異世界に行ったら国が衰退していたので、不動産屋をしていた経歴を生かしてエルフの王女と国を立て直す。
第1話お母さん! 異世界は中々、厳しいです!
______ゴーレムの森______
目を覚ますと両手両足を木の棒にくくりつけられ、豚の丸焼きのような格好で二人の屈強な体躯をした兵士達に運ばれていた。
不気味な声で鳴く鳥、不穏な生暖かい風、天と地が反転した景色から見える赤色の逆さまの月。
大きな声を出して暴れ、抵抗をする事も考えたのだが、このスタイルは三半規管をいい具合に刺激し、幼児用ゴーカートに数秒乗っただけで口から固形物を射出してしまうスーパー乗り物酔いをする俺には抵抗する体力は残されていなかった。
花島つとむ(27)独身。
彼女無しの童貞ゴリラは今、人生の岐路に立たされているに違いない。
何故こうなった!?
原因を突き止めるには、記憶の中を絡まった糸をほどくように丁寧に模索するしかないようだ... ...。
◇ ◇ ◇
___数時間前。
___ホワイトシーフ王国・王の間___
豪華絢爛とはこの城を指して生まれた言葉なのではないだろうか?
上を見上げれば無数の宝石が散りばめられ、各々が意思を持っているかのように輝くシャンデリア。
左を見ると遠方の壁に掲げられた絵画と調度品の数々。
右を見ると頑丈そうな鎧に身を包んだ兵士達とその横にはメイド服を着た綺麗な女性達。
ふかふかの赤い絨毯にはゴミ一つなく、毎日、絨毯の掃除しているメイド達はゴミのように汚い俺を見て、「折角、綺麗にした絨毯が汚れる!」と感情を押し殺しているに違いない。
俺は今、全く知らない土地。
というか、世界に来てしまった。
炎天下の中、母親が社長を務める不動産屋で雑務をこなし、チャリンコで外回りをしている最中に意識を失い、気が付くと何故か雪の上に座っていた。
小鹿のように震えている俺は鎧を着た兵士にこの場所まで運ばれ、現在に至る。
早くここから脱出しないと... ...。
少ない脳をフル回転させるが解決策を見出すことは出来ず、頭をかかえている中年男に対して鋭利な言葉が付きつけられる。
「お前、臭いな。本当に人間か?」
黄金の椅子に座っている、釣り目の少女は鼻を摘まみながら初対面の人に対する言葉とは思えないくらいに失礼な言葉を言い放った。
普通の人間であれば、この暴言を吐く少女にイラッとするだろう。
しかし、俺は暴言を浴びせる少女に目を奪われてしまった。
______可愛い。
金髪でマシュマロのように弾力のありそうな白い肌、リップクリーム塗りたてです!
と強調されたぷるんとした唇。
大きな瞳で可愛らしい目鼻立ちにも関わらず、それを本人は嫌がっているのか、目尻は釣り上り、頬杖を突きながら話す姿勢から高圧的な女性を連想させる。
彼女のことを「顔は良いけど、性格悪そう」と表現する蛮族がいるだろう。
だが、しかし!
俺にはそれが堪らない。
理想的であり、最高のビジュアル!
俺の喉は砂漠滞在三日目の昼かと思う程に渇き、心臓は高鳴る。
彼女の唾を飲み干したいと全身が心に呼応し、震えている。
人は俺の事をこう表現するに違いない。
変態と______。
「はあ... ...。はあ... ...」
某有名声優の言葉を編集し、自作のキツイ言葉シリーズを作り、携帯にそれをいれて食事をしながら聞く変態の俺でも生身の少女から発せられるキツイ言葉がこんなにも精神に異常をきたすとは思わなかった。
48人のアイドル成分をギュッと圧縮し、不細工成分だけを抽出した完全な生命体から「臭い」と罵られるのだ。心臓が活動を停止するには十分過ぎる材料が揃っている。
しかし、このままでは本当に殺されるかも。
まあ、それはそれで良いかもしれないが、こんな物語の序盤のような展開で死ぬなんてナンセンスだ。
俺は「ふうっ」と一拍置き。
「あの。ここは何処でしょうか?」
と初めての疑問を投げかける。
ちゃんと人の言葉で質問をしたのだ。
少女から何かしらの回答があるかもしれない。
「そんな事聞いてどうするの? あなた、もうじき死ぬのだけれど... ...」
「カッ!」
突いて出た言葉は唐突な死刑宣告で、驚いた俺は痰を吐くような音を出してしまった。
目を覚ますと両手両足を木の棒にくくりつけられ、豚の丸焼きのような格好で二人の屈強な体躯をした兵士達に運ばれていた。
不気味な声で鳴く鳥、不穏な生暖かい風、天と地が反転した景色から見える赤色の逆さまの月。
大きな声を出して暴れ、抵抗をする事も考えたのだが、このスタイルは三半規管をいい具合に刺激し、幼児用ゴーカートに数秒乗っただけで口から固形物を射出してしまうスーパー乗り物酔いをする俺には抵抗する体力は残されていなかった。
花島つとむ(27)独身。
彼女無しの童貞ゴリラは今、人生の岐路に立たされているに違いない。
何故こうなった!?
原因を突き止めるには、記憶の中を絡まった糸をほどくように丁寧に模索するしかないようだ... ...。
◇ ◇ ◇
___数時間前。
___ホワイトシーフ王国・王の間___
豪華絢爛とはこの城を指して生まれた言葉なのではないだろうか?
上を見上げれば無数の宝石が散りばめられ、各々が意思を持っているかのように輝くシャンデリア。
左を見ると遠方の壁に掲げられた絵画と調度品の数々。
右を見ると頑丈そうな鎧に身を包んだ兵士達とその横にはメイド服を着た綺麗な女性達。
ふかふかの赤い絨毯にはゴミ一つなく、毎日、絨毯の掃除しているメイド達はゴミのように汚い俺を見て、「折角、綺麗にした絨毯が汚れる!」と感情を押し殺しているに違いない。
俺は今、全く知らない土地。
というか、世界に来てしまった。
炎天下の中、母親が社長を務める不動産屋で雑務をこなし、チャリンコで外回りをしている最中に意識を失い、気が付くと何故か雪の上に座っていた。
小鹿のように震えている俺は鎧を着た兵士にこの場所まで運ばれ、現在に至る。
早くここから脱出しないと... ...。
少ない脳をフル回転させるが解決策を見出すことは出来ず、頭をかかえている中年男に対して鋭利な言葉が付きつけられる。
「お前、臭いな。本当に人間か?」
黄金の椅子に座っている、釣り目の少女は鼻を摘まみながら初対面の人に対する言葉とは思えないくらいに失礼な言葉を言い放った。
普通の人間であれば、この暴言を吐く少女にイラッとするだろう。
しかし、俺は暴言を浴びせる少女に目を奪われてしまった。
______可愛い。
金髪でマシュマロのように弾力のありそうな白い肌、リップクリーム塗りたてです!
と強調されたぷるんとした唇。
大きな瞳で可愛らしい目鼻立ちにも関わらず、それを本人は嫌がっているのか、目尻は釣り上り、頬杖を突きながら話す姿勢から高圧的な女性を連想させる。
彼女のことを「顔は良いけど、性格悪そう」と表現する蛮族がいるだろう。
だが、しかし!
俺にはそれが堪らない。
理想的であり、最高のビジュアル!
俺の喉は砂漠滞在三日目の昼かと思う程に渇き、心臓は高鳴る。
彼女の唾を飲み干したいと全身が心に呼応し、震えている。
人は俺の事をこう表現するに違いない。
変態と______。
「はあ... ...。はあ... ...」
某有名声優の言葉を編集し、自作のキツイ言葉シリーズを作り、携帯にそれをいれて食事をしながら聞く変態の俺でも生身の少女から発せられるキツイ言葉がこんなにも精神に異常をきたすとは思わなかった。
48人のアイドル成分をギュッと圧縮し、不細工成分だけを抽出した完全な生命体から「臭い」と罵られるのだ。心臓が活動を停止するには十分過ぎる材料が揃っている。
しかし、このままでは本当に殺されるかも。
まあ、それはそれで良いかもしれないが、こんな物語の序盤のような展開で死ぬなんてナンセンスだ。
俺は「ふうっ」と一拍置き。
「あの。ここは何処でしょうか?」
と初めての疑問を投げかける。
ちゃんと人の言葉で質問をしたのだ。
少女から何かしらの回答があるかもしれない。
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