俺がこの世に生まれた意味

高木礼六

何であるんだ!?

ここは、本当に地下なのだろうか?

あまりに広い、見回す限り、壁らしいものは存在しない、前を見ても、後ろを振り返ってみても。

アースカティアは目を見開いた。

通ってきた後ろの階段の入り口だけを残して、そこには何故か壁がない。

まるでその入り口だけがこの世界と、四人の世界をつなぐ架け橋のように、空間に穴を開けていた。


「ディグル!上を見るかしら。」


まだこの驚愕が抜けきらないなか、不意にララの声が聞こえた。

アースカティアはその発せられた声の内容を理解できないまま、ララの方を向いた、が、彼女はこちらを向いていない、レレも向いていない、二人揃って上を向いている。

視線は自然と、上へと向かっていき、そこにはいつもと変わらない光景が広がっていた。


「な、なんで。」


ここは魔窟、地上から地下へと続く階段を通ってきたところにあるのだ。

つまりは地下に存在している。

なのに、なのにだ。いつもと変わらない光景がある。地上には当たり前のようにあるそれが、地下では存在しうるはずのないそれが、確かにある。


「なんで、空があるんだよ!?」


視線の先には、まぎれもない空が広がっていた。

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