題を解決していくものだ。
今回もきっとそう。
解決出来る事案だ。
だが、シルヴィアは首を横に二度振った。
「私達は彼らと一つになった訳じゃない。そこまでの事は分からない。彼らはとても単調な言葉を伝えてくるだけ」
「単調な言葉?」
「『一つになろう』『失敗』『エンデバー号』彼らから聞き取れたのはこの3つの言葉くらいね。後は言葉になっていなかった」
「失敗? エンデバー号?」
「何か知っているの?」
「ん。何処かで聞いた事があるような、ないような......」
俺は二十七年間生きてきた。
そのような二つの単語くらいどこぞやで聞いたのだろう。
失敗なんて言葉は俺の座右の銘のようなもの。
気になったのは後者。
『エンデバー号』という名称。
小学生の頃に読んだ小説に出てきたような。
いやいや、そんな昔だったか?
どちらかと言うと最近、異世界に来る直前に耳にした気がする。
深くため息をつき、「花島をここに呼んだのはね... ...」とシルヴィアは話の本題に入った。
「... ...どうにかして、レインを自身の運命を受け入れるように説得して欲しいの」
「それは俺がゴーレム幼女に死ねって宣告するのか?」
シルヴィアやクックを睨み付けるとクックは「そうじゃない」と咄嗟に否定。
シルヴィアは「一つになる事は死ではない。私たちは進化するの」と何かSFチックな事を言われ、シルヴィアはダメ押しの一言を俺に言った。
「あなたが説得しなかったら私たちはレインを無理矢理にでも連れて行くわ。でも、そんな事はしたくないの」
あくまでも主導権はそちら側にあるということか。
無理矢理にでもゴーレム幼女を連れて行ける事は嘘ではないのだろう。
シルヴィアやクックはマンティコアの瞳の中に閉じ込められた時から外界と接触はなかった。
反対にゴーレム幼女は色んな人と出会いと別れを繰り返してきた。
一年にも満たない期間だが俺とも寝食を共にし、喧嘩をし、マンションを作ったりしてきた。
シルヴィアやクックは別れの言葉を言う機会を与えてくれたのだろう。
「... ...わかった。どうすればいい?」
シルヴィアはにこりと笑った。
「さっき、あなたに魔石を埋め込んだわ」
あ~。
さっきは少し痛かったぞ。
確かに腰を見ると赤い魔石がしっかりと埋め込まれていた。
「それを左手で触れて、右手は私の胸に触れて」
「... ...わかった」
シルヴィアの年齢は10歳前後か?
いや、微かに胸に膨らみがあるから中一くらいか、発育の良い小学生くらいの可能性もある。
シルヴィアが「触れて」と言うから仕方なく触れるが何か俺の良心が痛む。
クックも「こら! ウチの孫娘に触れるな!」とか言ってくれればいいのに、真顔で事の成り行きを見守るのみ。
それはそれで逆に威圧感あるんだよね。
「お兄ちゃん。どうしたの? 早くして」
「え? あ、ああ」
まあ、ここ異世界だし。
児童ポルノ関係ないし。
頭の中で言い訳を考えながらソッとシルヴィアの褐色の肌に触れた。
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