俺がこの世に生まれた意味
姉弟
ーー目が眩む。ここは本当に武器屋なのか?それにここに並んでいるものは武器なのか?凄すぎて訳がわからん。頭が回りそうだ。
アースカティアは今、自分の中にあった武器という概念を粉微塵に打ち砕かれていた。
「凄い凄い!レレこんな武器、初めてじゃないけど初めて見た!」
レレは今、いつも見ている形の武器が全く違う武器に見え、目の前にあるものが本物で、今までのものは本物ではなかったのだと、理解を改変していた。
「どんな切れ味なのかしら、使ってみたいな。」
ララは今、とてつもなく、素朴で最高な刀を手に取り、間近で輝きや重さを感じた後、試し切りしたいという欲望を抱いていた。
三人が三人でそれぞれ、違う武器に対する価値観を持っていて、感じるものも三人三色だ。
けれども、皆が一致して思うことがある。
それは飾ってあった武器を見た時から薄々感じていた。
そして今、店内に入ってから確信した。
この武器たちって絶対に......高い!!!
「ねえ、マイヤ、これって、いくらぐらいなのかな?」
聞くのも恐ろしく、誰も聞き出せなかったことを、アースカティアが辿々しい口調で、勇気を振り絞ってマイヤに聞いてみた。
彼女は微笑を浮かべ、すっとあるものを指差した。
その先に三人の視線が集まる。
壁に貼られた一枚の高級そうな紙切れ、そして文字、そこには、
「全品、一、億、マニ...」
紙にははっきりとそう書いてある。
見間違いなんじゃないかと、凝視してみる。何も変わらない。
今度は目をこすって、もう一度見る。何も変わらない。
やっぱり依然として一億マニと書いてある。
「高っ!?」
一億マニと言ったら、豪邸を一軒建てられるレベルだ。
それと同等の価値をこの武器が持っている。
ララはそっと持っていた武器を元の場所に置いた。
「ははは...」
何故自分はここにいるのだろう。
新米の冒険者がこんな高級店に入るなんて場違いにもほどがある。
引きつった笑みを浮かべる三人はそう思った。
脳内を逆回転させ、今に至るまでの時間を遡る。
そう、ここに来る原因を作ったのは...
「マイヤ!こんな高いの買えるわけないじゃん!なんでこんな所に連れてきたのさ!」
「ふっふっふ、それはね、買いに来たんじゃなくて、頼みに来たんだよ。」
「は?」
マイヤはその豊かな胸を張り、堂々とそう言った。
...彼女が何を言っているのかさっぱり分からない。
買うんじゃなくて頼みに来た?
何を頼みに来たんだ?
ここは武器屋。頼むことと言ったら武器の製作以外に何があるのだろうか。
それに製作を頼むんだとしたらそれこそオーダーメイドになって値が上がるはず。
彼女の意図が全く分からない。
何故ドヤッとキメ顔をしているんだ。
見とれたはずの顔が何故か無性に腹がたつ。
「まあまあ、待ってて、そのうち分かるから。」
そうやって、マイヤは三人を放置し、店の奥へと消えていった。
何が何だか分からない放置組三人は、やる事がなく、取り敢えずまた武器を見て回った。
彼女が消えてから数十分が経ったが、一向に現れない。
けれどもその分、この素晴らしい武器を目に焼き付けられた。
相変わらず凄い武器だ。
何回見てもこの感慨深いものは変わらない。
きっと製作者の熱意と、覚悟、あとは努力が一心に詰まった賜物なんだろうな、そう思いながらいろんな武器を見て回っていると、ようやくマイヤが出てきた。
ついでに、その横には、知らない根暗そうで、前髪を伸ばして顔を隠している男性かも女性かも分からない謎の人が一緒にいた。
何者なのだろうか。明らかに普通の人には見えない。怪しい。
「いやー、少し遅れちゃってごめんね。この人がなかなか言うことを聞いてくれなくてね。」
そう言うと、マイヤはビシバシと謎の人物の背中を叩いた。
顔は見えないけど絶対に嫌そうな表情をしている。
「痛いよ姉ちゃん、やめてよ、鬱陶しいから。」
「鬱陶しいとはなんだ弟よ。私たちの仲でしょ?これぐらい許容すべし。」
ん?今なんて言った?
二人の短い会話の中に聞き逃せないものがあった。
姉ちゃん? 弟?
つまりはそう言う事だよな。
そう言えば髪の色が一緒だ。どっちも綺麗な紫色をしている。
二人は間違いなく正真正銘の姉弟なのだ。
アースカティアは今、自分の中にあった武器という概念を粉微塵に打ち砕かれていた。
「凄い凄い!レレこんな武器、初めてじゃないけど初めて見た!」
レレは今、いつも見ている形の武器が全く違う武器に見え、目の前にあるものが本物で、今までのものは本物ではなかったのだと、理解を改変していた。
「どんな切れ味なのかしら、使ってみたいな。」
ララは今、とてつもなく、素朴で最高な刀を手に取り、間近で輝きや重さを感じた後、試し切りしたいという欲望を抱いていた。
三人が三人でそれぞれ、違う武器に対する価値観を持っていて、感じるものも三人三色だ。
けれども、皆が一致して思うことがある。
それは飾ってあった武器を見た時から薄々感じていた。
そして今、店内に入ってから確信した。
この武器たちって絶対に......高い!!!
「ねえ、マイヤ、これって、いくらぐらいなのかな?」
聞くのも恐ろしく、誰も聞き出せなかったことを、アースカティアが辿々しい口調で、勇気を振り絞ってマイヤに聞いてみた。
彼女は微笑を浮かべ、すっとあるものを指差した。
その先に三人の視線が集まる。
壁に貼られた一枚の高級そうな紙切れ、そして文字、そこには、
「全品、一、億、マニ...」
紙にははっきりとそう書いてある。
見間違いなんじゃないかと、凝視してみる。何も変わらない。
今度は目をこすって、もう一度見る。何も変わらない。
やっぱり依然として一億マニと書いてある。
「高っ!?」
一億マニと言ったら、豪邸を一軒建てられるレベルだ。
それと同等の価値をこの武器が持っている。
ララはそっと持っていた武器を元の場所に置いた。
「ははは...」
何故自分はここにいるのだろう。
新米の冒険者がこんな高級店に入るなんて場違いにもほどがある。
引きつった笑みを浮かべる三人はそう思った。
脳内を逆回転させ、今に至るまでの時間を遡る。
そう、ここに来る原因を作ったのは...
「マイヤ!こんな高いの買えるわけないじゃん!なんでこんな所に連れてきたのさ!」
「ふっふっふ、それはね、買いに来たんじゃなくて、頼みに来たんだよ。」
「は?」
マイヤはその豊かな胸を張り、堂々とそう言った。
...彼女が何を言っているのかさっぱり分からない。
買うんじゃなくて頼みに来た?
何を頼みに来たんだ?
ここは武器屋。頼むことと言ったら武器の製作以外に何があるのだろうか。
それに製作を頼むんだとしたらそれこそオーダーメイドになって値が上がるはず。
彼女の意図が全く分からない。
何故ドヤッとキメ顔をしているんだ。
見とれたはずの顔が何故か無性に腹がたつ。
「まあまあ、待ってて、そのうち分かるから。」
そうやって、マイヤは三人を放置し、店の奥へと消えていった。
何が何だか分からない放置組三人は、やる事がなく、取り敢えずまた武器を見て回った。
彼女が消えてから数十分が経ったが、一向に現れない。
けれどもその分、この素晴らしい武器を目に焼き付けられた。
相変わらず凄い武器だ。
何回見てもこの感慨深いものは変わらない。
きっと製作者の熱意と、覚悟、あとは努力が一心に詰まった賜物なんだろうな、そう思いながらいろんな武器を見て回っていると、ようやくマイヤが出てきた。
ついでに、その横には、知らない根暗そうで、前髪を伸ばして顔を隠している男性かも女性かも分からない謎の人が一緒にいた。
何者なのだろうか。明らかに普通の人には見えない。怪しい。
「いやー、少し遅れちゃってごめんね。この人がなかなか言うことを聞いてくれなくてね。」
そう言うと、マイヤはビシバシと謎の人物の背中を叩いた。
顔は見えないけど絶対に嫌そうな表情をしている。
「痛いよ姉ちゃん、やめてよ、鬱陶しいから。」
「鬱陶しいとはなんだ弟よ。私たちの仲でしょ?これぐらい許容すべし。」
ん?今なんて言った?
二人の短い会話の中に聞き逃せないものがあった。
姉ちゃん? 弟?
つまりはそう言う事だよな。
そう言えば髪の色が一緒だ。どっちも綺麗な紫色をしている。
二人は間違いなく正真正銘の姉弟なのだ。
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