異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第33話お母さん! 巨大な女も一応、女の子のようです!
シルフに潰された二つの星は段々と光を取り戻し、俺に視力というかけがえのないものを再びもたらしてくれた。
「あいつ、バカで変態なの... ...もう、泣かないで」
妹をあやすようにシルフは巨大な女に優しく声をかけるが、シルフの身長は巨大な女の五分の一程しかなく、違和感が凄い。
「違うの... ...。パンツを覗かれた事がなかったから、ビックリして泣いちゃったの... ...」
「そう... ...。大丈夫、全部あいつがいけないのよ」
シルフは振り返り、何も告げることなく無表情のまま、再び巨大な女の膝に手を当て慰める。
俺は段々と罪悪感で胸がいっぱいになってきた。
... ...というのは嘘で「早くパンツ見せろよ」と内心イライラしていた。
だが、謝らなければどうやらラチがあかないようだ。
「ったく、世話が焼けるぜ」
と重い腰を上げ、巨大な女にゆっくりと頭を下げる。
「パンツ覗いてごめ________」
謝罪の途中、巨大な女の拳がハンマーの要領で、横スレスレに地面を叩きつける。
「______絶対に殺す」
「... ...ハハハ」
どうやら、巨大な女の逆鱗に触れてしまったようだ。
□ □ □
俺は現在、家と家の間のジメジメとした場所に身を潜めている。
近くにあった木製の酒樽が倒れると中にいたネズミが食い物を食い荒しており、食い物とネズミが俺の前に散乱する。
「なんだ、ネズミか... ...」
と安心したのも束の間、上から巨大な女の低く、気持ちの悪い声が聞こえ家と家の間を見上げた。
「あ~。ここにいたんだ... ...」
「____!? いやああああ!!!!」
巨大な女の顔が家と家の間にスッポリと収まり、俺の事を笑顔で見下す。
巨大な女は家の屋根に昇り、俺を探していた。
瓦は女の重さに耐えきれず、何枚か割れ、破片がボロボロと落ちてくる。
俺は女のように悲鳴を上げ、路地から抜け出し、絶妙なコーナリングで家の角を曲がって大きな通りに出た。
巨大な女は「待てコラ!!!」と言いながら、追ってくる。
家の屋根から飛び降りた為に衝撃で家は崩壊。
まるで、海外のビルの爆破解体作業のシーンを見ているような光景。
これを闇金の人が見たら間違いなく彼女をスカウトするだろう。
大きな通りに出ると巨大な女が暴れまわったのか、レンガ敷の道は破壊され、殆どの建物が全壊もしくは半壊状態。
家に隠れていた住人たちも一斉に避難しており、何人かの荷物を持った住人とすれ違う。
後ろを振り返ると鬼の形相で巨大な女が俺との距離を詰めている。
女の足は遅いが圧倒的な足のリーチの差に気付かなかった。
____そういや、シルフは何処に行ったんだよ!
国の再建どころか破壊されてるぞ!
と考えながら破壊された家の残骸を飛び越える。
すると、飛び越えた先に頭の上に星がいくつか回った状態で倒れているシルフを発見。
状況を紐解くと恐らく、泣いてる巨大な女を慰める為に膝に手を当てていたシルフは巨大な女が俺を追いかけようと走った瞬間にハジキ飛ばされ、意識失ったのだろう。
ネズミに変えられてしまったセバスがシルフの前髪を引っ張って起こそうとしているが意味なし。
「しょうがねぇなぁ!!!!」
気絶したシルフを抱きかかえ、メロスのように走り続けた。
コロッセオのように大きな円の形をした広場までたどり着いて足を止めた。
広場の中央に公園で見かけるような噴水があるが、管理する者がいないのか、現在は使われている様子もなく枯れ葉が溜っており、本来ならば吹き出る水を貯めておく場所に数人の住人達が身を寄せ合い震えていた。
後ろを振り返ると息を切らしながら、鬼の形相をした巨大な女が、世紀末の救世主のように拳をバキバキと立てながら近づいてくる。
圧倒的な恐怖を感じながら俺は声と足を震わせながら。
「しつけえな! さっき、謝っただろ!」
「は? 謝ってないでしょうが!」
それは、事実で俺は謝っていない。
「謝ったってどうせ許してくれないだろ!」
「私だって話が通じない訳ではないのよ。謝ってくれれば許すのを考えてあげなくもないわ」
巨大な女は俺にニコリと笑ってそう告げたので、俺は迷わず土下座をして、「パンツ覗いてごめんなさい... ...」とカメラに向かってごめんなさいの幼稚園生のように素直に謝罪。
「あんた、プライドってもんがないのね... ...。まあ、ぶっ殺すのは変わらないけどね」
巨大な女は腕を組み、俺を憐れみの表情で見る。
謝った俺は許されるものと思っていたので「ぶっ殺す」という言葉を間近で聞いて「殺す」よりもランクアップしている事に苛立ちを覚えた。
そして、ふつふつと怒りが込み上がり、汗ばんだ右手に力が入る。
「謝ったのに許してくれないのかよ!!! 話が違うじゃないか!!」
「謝っても『許す』とは言ってないわよ。一応、考えた結果、『ぶっ殺す』って結論に達したんだけど... ...」
「考えた!? お前の脳ミソは筋肉で出来てんのかよ! もっと、真面目に考えろよ巨女!」
「巨女!? あんた、あたしの事そう言ったの!?」
「そうだよ! このビックフット! 猿人! サスカッチ!」
「あたしをあんなモジャモジャした雪山に引きこもってる奴と一緒にすんじゃねえ!!!!」
「お前! 俺に謝罪させるなら、お前も街を破壊した罪をこの街の住人に謝罪しろ! お前だけ許されるなんて、そんなジャイGの理論が通用するかよ!」
「は!? 謝罪!? なんで、あたしが謝罪しなきゃいけないのよ! この街の住人はあたしが、迷子になって困っているのに助けてくれなかった! しまいにはあたしに目も合わせてくれなくなった!」
巨大な女は若干、声を震わせながら俺にそう言ってきた。
すると、隠れていた住人達も瓦礫の間や崩壊した家の隙間から亡霊のような足踏みで広場に出てくる。
数にして100人ちょっと、世帯数でいうと30~40世帯だ。
瓦礫の下に埋もれていたせいで、住人達の衣服は汚れていたり、破れていたり、中には血を流している者もいた。
そして、住人の一人が巨大な女に罵声を浴びせると他の住人達も一斉に巨大な女を非難した。
「俺達の街をむちゃくちゃにしやがってどうしてくれるんだ!」
「このままじゃ、凍死しちまう!」
「腕が折れたかもしれない!」
コロッセオのように円になった広場を取り囲み、巨大な女に罵声を浴びせるので住人の声が巨大な女と俺のいる場所に集まり、大合唱のように音が一際響く。
「なによ! あなた達だって私の事を助けてくれなかったくせに! どうせ、この街はあたしが破壊しなくたって終わっていたわ!」
巨大な女の声は住民達のシュプレヒコールによって掻き消される。
可哀想な光景だ。
体は大きくても、心は普通の女の子なのだろう。
これだけの人に非難をされれば傷つく。
人よりも大きいという事で得よりも損の方が多い人生だったのかもしれない。
多くの災難が起きれば、自暴自棄にもなり、破壊衝動にかられるのも納得がいく。
迷子になった時も不安で誰かに頼りたかった。
体が大きい為に人を怖がらせてはいけないと思いつつも人に話しかけ。
______そして、拒絶された。
「どうせ、この街は終わっていた!」という言葉はその事を比喩しての発言だったのかもしれない。
確かに迷子の女の子を助けてもくれないような国・町・国民に存在の価値はあるのだろうか??
まあ、冷静に考えれば存在の価値はあるのだろう。
国の存在理由なんて様々だ。
しかし、一個人の意見として、これから再建をしていこうと考えている国の国民が、一人の困っている女の子を助けてあげられないようでは、この国に存在する価値なんてないと思った。
そして、巨大な女を擁護しようと右足を前に踏み出した瞬間、山から降りてくる冷たい風が勢いよく音を立てて広場を包み、この国の本当の主を目覚めさせる。
「____べえ~くしっ!!!!」
          
「あいつ、バカで変態なの... ...もう、泣かないで」
妹をあやすようにシルフは巨大な女に優しく声をかけるが、シルフの身長は巨大な女の五分の一程しかなく、違和感が凄い。
「違うの... ...。パンツを覗かれた事がなかったから、ビックリして泣いちゃったの... ...」
「そう... ...。大丈夫、全部あいつがいけないのよ」
シルフは振り返り、何も告げることなく無表情のまま、再び巨大な女の膝に手を当て慰める。
俺は段々と罪悪感で胸がいっぱいになってきた。
... ...というのは嘘で「早くパンツ見せろよ」と内心イライラしていた。
だが、謝らなければどうやらラチがあかないようだ。
「ったく、世話が焼けるぜ」
と重い腰を上げ、巨大な女にゆっくりと頭を下げる。
「パンツ覗いてごめ________」
謝罪の途中、巨大な女の拳がハンマーの要領で、横スレスレに地面を叩きつける。
「______絶対に殺す」
「... ...ハハハ」
どうやら、巨大な女の逆鱗に触れてしまったようだ。
□ □ □
俺は現在、家と家の間のジメジメとした場所に身を潜めている。
近くにあった木製の酒樽が倒れると中にいたネズミが食い物を食い荒しており、食い物とネズミが俺の前に散乱する。
「なんだ、ネズミか... ...」
と安心したのも束の間、上から巨大な女の低く、気持ちの悪い声が聞こえ家と家の間を見上げた。
「あ~。ここにいたんだ... ...」
「____!? いやああああ!!!!」
巨大な女の顔が家と家の間にスッポリと収まり、俺の事を笑顔で見下す。
巨大な女は家の屋根に昇り、俺を探していた。
瓦は女の重さに耐えきれず、何枚か割れ、破片がボロボロと落ちてくる。
俺は女のように悲鳴を上げ、路地から抜け出し、絶妙なコーナリングで家の角を曲がって大きな通りに出た。
巨大な女は「待てコラ!!!」と言いながら、追ってくる。
家の屋根から飛び降りた為に衝撃で家は崩壊。
まるで、海外のビルの爆破解体作業のシーンを見ているような光景。
これを闇金の人が見たら間違いなく彼女をスカウトするだろう。
大きな通りに出ると巨大な女が暴れまわったのか、レンガ敷の道は破壊され、殆どの建物が全壊もしくは半壊状態。
家に隠れていた住人たちも一斉に避難しており、何人かの荷物を持った住人とすれ違う。
後ろを振り返ると鬼の形相で巨大な女が俺との距離を詰めている。
女の足は遅いが圧倒的な足のリーチの差に気付かなかった。
____そういや、シルフは何処に行ったんだよ!
国の再建どころか破壊されてるぞ!
と考えながら破壊された家の残骸を飛び越える。
すると、飛び越えた先に頭の上に星がいくつか回った状態で倒れているシルフを発見。
状況を紐解くと恐らく、泣いてる巨大な女を慰める為に膝に手を当てていたシルフは巨大な女が俺を追いかけようと走った瞬間にハジキ飛ばされ、意識失ったのだろう。
ネズミに変えられてしまったセバスがシルフの前髪を引っ張って起こそうとしているが意味なし。
「しょうがねぇなぁ!!!!」
気絶したシルフを抱きかかえ、メロスのように走り続けた。
コロッセオのように大きな円の形をした広場までたどり着いて足を止めた。
広場の中央に公園で見かけるような噴水があるが、管理する者がいないのか、現在は使われている様子もなく枯れ葉が溜っており、本来ならば吹き出る水を貯めておく場所に数人の住人達が身を寄せ合い震えていた。
後ろを振り返ると息を切らしながら、鬼の形相をした巨大な女が、世紀末の救世主のように拳をバキバキと立てながら近づいてくる。
圧倒的な恐怖を感じながら俺は声と足を震わせながら。
「しつけえな! さっき、謝っただろ!」
「は? 謝ってないでしょうが!」
それは、事実で俺は謝っていない。
「謝ったってどうせ許してくれないだろ!」
「私だって話が通じない訳ではないのよ。謝ってくれれば許すのを考えてあげなくもないわ」
巨大な女は俺にニコリと笑ってそう告げたので、俺は迷わず土下座をして、「パンツ覗いてごめんなさい... ...」とカメラに向かってごめんなさいの幼稚園生のように素直に謝罪。
「あんた、プライドってもんがないのね... ...。まあ、ぶっ殺すのは変わらないけどね」
巨大な女は腕を組み、俺を憐れみの表情で見る。
謝った俺は許されるものと思っていたので「ぶっ殺す」という言葉を間近で聞いて「殺す」よりもランクアップしている事に苛立ちを覚えた。
そして、ふつふつと怒りが込み上がり、汗ばんだ右手に力が入る。
「謝ったのに許してくれないのかよ!!! 話が違うじゃないか!!」
「謝っても『許す』とは言ってないわよ。一応、考えた結果、『ぶっ殺す』って結論に達したんだけど... ...」
「考えた!? お前の脳ミソは筋肉で出来てんのかよ! もっと、真面目に考えろよ巨女!」
「巨女!? あんた、あたしの事そう言ったの!?」
「そうだよ! このビックフット! 猿人! サスカッチ!」
「あたしをあんなモジャモジャした雪山に引きこもってる奴と一緒にすんじゃねえ!!!!」
「お前! 俺に謝罪させるなら、お前も街を破壊した罪をこの街の住人に謝罪しろ! お前だけ許されるなんて、そんなジャイGの理論が通用するかよ!」
「は!? 謝罪!? なんで、あたしが謝罪しなきゃいけないのよ! この街の住人はあたしが、迷子になって困っているのに助けてくれなかった! しまいにはあたしに目も合わせてくれなくなった!」
巨大な女は若干、声を震わせながら俺にそう言ってきた。
すると、隠れていた住人達も瓦礫の間や崩壊した家の隙間から亡霊のような足踏みで広場に出てくる。
数にして100人ちょっと、世帯数でいうと30~40世帯だ。
瓦礫の下に埋もれていたせいで、住人達の衣服は汚れていたり、破れていたり、中には血を流している者もいた。
そして、住人の一人が巨大な女に罵声を浴びせると他の住人達も一斉に巨大な女を非難した。
「俺達の街をむちゃくちゃにしやがってどうしてくれるんだ!」
「このままじゃ、凍死しちまう!」
「腕が折れたかもしれない!」
コロッセオのように円になった広場を取り囲み、巨大な女に罵声を浴びせるので住人の声が巨大な女と俺のいる場所に集まり、大合唱のように音が一際響く。
「なによ! あなた達だって私の事を助けてくれなかったくせに! どうせ、この街はあたしが破壊しなくたって終わっていたわ!」
巨大な女の声は住民達のシュプレヒコールによって掻き消される。
可哀想な光景だ。
体は大きくても、心は普通の女の子なのだろう。
これだけの人に非難をされれば傷つく。
人よりも大きいという事で得よりも損の方が多い人生だったのかもしれない。
多くの災難が起きれば、自暴自棄にもなり、破壊衝動にかられるのも納得がいく。
迷子になった時も不安で誰かに頼りたかった。
体が大きい為に人を怖がらせてはいけないと思いつつも人に話しかけ。
______そして、拒絶された。
「どうせ、この街は終わっていた!」という言葉はその事を比喩しての発言だったのかもしれない。
確かに迷子の女の子を助けてもくれないような国・町・国民に存在の価値はあるのだろうか??
まあ、冷静に考えれば存在の価値はあるのだろう。
国の存在理由なんて様々だ。
しかし、一個人の意見として、これから再建をしていこうと考えている国の国民が、一人の困っている女の子を助けてあげられないようでは、この国に存在する価値なんてないと思った。
そして、巨大な女を擁護しようと右足を前に踏み出した瞬間、山から降りてくる冷たい風が勢いよく音を立てて広場を包み、この国の本当の主を目覚めさせる。
「____べえ~くしっ!!!!」
          
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