俺がこの世に生まれた意味
転移魔法
「な、何じゃこりゃーーー!!!」
目の前にはさっきまでとは全然違う光景が広がっていた。
ユパが魔法らしきものを唱えたと思ったら目の前が真っ白になって...
それで、やっと見えるようになったと思ったら何だよこれ!?
「すっごい人の数だね。すぐにでも迷子になっちゃいそー!」
レレの発言はごもっとも。
さっきまで広がっていたはずの草原は一瞬のうちに消え、代わりにこんな人混みが現れてしまった。
前には人。右にも人。左にも人。後ろは...ああ、壁だった。
とりあえず周りには人、人、人人人人人。人ばっかりだ。
「それに何なのかしら、この建物達は。村のどの建物よりも大きい。こんなのが倒れでもしたらイチコロかしら。」
ララの発言もごもっとも。
故郷の村では信じられないほどの大きさの建物がここにはいくつも連なっている。
石造りの建物、煉瓦造りの建物、村では木造の小屋しか無かったのにここではそっちの方が少ない。
三人は目を丸くし、口を開け、目の前にただ呆然としている。
ーー何なんだよこれは!?
「ちょ、ちょっと待てよ!根本的に何かおかしいぞ!?ここはどこなんだ!?俺たちはさっきまでただの草原にいたはず。っていうか、どうやってここまで...ああ!わけわっかんねぇよ!?何がどおなってんだよぉ!?」」
「まあまあ落ち着いてください、アースカティアさん。説明はまた移動中にということで。」
アースカティアは何だか納得していない様子だっが、ユパの言葉に耳を傾け、今は大人しくしていようと決めた。
ユパが馬車に乗り込むと、再び移動を始めた。
ララとレレはというと、馬車から身を乗り出して食い入る様に周りの光景を眺めている。
ここには自分たちの知らないものが本当にいっぱいだ。
立ち込めている匂いにはいろんなものがある。
見たことのない果物の甘く爽やかな匂いや見たことのない花の色とりどりで芳醇な匂い。
冒険者専用と思われる武器屋から巻き起こる鉄の匂い。
どれも新鮮で見ていて飽きるものは一つもない。
だからこそ疑問が不安が胸の内で膨らみ続ける。
ーー本当にここはどこだ?どうやってきたんだ?それにユパさん、この老人は何者なんだ?
「アースカティアさん。」
「な、何だよいきなり。」
「あなたには信じ抜く信念というものはありますか?」
「信念か、ああ、あるぜ。何があっても絶手ェに曲げないもんがな!」
「ふっ、そうですか。」
ユパは突拍子もなくそんなことを聞いてきた。
彼はアースカティアに一瞥もくれず空を見つめながら、そう聞いてきた。
その返事に、アースカティアという少年に納得した様に、いや、あの笑い方は、まるで自分自信に納得したかの様に笑っていた。
これではユパという老人に対して、そしてユナン・パールシアという人物に対して、さらに謎が深まる。
別にユパさんが信用できないというわけではない。
でも彼は、何かを隠している。
嘘は言っていない。けれども本当のことも言っていない。
アースカティアの目はそう告げている。
「それでは、ここであなたの要望に応えて、ここはどこなのか、どうして一瞬でこんな場所に来たのか、説明したいと思います。」
「そうだよ、それだよ俺が待ってたのは!」
「おやおや、それほどまで待ち望んでいらっしゃったのですか。これは説明のしがいがあるというものです。」
「おい!ララ、レレ!こっちに来い。お前達も聞いとけよ。」
アースカティアが待っていた本題にようやく入る様だ。
ララとレレも集まり、アースカティアの横にちょこんと座ると、ユパがコホンと一息。
「あなた方なら薄々気づいているでしょうが、ここは私たちの目的地。パールシアです。村からだと馬車で約一ヶ月ほどの距離に位置しているはずですよ。」
「は?でも俺たちほんの数十分でここに着いたよな?ユパさん頭大丈夫か?」
「ええ、それについてはご心配なく。まだまだ私はボケていないと自負しておりますので...おっと話が逸れてしまいましたね。話を本題に戻します。何故一ヶ月の道のりを数十分で移動出来たのか、それは私が転移魔法を使ったからです。」
「転移魔法、そんなの聞いたことないかしら。」
ーー転移魔法、そういえば視界が光に包まれる前にユパさんがそんなことを言っていた様な、
「それも無理はないでしょう。転移魔法とはここギルド本部でしか使えない魔法。空間と空間を一瞬にしてつなぐ最高位の魔法です。」
「空間と空間をつなぐ...そんなこと本当にできるの?」
「ええ、出来ますとも。それに御三方共その目ではっきりと見ているではないですか。」
確かにこの説明ならば今ここにいる場所がパールシアでどうやって一瞬で移動出来たのかも納得がいく。
でもやっぱり謎は謎のままだ。
そんな最高位の魔法、ギルドの従者が使えるのだろうか。
「なあ、ユパさんって本当に何者なの?そんな高位の魔法を使えるぐらいだから凄い人なんだろ?」
「そんな凄いなどと、私はこの身をギルドに捧げたただの老いぼれですよ。」
「ふーん、そう、ま、今はそういうことにしておくよ。」
三人のみに起きた不可解な現象の説明の後、それからはまた街の景観を眺めるということが始まった。
ララとレレは目をキラキラと輝かせて食い入る様に、アースカティアもアースカティアで街の景観を存分に楽しんでいる。
気付いたことといえば、故郷の村とは違って人、一人一人がみんな輝いて見える。
今という時間を一生懸命に生き、人生を楽しんでいる。
なんて気持ちの良い街なのだろう。
やがて街並みは変わっていき、繁華街として賑わっていた場所は存在せず、周りには武器屋や宿屋の数が増え、人々も円満な家族などではなく、鎧や甲冑をつけた勇ましい人たちが増えてきた。
そう、この道の先、ある施設の需要に応えるべく街並みが変化しているのだ。
「さあ、そろそろ着きますよ。ギルド本部に。」
目の前にはさっきまでとは全然違う光景が広がっていた。
ユパが魔法らしきものを唱えたと思ったら目の前が真っ白になって...
それで、やっと見えるようになったと思ったら何だよこれ!?
「すっごい人の数だね。すぐにでも迷子になっちゃいそー!」
レレの発言はごもっとも。
さっきまで広がっていたはずの草原は一瞬のうちに消え、代わりにこんな人混みが現れてしまった。
前には人。右にも人。左にも人。後ろは...ああ、壁だった。
とりあえず周りには人、人、人人人人人。人ばっかりだ。
「それに何なのかしら、この建物達は。村のどの建物よりも大きい。こんなのが倒れでもしたらイチコロかしら。」
ララの発言もごもっとも。
故郷の村では信じられないほどの大きさの建物がここにはいくつも連なっている。
石造りの建物、煉瓦造りの建物、村では木造の小屋しか無かったのにここではそっちの方が少ない。
三人は目を丸くし、口を開け、目の前にただ呆然としている。
ーー何なんだよこれは!?
「ちょ、ちょっと待てよ!根本的に何かおかしいぞ!?ここはどこなんだ!?俺たちはさっきまでただの草原にいたはず。っていうか、どうやってここまで...ああ!わけわっかんねぇよ!?何がどおなってんだよぉ!?」」
「まあまあ落ち着いてください、アースカティアさん。説明はまた移動中にということで。」
アースカティアは何だか納得していない様子だっが、ユパの言葉に耳を傾け、今は大人しくしていようと決めた。
ユパが馬車に乗り込むと、再び移動を始めた。
ララとレレはというと、馬車から身を乗り出して食い入る様に周りの光景を眺めている。
ここには自分たちの知らないものが本当にいっぱいだ。
立ち込めている匂いにはいろんなものがある。
見たことのない果物の甘く爽やかな匂いや見たことのない花の色とりどりで芳醇な匂い。
冒険者専用と思われる武器屋から巻き起こる鉄の匂い。
どれも新鮮で見ていて飽きるものは一つもない。
だからこそ疑問が不安が胸の内で膨らみ続ける。
ーー本当にここはどこだ?どうやってきたんだ?それにユパさん、この老人は何者なんだ?
「アースカティアさん。」
「な、何だよいきなり。」
「あなたには信じ抜く信念というものはありますか?」
「信念か、ああ、あるぜ。何があっても絶手ェに曲げないもんがな!」
「ふっ、そうですか。」
ユパは突拍子もなくそんなことを聞いてきた。
彼はアースカティアに一瞥もくれず空を見つめながら、そう聞いてきた。
その返事に、アースカティアという少年に納得した様に、いや、あの笑い方は、まるで自分自信に納得したかの様に笑っていた。
これではユパという老人に対して、そしてユナン・パールシアという人物に対して、さらに謎が深まる。
別にユパさんが信用できないというわけではない。
でも彼は、何かを隠している。
嘘は言っていない。けれども本当のことも言っていない。
アースカティアの目はそう告げている。
「それでは、ここであなたの要望に応えて、ここはどこなのか、どうして一瞬でこんな場所に来たのか、説明したいと思います。」
「そうだよ、それだよ俺が待ってたのは!」
「おやおや、それほどまで待ち望んでいらっしゃったのですか。これは説明のしがいがあるというものです。」
「おい!ララ、レレ!こっちに来い。お前達も聞いとけよ。」
アースカティアが待っていた本題にようやく入る様だ。
ララとレレも集まり、アースカティアの横にちょこんと座ると、ユパがコホンと一息。
「あなた方なら薄々気づいているでしょうが、ここは私たちの目的地。パールシアです。村からだと馬車で約一ヶ月ほどの距離に位置しているはずですよ。」
「は?でも俺たちほんの数十分でここに着いたよな?ユパさん頭大丈夫か?」
「ええ、それについてはご心配なく。まだまだ私はボケていないと自負しておりますので...おっと話が逸れてしまいましたね。話を本題に戻します。何故一ヶ月の道のりを数十分で移動出来たのか、それは私が転移魔法を使ったからです。」
「転移魔法、そんなの聞いたことないかしら。」
ーー転移魔法、そういえば視界が光に包まれる前にユパさんがそんなことを言っていた様な、
「それも無理はないでしょう。転移魔法とはここギルド本部でしか使えない魔法。空間と空間を一瞬にしてつなぐ最高位の魔法です。」
「空間と空間をつなぐ...そんなこと本当にできるの?」
「ええ、出来ますとも。それに御三方共その目ではっきりと見ているではないですか。」
確かにこの説明ならば今ここにいる場所がパールシアでどうやって一瞬で移動出来たのかも納得がいく。
でもやっぱり謎は謎のままだ。
そんな最高位の魔法、ギルドの従者が使えるのだろうか。
「なあ、ユパさんって本当に何者なの?そんな高位の魔法を使えるぐらいだから凄い人なんだろ?」
「そんな凄いなどと、私はこの身をギルドに捧げたただの老いぼれですよ。」
「ふーん、そう、ま、今はそういうことにしておくよ。」
三人のみに起きた不可解な現象の説明の後、それからはまた街の景観を眺めるということが始まった。
ララとレレは目をキラキラと輝かせて食い入る様に、アースカティアもアースカティアで街の景観を存分に楽しんでいる。
気付いたことといえば、故郷の村とは違って人、一人一人がみんな輝いて見える。
今という時間を一生懸命に生き、人生を楽しんでいる。
なんて気持ちの良い街なのだろう。
やがて街並みは変わっていき、繁華街として賑わっていた場所は存在せず、周りには武器屋や宿屋の数が増え、人々も円満な家族などではなく、鎧や甲冑をつけた勇ましい人たちが増えてきた。
そう、この道の先、ある施設の需要に応えるべく街並みが変化しているのだ。
「さあ、そろそろ着きますよ。ギルド本部に。」
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