悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する
103★不文律の意味を理解しているかい?
おや、まだ食い下がってくるか?
では、決定打の説明をしよう。
私は人の悪そうな微笑みを浮かべて言う。
「知らない人間も多いと
思ったので説明しよう
この国は
異世界召喚された勇者と
聖女の作ったもなのだ
そして、2人の祖国の皇室は
たかだか50年程度の
寿命しか有していない
短命種だというのに
1600年以上の永きに渡り
1つの皇室の血統が
皇位を継いでいたと………
そして、他国者の血を1度も
皇室に入れたことは無いと……」
私の説明の途中で、ソレントの王太子が口をはさむ。
「そんな馬鹿な………
国と国との同盟に婚姻は
もっとも重い契約となるのに」
その言葉に、私はひとつ溜め息を吐き出した。
国力によっては、人質をとるだけで、婚姻とも呼べないコトだってままあるのに。
残念だな、若いのに頭の固い皇太子だ。
いや、それほどに、シルビアーナが欲しいのだろう。
金月の女神ディアーナの化身と歌われた美姫ディアーナの娘で、銀月の女神癒しと再生の女神シルビアーナの化身と言っても過言ではない美貌を取り戻した、シルビアーナ。
まして、あの魔物のスタンピートを事前に回避できたのは、シルビアーナの《魔力》。
今後3000年から5000年は、魔物のスタンピートや大量発生、魔王の出現も無いとシルビアーナが契約した、神獣? 聖獣? は、言っていた。
美貌と《魔力》を持ち、神獣か? 聖獣か? はわからないが、強大な力を持つ者を従える2つの皇家(王家)の血を引く姫、それがシルビアーナだ。
シルビアーナと婚姻して生まれた子供は、みな輝く美貌と膨大な《魔力》を有するだろう。
確かに諦めきれないだろうなぁ~…だが、断固として他国者は拒否する。
まずは、不文律を納得してもらう必要があるからな。
はぁ~…面倒くさい。
だが、ここではっきりと断らねば、後々面倒なコトになるだろうからなぁ~………。
私は内心での葛藤を隠して淡々と告げる。
「ひとの話しは最後まで
聞いて欲しいものだな
その国ヤムートは
島国だったそうだ
周りを海に囲まれていた為
他国との付き合いはあっても
戦争などをしたことは
ほぼ無かったようだ」
「それでは、他国との
付き合いが生じた時に
負けて滅びて
しまったでしょう?」
まぁ~そう思うよなぁ~……じゃなくて、どうして黙ってひとの話しを聞けないのか?
ブランデルの息子もそうだが、皇太子や王太子になる者は、おうおうにして傲慢でプライドだけが高い。
もっと状況判断の出来るようにならねば、未来は暗いぞ。
伯母上の苦言を聞き流していたブランデルのように、そして、廃皇太子となった馬鹿息子のようにな。
私の息子には、そうならないように言い聞かせねばな。
まぁ…確かに私達の常識なら、そう考えるのも当然と言えば当然なのだが………。
でも、そんな常識が通じない国もあるんだよ。
我が始祖達の祖国、ヤムートのように………。
「いや、他国との付き合いを
始めた当初は負けていた
が、高々30年程度で
ある程度追い付き
その世界の列強と呼ばれた
大国に海戦で鮮やかに勝ち
見事、列強の一角に
食い込んだそうだ」
「それは、おかしいでしょう?
他国との付き合いがなければ
どうしたって遅れているはず
それを取り戻すのは
容易ではないと思いますが?」
だから、私の話しに口を挟むな。
自分の地位に慢心している者………皇太子や王太子………に、そう注意する意味は無さそうだから言わないが………。
ここは自国ではなく他国で、私は、現在皇帝の位置にいるのだがな………。
国交と言う意味での、配慮とかを考えてい無いようだな。
まぁ、ソレを指摘して注意したとて、逆切れして噛み付いてるのは見えているからな。
それでも、我が始祖達の祖国はそうだった。
国民一丸となって、富国強兵を邁進したら出来たんだよ、ヤムートでは………。
始祖は何度も言っていたって、記録が残っているから………。
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