異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。

とっぱな

第42話お母さん! ゴーレム幼女との間が縮まりました!

「という具合にお前の能力を使って瓦礫をまず、コンクリート状にしてだな... ...」


ゴーレム幼女にビルの作り方を説明するが、集中して何も聞こうとも自ら質問しようともしない。
北風が吹き、オレンジ色に染まったゴーストタウンに寂しさを上塗りする。

俺は寒さに体を強張らせ。


「あったい味噌汁飲みたい... ...」


と元いた世界の事を思い出していたが、ゴーレム幼女は寒さに微動だにせず、何を思っているのだろうか。


ゴーレム幼女は雪国に過ごしているからと言っても寒さに強い訳ではない。
しかし、ゴーレム幼女は寒さに体を震わす事なく、沈みゆく太陽をジッと見ている。


「今日は寒いし、作業は明日にして休もうか?」


このまま話を続けても意味がない。


その言葉の意味をゴーレム幼女は慌てて拒絶し。


「ご・ごめんみそ。休まないでいいみそ!」


「だけど、今日は陽も落ちてきているし、休んだ方が良い」


「そ・そうかみそ... ...」


一度は再熱させた気持ちも他者の意見によって直ぐに曲げる。
周囲に散らばる瓦礫とゴーレム幼女の顔色から戦場に取り残された孤児のような印象を受けた俺は慈愛に満ちた気持ちが湧き上がり、ゴーレム幼女の手にソッと触れた。


「______!? いきなりなんだみそ!?」


一緒に生活していた際にエロい気持ちで肩は揉んだ事はあるが、こんなに優しい気持ちで手を握った事などなかったので、嫌悪感を抱いたのだろうか。
突然取った行動により、ゴーレム幼女は顔を赤らめ、手を振り払おうと上下に手を勢いよく動かす。


「は・離せ花島! 石にされたいのかみそ!?」


「好きにしろ。男は石にされた方が良い時もあるさ」


「ぐぬぬぬ~! 何を言ってるのか分からんみそ!」


そのまま、俺とゴーレム幼女は城に向かって歩いた。
斜陽を浴び、眩しさから目が眩み、道中のゴーレム幼女の表情を見る事は出来なかったが、俺の思いは伝わったと思う。
ゴーレム幼女の手からは汗が引き、若干だが手を握り返してきた。


俺はエスパー的なスキルは持ち合わせていない。
それは、異世界でも元いた世界でも変わらない。
ゴーレム幼女の握り返してきた手から「本当は高い建物を建てたい」という思いを感じてしまった。


俺の気持ちとしてもう一度、ビルを縦に建てる事を打診してみるか。
怒られるかもしれないが、それで、一人の少女が笑顔になれば良いではないか。


一人の幼女の思いを尊重するなんて、優しい王様は皆平等で愛さなくてはならないのに... ...。
ただ、今は独裁者も悪くないかと思う。

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