異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第65話お母さん! 魔法少女達の過去⑥
□ □ □
家の前の草原に強制的にワープされると目の前にはリズとミーレとレミーの姿。
そして、リズが何やら呪文を唱えながら先端がアンモナイトの化石のように巻かれており、春の山菜でお馴染みのゼンマイのような木の棒を森に向けると棒の先端が燃えるように閃光し、火球が放たれる。
「おお! すごいぞ! 赤い火の玉が出た!」
「うん! 美味しそう!」
美味しそう?
どんだけ食い意地張っているんだよ... ...。
「これが魔法だよ。慣れてくれば空を飛べたり、雨を降らせたり何でも出来るようになるさ」
「凄い! 凄い! 魔女みたい!」
「魔女って子だ! あははは!」
「魔女なんだけどね... ...。あんたら本当にアホな子だよ」
呆れながらもリズは穏やかな顔付きでハシャグ二人を見ていた。
『国王の勧誘が酷くなってきて、このままでは二人が危険に晒されるかもしれない。って当時の私は思ってね。護身用として二人に魔法を教えたんだよ。それが最大の過ち』
「へえ。って事はリズが二人の師匠みたいなもんなんだな。国で五本の指に入る魔女に魔法を教えて貰ったんならあいつらが上級魔法使いになれた理由も頷ける。でも、何でそれが最大の過ちなのさ』
声しか聞こえないので最初は多少の不便さを感じたが今ではもう慣れ、姿の見えない者との対話のコツを取得した。
とりあえず、声のした方向に向かって話しておけばオールオーケー。
みんなもそういう状況に遭遇したら使ってみてくれ!
『ふん。師匠か。あいつらに魔法を教えた事は一度もないよ』
「は? 教えた事ない?」
『まあ、見てな』
ミーレとレミーはリズの魔法を見た直後にリズの家に二人して駆けて行き、何やらガチャガチャと家の中で音を立て何かを探している。
ん? 何だ?
そして、暫くしてから家から出てきた二人は何か棒状のものを持ちながら「あははは!」と声を上げながらこちらに向かって走ってくる。
「あんたら何だいそんなもの持って来て」
「トイレにこれ置いてあった!」
「これで私達もさっきのやる!」
所詮、子供の真似事。
リズは相手にもしていなかったのか二人を小馬鹿にする事なく「まあ、やってみな」と。
『出来るはずない。それが普通なんだよ』
「普通?」
『魔女ってやつは訓練したり、魔方陣の書き方や魔法的知識を勉強することによって後天的に魔女になるのさ。ろくに勉強もせずに魔法を見ただけで魔法を出せる事なんてないんだよ』
「そうなのか。じゃあ、当然、ミーレとレミーも... ...」
ミーレとレミーが失敗するのは当然と決め付けようとした直後、目の前が火の海になる。
森が燃え、二人が持っている便所の掃除道具の先端からはタバコのように煙が吹き出している。
「やった! やった! 出来た出来た!」
「やっぱり、私達、やれば出来る子だ!」
二人はその場でピョンピョンとウサギのように飛び跳ね、喜びを爆発させている。
「... ...そんな事って」
目の前の森が燃えているのだから、魔女の先輩でもあるリズは雨を降らせてすぐにでも鎮火させなければいけなかったのだが、リズは世界の終わりを目の当たりにしたかのように燃える森と飛び跳ねる二人を傍観することしか出来ずにいた。
「おいおい... ...。さっき、お前は素人には魔法を出す事は出来ないって言ってたよな?」
『ええ』
「でも、なんだよこの状況... ...」
『さっき、話の中で言ったでしょ? 魔女は後天的になるものだって。でもね、それには例外もあって生まれながらにして魔法が使える人間もいるのよ』
「さっきからまどろっこしいな! だから、何だってんだよ!」
『だから、あいつらが本当の魔女なのさ。あたしのような人間はその魔女に近づこうと彼女らの技術や知識を模倣しただけ。ただ、その魔女ってやつはお話の世界に登場する伝説のような存在でね。まさか、目の前にそいつらが現れるなんて... ...。まして、こんなに小さな子たちがそうだったなんて思いもしなかった』
二人はリズに褒めて貰おうと駆け寄り。
「ねえ! リズ! 出来たよ! すごいね! すごいでしょ!?」
「ねえ! リズ! 他にも魔法教えてよ!」
リズは顔を引きつらせながら二人の頭を撫でた。
『それから二人は魔法について良く聞いてくるようになった。でも、あたしは決めたんだよ。絶対にこの子達に魔法を教えてはいけないって』
「ん? 別にそれくらい教えてあげればいいじゃねえか。今でさえ、こんなすげえ魔法を使えるんだろ? 教えてやればもっと上達するだろ」
『ああ。上達する。というか、間違いなく二人は国で最強の魔女になるさ。でもね、そうなってはダメなんだよ』
声だけ出演のリズは何やら言葉に含みを持たせ。
『お話の中の魔女ってやつは皆悪者なんだ。本当の魔女になるって事は必然的に悪い魔女になる。それは彼女達が良い事をしたとしてもね。彼女達が魔女になるって事は自ら茨の道に行くという事。だから、私は彼女達を魔女にしてはいけないってその時思ったよ』
______その時、思った。
しかし、リズの願いとは逆に二人の幼い少女は伝説の魔女となり、俺を殺した。
奇しくも俺を殺した魔法は彼女達が初めて使った魔法と同じものであった。
          
家の前の草原に強制的にワープされると目の前にはリズとミーレとレミーの姿。
そして、リズが何やら呪文を唱えながら先端がアンモナイトの化石のように巻かれており、春の山菜でお馴染みのゼンマイのような木の棒を森に向けると棒の先端が燃えるように閃光し、火球が放たれる。
「おお! すごいぞ! 赤い火の玉が出た!」
「うん! 美味しそう!」
美味しそう?
どんだけ食い意地張っているんだよ... ...。
「これが魔法だよ。慣れてくれば空を飛べたり、雨を降らせたり何でも出来るようになるさ」
「凄い! 凄い! 魔女みたい!」
「魔女って子だ! あははは!」
「魔女なんだけどね... ...。あんたら本当にアホな子だよ」
呆れながらもリズは穏やかな顔付きでハシャグ二人を見ていた。
『国王の勧誘が酷くなってきて、このままでは二人が危険に晒されるかもしれない。って当時の私は思ってね。護身用として二人に魔法を教えたんだよ。それが最大の過ち』
「へえ。って事はリズが二人の師匠みたいなもんなんだな。国で五本の指に入る魔女に魔法を教えて貰ったんならあいつらが上級魔法使いになれた理由も頷ける。でも、何でそれが最大の過ちなのさ』
声しか聞こえないので最初は多少の不便さを感じたが今ではもう慣れ、姿の見えない者との対話のコツを取得した。
とりあえず、声のした方向に向かって話しておけばオールオーケー。
みんなもそういう状況に遭遇したら使ってみてくれ!
『ふん。師匠か。あいつらに魔法を教えた事は一度もないよ』
「は? 教えた事ない?」
『まあ、見てな』
ミーレとレミーはリズの魔法を見た直後にリズの家に二人して駆けて行き、何やらガチャガチャと家の中で音を立て何かを探している。
ん? 何だ?
そして、暫くしてから家から出てきた二人は何か棒状のものを持ちながら「あははは!」と声を上げながらこちらに向かって走ってくる。
「あんたら何だいそんなもの持って来て」
「トイレにこれ置いてあった!」
「これで私達もさっきのやる!」
所詮、子供の真似事。
リズは相手にもしていなかったのか二人を小馬鹿にする事なく「まあ、やってみな」と。
『出来るはずない。それが普通なんだよ』
「普通?」
『魔女ってやつは訓練したり、魔方陣の書き方や魔法的知識を勉強することによって後天的に魔女になるのさ。ろくに勉強もせずに魔法を見ただけで魔法を出せる事なんてないんだよ』
「そうなのか。じゃあ、当然、ミーレとレミーも... ...」
ミーレとレミーが失敗するのは当然と決め付けようとした直後、目の前が火の海になる。
森が燃え、二人が持っている便所の掃除道具の先端からはタバコのように煙が吹き出している。
「やった! やった! 出来た出来た!」
「やっぱり、私達、やれば出来る子だ!」
二人はその場でピョンピョンとウサギのように飛び跳ね、喜びを爆発させている。
「... ...そんな事って」
目の前の森が燃えているのだから、魔女の先輩でもあるリズは雨を降らせてすぐにでも鎮火させなければいけなかったのだが、リズは世界の終わりを目の当たりにしたかのように燃える森と飛び跳ねる二人を傍観することしか出来ずにいた。
「おいおい... ...。さっき、お前は素人には魔法を出す事は出来ないって言ってたよな?」
『ええ』
「でも、なんだよこの状況... ...」
『さっき、話の中で言ったでしょ? 魔女は後天的になるものだって。でもね、それには例外もあって生まれながらにして魔法が使える人間もいるのよ』
「さっきからまどろっこしいな! だから、何だってんだよ!」
『だから、あいつらが本当の魔女なのさ。あたしのような人間はその魔女に近づこうと彼女らの技術や知識を模倣しただけ。ただ、その魔女ってやつはお話の世界に登場する伝説のような存在でね。まさか、目の前にそいつらが現れるなんて... ...。まして、こんなに小さな子たちがそうだったなんて思いもしなかった』
二人はリズに褒めて貰おうと駆け寄り。
「ねえ! リズ! 出来たよ! すごいね! すごいでしょ!?」
「ねえ! リズ! 他にも魔法教えてよ!」
リズは顔を引きつらせながら二人の頭を撫でた。
『それから二人は魔法について良く聞いてくるようになった。でも、あたしは決めたんだよ。絶対にこの子達に魔法を教えてはいけないって』
「ん? 別にそれくらい教えてあげればいいじゃねえか。今でさえ、こんなすげえ魔法を使えるんだろ? 教えてやればもっと上達するだろ」
『ああ。上達する。というか、間違いなく二人は国で最強の魔女になるさ。でもね、そうなってはダメなんだよ』
声だけ出演のリズは何やら言葉に含みを持たせ。
『お話の中の魔女ってやつは皆悪者なんだ。本当の魔女になるって事は必然的に悪い魔女になる。それは彼女達が良い事をしたとしてもね。彼女達が魔女になるって事は自ら茨の道に行くという事。だから、私は彼女達を魔女にしてはいけないってその時思ったよ』
______その時、思った。
しかし、リズの願いとは逆に二人の幼い少女は伝説の魔女となり、俺を殺した。
奇しくも俺を殺した魔法は彼女達が初めて使った魔法と同じものであった。
          
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