異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第44話お母さん! 巨人の村に行きますよ!
____ホワイトシーフ王国城下町____
昨日あった事をゴーレム幼女に伝えると屈託のない表情で笑った。
「なんだよ。嬉しそうだな」
「う・嬉しくないみそ!」
「ごふっ!」
野球部の先輩のように俺の腹を小突くゴーレム幼女。
殴られて痛みを伴ったが、ゴーレム幼女の機嫌が良くなり、ビルの工事は順調に進んでいる。
俺はその間、町の損壊状況の確認をしながら、ブラブラしていると、瓦礫の上に一人で座っているホワイトを見かけた。
あの一件以来、町の住民達に怖がられる事はなくなったようだが、どことなく元気がなく、俺は気になって声を掛けた。
「よう! お前いつも暗いな! でっけえ図体してるのによ!」
「う・うるさいな!  あっち行って!」
嫌がるホワイトを無視して「まあまあ」と軽くあしらいながら隣に座る。
「お前、あれだろ。うんこ出なくて元気ないんだろ? 俺もうんこ出ないと暗くなるから分かるぞ」
「は!? そんな訳ないだろ!? 花島と一緒にしないでよ!」
ホワイトは顔を真っ赤にして全力で否定。
「え? そうなの? でも、うんこ出ないと暗くはなるよな?」
「知らない!」
「えー」
それから、1分ほど沈黙が続いた。
瓦礫を運ぶ町の人々の声や音がし、みんなが働いてるときにホワイトとうんこの話をしている事に対して、俺は一ミリも申し訳ないと思わなかった。
そして、沈黙に耐えられなくなったのはホワイトが口を開く。
「... ...家に帰りたい」
「そういえば、ホワイトは迷子なんだっけ? すっかり忘れたフリしてたよ」
「フリって何なのさ!」
「家帰ればいいじゃん! 俺なんて、帰りたくても帰れないんだぞ!」
そう。
俺は異世界から飛ばされたのだ。
迷子よりもランクが上の失踪者である。
「だから! 迷子だから、帰り道が分からないんだよ!」
ホワイトは涙目で俺にそう訴えかける。
涙がこぼれないように右手で目をこすったが、そのせいで目が赤くなり、逆に泣いた表情が強調されてしまった。
「おい~。ホームシックくらいで泣くなよ~」
そんな弱気のホワイトを茶化すとホワイトは天の邪鬼を装う。
「な・泣いてない!」
ホワイトは緊張の糸が解けたのか本格的に泣きだしてしまった。
泣いた迷子を泣き止ますという大義名分を得て、堂々とホワイトの太ももを触ってみると、想像していたよりも太ももは柔らかく、ドキドキしてしまう。
「俺が一緒に家探してやるから泣き止めよ」
「... ...う・うん」
打開策を提示したにもかかわらず、スイッチの入ってしまったホワイトの心の蛇口からは涙がよどみなく溢れ出続けた。
◇ ◇ ◇
「う... ...。うう... ...」
ホワイトは泣き止むという事を知らないのか、小一時間ばかりすすり泣いている。
もういっそ、大声で泣いてくれたほうが気持ちいいわ。
と思うが、これ以上、迷子の巨人をイジメるのは流石の俺でも憚られた。
「ケツいたっ... ...」
瓦礫の上に座っているのでケツが痛くなってきた。
このままでは痔になってしまう。
「あー!!! 何、ホワイトの事泣かしてるのよ!」
どこからともなく、シルフの怒鳴り声がし、クラスに一人はいる世話好きの女の子のように指を指しながらこちらに近づいてきた。
「泣かしてねえよ。こいつが、ホームシックになって泣き出したんだよ」
「うそつけ!」
ここまで、信用されないのは流石に腹が立つ。
別に日頃の行いが悪い訳でもないし、前の夜なんかは「あなたを復興に協力させて良かった」なんちゃらこうちゃらと言っていたのに、今ではこの扱い。
まさか... ...。
これがツンデレ!?
と第六感を働かせて答えを導きだそうとしたが、「いや、違うな」とすぐに我に返った。
「おい! このナメクジ野郎! 少しは俺の事信用しろよ!」
「はっ!? 誰がナメクジだって!? ああ!?」
シルフが鬼のような剣幕で瓦礫を乗り越え、俺の胸倉を掴みにかかり、腕をクロスさせて首を絞めるように掴むので、頸動脈が圧迫されて息が出来ない。
「カハッ! アアアア!!!」
「謝りなさいよ!!!」
「シルフ! 花島が死んじゃうよ!」
泣いていたホワイトも「これはマジなやつだ... ...」と察したのか、止めに入る。
「ちっ! しょうがないわね!」
シルフはホワイトの助言により首を絞める行為を止めたが、目は未だに殺意に満ち溢れている。
まるで、親を殺した宿敵に向けるような目だ。
首元を押さえながら「げほげほ」と俺は大きく咳をする。
なに!? この世界でナメクジって差別用語にでもなってんの!?
「シルフ... ...。あのね、私、本当にホームシックで泣いていただけなの。花島は悪くない」
「そうなの? でも、あたしの事を『ナメクジ』呼ばわりした罪は消えないわ」
マジでこいつ、ナメクジみたいな粘着質な性格だよ... ...。
「あははは」
ホワイトは緊張したのか笑いどころを間違えた。
愛想笑いを入れるところではない、ここでは「花島が可哀想だ」と俺を擁護するべきだろうが!
「そういえば、あなた、迷子だったの?」
「だった... ...。というか今もそうだよ」
「そう... ...」
シルフは顎に手を当て、自身の豊満なバストに肘を置き、何やら思考している。
何も喋らなければ実に美しい生き物だと思うよ。
... ...本当。
「そうだわ! これから、町を本格的に復興するにあたって、人手が圧倒的に足りないわ! あなたを家族のもとまで案内するから、あなたの家族にも復興を手伝ってもらえないかしら!?」
「ほ・本当に!? でも... ...」
「ん? でも? そんなに悪い条件ではないと思うのだけれど?」
「う・うん。そうなんだけど... ...」
何か心に引っかかるものがあるのか、ホワイトは困った顔を浮かべた。
俺は首を絞められた事で声がガラガラになりながらも、迷っているホワイトの背中を押す。
「おいおい! 家に帰れるんだぞ! 素直に喜べ!」
「そうなんだけど... ...」
「何か心配事でもあるのか? 帰り道に凶暴な獣がいるとか?」
「いや、そんなの一捻りで潰せるんだけど... ...。家族が説得できるかどうか... ...」
今更だけど、女の子が潰すとか言っちゃダメよ。
「自分の娘を送ってあげた人の頼みなら少しは聞いてくれないかしら?」
シルフは恐らく、正論を言っている。
自身の娘が失踪に近い、迷子になっているのだ。
それくらい協力してくれてもいいはず。
「う・う~ん」
「まあ、とりあえず、行ってから考えよう! ここで考えてもラチがあかない!」
「そうね! あんたと初めて意見が合いそうだわ!」
機嫌が多少良くなったシルフも俺の意見に賛同してくれた。
「う・う~ん」
せっかく、家に帰れるっていうのにホワイトのこの悩みよう。
相当、家族に問題があるのだろうか。
まあ、巨人の家族には巨人の家族の悩みとかがあるんでしょうよ。
半ば強引にホワイトを家族のもとまで送る事が決まりました。
昨日あった事をゴーレム幼女に伝えると屈託のない表情で笑った。
「なんだよ。嬉しそうだな」
「う・嬉しくないみそ!」
「ごふっ!」
野球部の先輩のように俺の腹を小突くゴーレム幼女。
殴られて痛みを伴ったが、ゴーレム幼女の機嫌が良くなり、ビルの工事は順調に進んでいる。
俺はその間、町の損壊状況の確認をしながら、ブラブラしていると、瓦礫の上に一人で座っているホワイトを見かけた。
あの一件以来、町の住民達に怖がられる事はなくなったようだが、どことなく元気がなく、俺は気になって声を掛けた。
「よう! お前いつも暗いな! でっけえ図体してるのによ!」
「う・うるさいな!  あっち行って!」
嫌がるホワイトを無視して「まあまあ」と軽くあしらいながら隣に座る。
「お前、あれだろ。うんこ出なくて元気ないんだろ? 俺もうんこ出ないと暗くなるから分かるぞ」
「は!? そんな訳ないだろ!? 花島と一緒にしないでよ!」
ホワイトは顔を真っ赤にして全力で否定。
「え? そうなの? でも、うんこ出ないと暗くはなるよな?」
「知らない!」
「えー」
それから、1分ほど沈黙が続いた。
瓦礫を運ぶ町の人々の声や音がし、みんなが働いてるときにホワイトとうんこの話をしている事に対して、俺は一ミリも申し訳ないと思わなかった。
そして、沈黙に耐えられなくなったのはホワイトが口を開く。
「... ...家に帰りたい」
「そういえば、ホワイトは迷子なんだっけ? すっかり忘れたフリしてたよ」
「フリって何なのさ!」
「家帰ればいいじゃん! 俺なんて、帰りたくても帰れないんだぞ!」
そう。
俺は異世界から飛ばされたのだ。
迷子よりもランクが上の失踪者である。
「だから! 迷子だから、帰り道が分からないんだよ!」
ホワイトは涙目で俺にそう訴えかける。
涙がこぼれないように右手で目をこすったが、そのせいで目が赤くなり、逆に泣いた表情が強調されてしまった。
「おい~。ホームシックくらいで泣くなよ~」
そんな弱気のホワイトを茶化すとホワイトは天の邪鬼を装う。
「な・泣いてない!」
ホワイトは緊張の糸が解けたのか本格的に泣きだしてしまった。
泣いた迷子を泣き止ますという大義名分を得て、堂々とホワイトの太ももを触ってみると、想像していたよりも太ももは柔らかく、ドキドキしてしまう。
「俺が一緒に家探してやるから泣き止めよ」
「... ...う・うん」
打開策を提示したにもかかわらず、スイッチの入ってしまったホワイトの心の蛇口からは涙がよどみなく溢れ出続けた。
◇ ◇ ◇
「う... ...。うう... ...」
ホワイトは泣き止むという事を知らないのか、小一時間ばかりすすり泣いている。
もういっそ、大声で泣いてくれたほうが気持ちいいわ。
と思うが、これ以上、迷子の巨人をイジメるのは流石の俺でも憚られた。
「ケツいたっ... ...」
瓦礫の上に座っているのでケツが痛くなってきた。
このままでは痔になってしまう。
「あー!!! 何、ホワイトの事泣かしてるのよ!」
どこからともなく、シルフの怒鳴り声がし、クラスに一人はいる世話好きの女の子のように指を指しながらこちらに近づいてきた。
「泣かしてねえよ。こいつが、ホームシックになって泣き出したんだよ」
「うそつけ!」
ここまで、信用されないのは流石に腹が立つ。
別に日頃の行いが悪い訳でもないし、前の夜なんかは「あなたを復興に協力させて良かった」なんちゃらこうちゃらと言っていたのに、今ではこの扱い。
まさか... ...。
これがツンデレ!?
と第六感を働かせて答えを導きだそうとしたが、「いや、違うな」とすぐに我に返った。
「おい! このナメクジ野郎! 少しは俺の事信用しろよ!」
「はっ!? 誰がナメクジだって!? ああ!?」
シルフが鬼のような剣幕で瓦礫を乗り越え、俺の胸倉を掴みにかかり、腕をクロスさせて首を絞めるように掴むので、頸動脈が圧迫されて息が出来ない。
「カハッ! アアアア!!!」
「謝りなさいよ!!!」
「シルフ! 花島が死んじゃうよ!」
泣いていたホワイトも「これはマジなやつだ... ...」と察したのか、止めに入る。
「ちっ! しょうがないわね!」
シルフはホワイトの助言により首を絞める行為を止めたが、目は未だに殺意に満ち溢れている。
まるで、親を殺した宿敵に向けるような目だ。
首元を押さえながら「げほげほ」と俺は大きく咳をする。
なに!? この世界でナメクジって差別用語にでもなってんの!?
「シルフ... ...。あのね、私、本当にホームシックで泣いていただけなの。花島は悪くない」
「そうなの? でも、あたしの事を『ナメクジ』呼ばわりした罪は消えないわ」
マジでこいつ、ナメクジみたいな粘着質な性格だよ... ...。
「あははは」
ホワイトは緊張したのか笑いどころを間違えた。
愛想笑いを入れるところではない、ここでは「花島が可哀想だ」と俺を擁護するべきだろうが!
「そういえば、あなた、迷子だったの?」
「だった... ...。というか今もそうだよ」
「そう... ...」
シルフは顎に手を当て、自身の豊満なバストに肘を置き、何やら思考している。
何も喋らなければ実に美しい生き物だと思うよ。
... ...本当。
「そうだわ! これから、町を本格的に復興するにあたって、人手が圧倒的に足りないわ! あなたを家族のもとまで案内するから、あなたの家族にも復興を手伝ってもらえないかしら!?」
「ほ・本当に!? でも... ...」
「ん? でも? そんなに悪い条件ではないと思うのだけれど?」
「う・うん。そうなんだけど... ...」
何か心に引っかかるものがあるのか、ホワイトは困った顔を浮かべた。
俺は首を絞められた事で声がガラガラになりながらも、迷っているホワイトの背中を押す。
「おいおい! 家に帰れるんだぞ! 素直に喜べ!」
「そうなんだけど... ...」
「何か心配事でもあるのか? 帰り道に凶暴な獣がいるとか?」
「いや、そんなの一捻りで潰せるんだけど... ...。家族が説得できるかどうか... ...」
今更だけど、女の子が潰すとか言っちゃダメよ。
「自分の娘を送ってあげた人の頼みなら少しは聞いてくれないかしら?」
シルフは恐らく、正論を言っている。
自身の娘が失踪に近い、迷子になっているのだ。
それくらい協力してくれてもいいはず。
「う・う~ん」
「まあ、とりあえず、行ってから考えよう! ここで考えてもラチがあかない!」
「そうね! あんたと初めて意見が合いそうだわ!」
機嫌が多少良くなったシルフも俺の意見に賛同してくれた。
「う・う~ん」
せっかく、家に帰れるっていうのにホワイトのこの悩みよう。
相当、家族に問題があるのだろうか。
まあ、巨人の家族には巨人の家族の悩みとかがあるんでしょうよ。
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