勇者なしで魔王討伐 ~チートと愉快な仲間と共に~

夏季

3話 魔法&体力測定

俺は並んでる間カエラと喋っていた。
というよりカエラがずっと喋りかけてくるから対応していたと言った方がいいか。
まぁ黙って暇しているよりは全然楽しいからありがたい。


「てかジン、あなた魔法撃ったことないのよね?
なら、私がコツを教えてあげる!」


そろそろ自分の番だという時、いきなりカエラが言い始めた。
確かに、見てるだけじゃ何もわからないから助かるな。仮にも魔法が得意らしいからここで教えてもらうのは得策だ。


「うん、そうだな!
よろしくお願いします、カエラ先生!」


「ふふん、よろしい、教えてあげましょう!」


ノリノリだな。


「で、どうすればいいんでしょうか?」


「そうね、まず、えーと……」


あ、これ何も考えずに言ったやつだな。
薄々気づいていたがこいつ馬鹿だな。


「まぁ、あれよ!あれ!
なんか頭の中で考えて、
手にんーーーって魔力込めて
はっ!ってだせばいいのよ!!」


「そんなんでわかるわけないだろ。」


「なによ!人がせっかく教えてあげてるのに!」


カエラは顔を真っ赤にして怒っている。
正直すごくかわいい。
喋ると全部台無しになるが。


「次の方どうぞ。」


そうしてる間に俺の番が来た。
少し失敗しそうで怖いが今見てるのはカエラとこの記録係の人だけだ。
もしかしたらものすごい威力の魔法が出るかもしれない。そう思うとワクワクしてきた。


「おもいっきりやればいいのよ。」


カエラが笑顔で言う。
そうだな、カエラ。
なんか撃てそうな気がしてきたぞ!
よし、深呼吸して……


まず頭の中でファイアーボールを想像する。
次に手に魔力を込める。
いいぞ、手にどんどん力が溜まってく。
最後に手から一気に魔力を出して、


「ファイアーボール!!!!!」




その瞬間、俺の手に温かいものを感じた。
手を見てみるとそこには1センチの火球があった。


「ぷぷぷっ!ジンにとってファイアーボールって手を温めるものだったのね!ぷぷぷっ!」


「黙れ黙れ黙れ!」


クソっ、カエラのヤツずっと後ろで爆笑してやがる。なんだったんだ、撃つ前の一言は。
おもいっきりやればいいのよって!
少し良い奴だとおもったのに!


てかこれ記録どうなんだ。ゼロか?


「あ、あの記録係さ……」


「クスっ」


あ、笑われた。
ダメだ、恥ずかしすぎる。
そ、そうだ!火の魔法が使えないだけだ!
水ならつかえるはずだ!


「カエラ!今に見ていろ!
      ウォーターランス!!」


ポタっ。
水一滴がたれた。


「ジン、汗がたれたわよ、ぷぷぷっ!」


くっそー!!なんでダメなんだ!
もしかして適性がないのか?
いや、そんなはずない!
俺は自分の力を信じるぞ!ほかの魔法だ!


その後俺はほかの属性も試してみたがどれも駄目だった。なんだったんだろう、あの自信は。
思い出しただけで恥ずかしい。
穴があったら入りたい!


「ほらどきなさい。次は私の番よ!」


カエラがそう言って自信満々に俺の前へでた。
しょぼかったらメチャクチャおちょくってやろう。さっきのお返しをしてやる。


「ジン、後ろに下がってみてなさい。記録係さんもね。本物の魔法はこれよ!」


そう言って、カエラは魔力をこめはじてた。
おぉ、すごい。俺とは比べ物にならない。
ここからでも魔力がビリビリ伝わってくる。
記録係さんも驚いた顔をしてるな。


そして、数秒後
カエラの準備が整った。


「――爆雷――」


その瞬間多数の爆発と雷が球体に向かって……
いや、カエラの前方に向かって暴れ始めた。
この訓練所は半分跡形もなく消え去った。


「どうよ!すごいでしょ!」


カエラはドヤ顔だ。
確かにすごい。
すごすぎて尻もちを着いてしまったぐらいだ。
だけど……


「お前、この訓練所どうすんの?」


記録係も一生懸命首を縦にふっている。
これ、私がおこられるじゃない!って顔で。


「仕方ないじゃない!私魔法思いきりしか打てないの!ここの壁が魔力耐性持ってないのがいけないのよ!」


そう言ってカエラは帰っていった。
こうして、測定1日目がおわった。




そして二日目
今日はグラウンドで体力測定だ。
これは一番期待できる。
俺は魔法を撃ったことがない。だが使ったことがないとは言っていない。使ったことはあるのだ。
そう、それは無属性魔法である身体強化だ。
正直これはみんな使うだろうとおもっていだが、カエラに無属性魔法のことを聞いてみたところ、まず無属性魔法を知っている人が少ないらしい。しかも知っていたとしても使える人はごく一部だけらしい。
ちなみにカエラも使えない。
これはカエラに勝つチャンスだ。


「カエラ、今日の勝負しないか?」


「いいわね、でも女だからってなめちゃだめよ!
私、村で一番身体能力が高かったんだから!」


こいつハイスペックだな。うらやましい。
でもさすがに、生身の力じゃ俺の身体強化には勝てない。
本気を出せば昨日のカエラみたいに余裕で建物を壊せる。そのぐらい俺の身体強化は強いのだ。
しかもカエラには俺が身体強化使えるとは言ってない。勝ち確定だ。


「じゃあ、今日の勝負、100メートル走、
鉄球投げ、5000メートル走どれか一つでも
勝てたらカエラの勝ちでいいよ。」


どれも身体強化と相性がいいからな。


「あら、随分なめてるわね。
まぁいいわ、後悔させてあげる!」


こうして勝負が始まったのだが、
結果として俺の圧勝だった。
100メートルと5000メートルはカエラの胸の揺れを楽しむ余裕があったぐらいだった。


だけどカエラの身体能力は本当に高かった。
全体で俺が一位なのは当たり前だが、カエラは二位だったのだ。ほかの男子よりも高いのだ。
でもやっぱりカエラは一位じゃなかったのが不満だったらしく、カンカンに怒っていた。
そして、周りが帰ったあとストレス発散するために魔法をぶっぱなして帰っていった。
言うまでもなく、グラウンドはグチャクチャだ。


あとで校長がここを見たら激怒するだろうな……













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