異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第84話お母さん! 大丈夫!
その後、人目も気にせず、大声で泣き叫び、それを見た大丈夫オジサンは半笑いで話しかけてきて。
「... ...お前、本当大丈夫? メンヘラかよ」
「... ...へ?」
大丈夫オジサンから「大丈夫」以外の言葉を耳にし、一瞬、動揺した。
「いやね、こんな状況見せられたらオジサンも心病むよ。そりゃあ、オジサンだからね。オジサンってあれよ、メンタル意外に弱いからね」
「... ...はぁ」
いつになく饒舌に語るオジサンの態度を見ていると悲劇のヒロインのような態度を取っている自分が一気に恥ずかしくなった。
大丈夫オジサンは俺の膝を椅子に見立て、ちょこんとそこに腰を掛けて長話モードに入る。
「あんた、歳いくつよ?」
「え、27です」
「27!? おいおい、そりゃあ、尚更シッカリしなきゃいけない歳だろ!? お前、オジサンが27の時なんか既に一回離婚してるよ! もっと落ち着けよ!」
「いや、でも、みんな殺されちゃったし... ...」
「そりゃ、人間いつか死ぬさ。オジサンなんて血圧も血糖値も高いからね! 医者に酒とタバコ辞めろって言われたんだけどよ。逆にそれやめたら死んじまうっての! ガハハ!」
何だ、このオジサン。
ラスボス的雰囲気のハンヌと対峙している重要なシーンにも関わらず、まるでそこは居酒屋のカウンターのよう。
「さぁ! 異界の勇者よ! 仲間の死にザマをシッカリと脳内に残して死ね!」
ハンヌを含め、俺以外の人間にはこのオジサンは見えない。
ハンヌは銀色の矢のようなものをこちらに向けて放つ。
「嫌だ!!! 見たくない!」
と俺は再び、絶叫すると。
「じゃあ、見なきゃいいじゃん」
と緊迫した状況という空気も読まず、俺に絡んでくるオジサン。
... ...そういえば、オジサンと話している時って何故か時が止まった感覚になるがこれが走馬灯ってやつなのか?
「は? オジサン何言ってるの?」
「だから、見なきゃいいじゃん。見たくないなら」
「でも、あいつ神様だって言うし、俺があいつに抵抗出来る訳がないし」
「はぁ? 神様? 嘘だろお前、そんなハッタリ信じてんの?」
「いや、ハッタリって。実際にみんな殺されて... ...」
「嘘だから。それ、全部あいつの嘘。因みにあいつ神様でも何でもないよ。ただの嘘つきだよ」
根拠のないことを言うオジサンにさすがの俺もイラッとする。
「は? 嘘?」
「そうだよ。だって、あいつ、ただの嘘つきピエロだよ」
「... ...噓つき?」
「うん。どう考えてもそうじゃんか。そもそも神なんてそんな早々に顔出しOKな訳でもないし、魔女がそんなに多い訳ないだろ?」
「あいつは神でも魔女でもなくてただの嘘つきだって」
「... ...でも、リズがあいつは魔女だって」
「あー。それも嘘だから。リズなんてやつこの世に存在した事ないよ」
「は? お前、何言って... ...」
「そのまんまだって、お前も、二人の魔法少女も偽りの記憶を埋め込まれただけだよ。絶対そう!」
「... ...何か証拠は?」
「は? 証拠?」
「そうだよ! あいつが神様じゃなくて、リズも存在しなくて、皆が死んだのも嘘だって言う証拠を示せよ!」
「... ...そんなもん。ないよ」
「ない!? じゃあ、適当な事言うな!!!!」
「... ...兄ちゃん。それ、可笑しい事に気付かないか?」
「可笑しい??」
「... ...何で、そんなにあいつの言っている事や今起きている事を肯定したがる?」
「... ...え?」
オジサンにそれを言われて、確かに俺は自分の考えが救いのない方が現実という事に固執していると気が付く。
「いや、でも、現実で実際... ...」
「うん。そうだよ。目の前では確かに悲惨な出来事が起きているけどよ。普通の人間ってのはそいつを一回否定するんだよ。『嘘だろ!』『夢だろ!?』って。でも、兄ちゃん、全て受け入れてんじゃんか」
「... ...何が言いたいんだ?」
「あいつが言ってた通りだよ。兄ちゃんはあいつの掌で踊らされ過ぎだ。... ...止めてみろよあの攻撃を」
オジサンが指差す先にはハンヌが放った銀色の矢。
... ...止める。
それが俺に出来るのか?
どうせ、このままジッとしても死ぬだけか。
_______パシッ!
「ほら、止められた」
右手を見ると掌にはハンヌが放った銀の矢がそこにはあった。
高速で向かってきたものを素手で掴んだのにも関わらず、右手には傷一つない。
まるで、それは元々、この掌の中にあったかのようだ。
「____!? 貴様、何をやった? 何をやったんだよ!!」
まさか、自分の攻撃が俺のような最弱者に止められると思っていなかったのか、キャッチボールの球を受けるかのように平然としている俺を見て、ハンヌは頭を抱えている。
「... ...え。普通に」
何か特殊な魔法を使っただの、自分の放った矢の威力が疲労により落ちていただの、ハンヌは俺が矢を止めた理由を何やら模索しているのだがそれは”意味がない問答である”と教えてあげなくてはいけない。
大丈夫オジサンからの受け売りの言葉をまるで自分の言葉のようにして教えてあげよう。
「... ...ハンヌ。俺はもう騙されない。お前はただの噓つきだ!」
「... ...お前、本当大丈夫? メンヘラかよ」
「... ...へ?」
大丈夫オジサンから「大丈夫」以外の言葉を耳にし、一瞬、動揺した。
「いやね、こんな状況見せられたらオジサンも心病むよ。そりゃあ、オジサンだからね。オジサンってあれよ、メンタル意外に弱いからね」
「... ...はぁ」
いつになく饒舌に語るオジサンの態度を見ていると悲劇のヒロインのような態度を取っている自分が一気に恥ずかしくなった。
大丈夫オジサンは俺の膝を椅子に見立て、ちょこんとそこに腰を掛けて長話モードに入る。
「あんた、歳いくつよ?」
「え、27です」
「27!? おいおい、そりゃあ、尚更シッカリしなきゃいけない歳だろ!? お前、オジサンが27の時なんか既に一回離婚してるよ! もっと落ち着けよ!」
「いや、でも、みんな殺されちゃったし... ...」
「そりゃ、人間いつか死ぬさ。オジサンなんて血圧も血糖値も高いからね! 医者に酒とタバコ辞めろって言われたんだけどよ。逆にそれやめたら死んじまうっての! ガハハ!」
何だ、このオジサン。
ラスボス的雰囲気のハンヌと対峙している重要なシーンにも関わらず、まるでそこは居酒屋のカウンターのよう。
「さぁ! 異界の勇者よ! 仲間の死にザマをシッカリと脳内に残して死ね!」
ハンヌを含め、俺以外の人間にはこのオジサンは見えない。
ハンヌは銀色の矢のようなものをこちらに向けて放つ。
「嫌だ!!! 見たくない!」
と俺は再び、絶叫すると。
「じゃあ、見なきゃいいじゃん」
と緊迫した状況という空気も読まず、俺に絡んでくるオジサン。
... ...そういえば、オジサンと話している時って何故か時が止まった感覚になるがこれが走馬灯ってやつなのか?
「は? オジサン何言ってるの?」
「だから、見なきゃいいじゃん。見たくないなら」
「でも、あいつ神様だって言うし、俺があいつに抵抗出来る訳がないし」
「はぁ? 神様? 嘘だろお前、そんなハッタリ信じてんの?」
「いや、ハッタリって。実際にみんな殺されて... ...」
「嘘だから。それ、全部あいつの嘘。因みにあいつ神様でも何でもないよ。ただの嘘つきだよ」
根拠のないことを言うオジサンにさすがの俺もイラッとする。
「は? 嘘?」
「そうだよ。だって、あいつ、ただの嘘つきピエロだよ」
「... ...噓つき?」
「うん。どう考えてもそうじゃんか。そもそも神なんてそんな早々に顔出しOKな訳でもないし、魔女がそんなに多い訳ないだろ?」
「あいつは神でも魔女でもなくてただの嘘つきだって」
「... ...でも、リズがあいつは魔女だって」
「あー。それも嘘だから。リズなんてやつこの世に存在した事ないよ」
「は? お前、何言って... ...」
「そのまんまだって、お前も、二人の魔法少女も偽りの記憶を埋め込まれただけだよ。絶対そう!」
「... ...何か証拠は?」
「は? 証拠?」
「そうだよ! あいつが神様じゃなくて、リズも存在しなくて、皆が死んだのも嘘だって言う証拠を示せよ!」
「... ...そんなもん。ないよ」
「ない!? じゃあ、適当な事言うな!!!!」
「... ...兄ちゃん。それ、可笑しい事に気付かないか?」
「可笑しい??」
「... ...何で、そんなにあいつの言っている事や今起きている事を肯定したがる?」
「... ...え?」
オジサンにそれを言われて、確かに俺は自分の考えが救いのない方が現実という事に固執していると気が付く。
「いや、でも、現実で実際... ...」
「うん。そうだよ。目の前では確かに悲惨な出来事が起きているけどよ。普通の人間ってのはそいつを一回否定するんだよ。『嘘だろ!』『夢だろ!?』って。でも、兄ちゃん、全て受け入れてんじゃんか」
「... ...何が言いたいんだ?」
「あいつが言ってた通りだよ。兄ちゃんはあいつの掌で踊らされ過ぎだ。... ...止めてみろよあの攻撃を」
オジサンが指差す先にはハンヌが放った銀色の矢。
... ...止める。
それが俺に出来るのか?
どうせ、このままジッとしても死ぬだけか。
_______パシッ!
「ほら、止められた」
右手を見ると掌にはハンヌが放った銀の矢がそこにはあった。
高速で向かってきたものを素手で掴んだのにも関わらず、右手には傷一つない。
まるで、それは元々、この掌の中にあったかのようだ。
「____!? 貴様、何をやった? 何をやったんだよ!!」
まさか、自分の攻撃が俺のような最弱者に止められると思っていなかったのか、キャッチボールの球を受けるかのように平然としている俺を見て、ハンヌは頭を抱えている。
「... ...え。普通に」
何か特殊な魔法を使っただの、自分の放った矢の威力が疲労により落ちていただの、ハンヌは俺が矢を止めた理由を何やら模索しているのだがそれは”意味がない問答である”と教えてあげなくてはいけない。
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