悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

086★死薔薇の鞭は2本1対でした



 どれも綺麗な皮だし、パープルは、食べるとお肌プルップルッになるしねぇ~……。
 カーバンクルとは違うけど、ローズスネイク種は、額に宝石(ウロコの変化したもので、スネイクパールと呼ばれる)を持ってるから、無傷で捕まえたいのよねぇ~………。

 体内にある毒袋も貴重品だし、牙や血液も骨も余すことなく使えるもの。
 ただ、どれも攻撃力があるからイヤなのよねぇ~………。
 音も無く近寄って来るし………。

 レッドローズスネイクは、毒をペレット状にして吐き出してくるから………。
 かわしても、落ちたペレットが割れて、毒が噴出るしね。

 蛇だから、巻きついて絞め殺そうとしてくれるし、尻尾でぶん殴られるし………。
 たまに、しっぼからも毒を出す固体もいたしね。

 ブルーローズスネイクは、首周りのひれから細かい針状の毒を打ち込んでくれるから………。
 その上で、口からは、毒をまとった舌をデロデロと長く出して、攻撃してくるんだもんたまったもんじゃないわ。
 蛇としての攻撃も繰り出してくるから………。

 パープルローズスネイクは、首周りと背中のひれから、針状の毒を打ち込んでくる。
 ブルーよりも、遥かに広範囲を攻撃してくる。
 口からは、毒をピューピューという感じで吹き出してくれるから困ってしまう。
 蛇としての攻撃も忘れないしね。

 やっかいな相手なんだけど、いいお金になるのよねぇ………ええ、本当に。
 それに、余すことなく人間の役に立つしね。

 特に、額のスネイクパールは、魔術師の杖に組み込む最高の魔石だしね。
 いや、魔石は体内にきちんと有るから………額のは、貴石かな? いや、輝石かな?
 まぁ…どちらにしろ宝石だけどね。

 なんて考えていたら、地駆鳥の大群が現われた。
 私は、5本に分かれた死薔薇の鞭を使って、突進して来る地駆鳥ちかけどりを次々と倒していった。
 面倒だから、倒したら直ぐにインベントリにポイッと、捨てた…じゃなくて、収納した。
 何度かその作業をしたら、ローズスネイク達の気配が濃厚になった。

 いや、判るモンですね………そのゾワッとした感覚………。
 RPG【黄昏の解放】でゲームしていた時は背景としての効果音も有ったから………。
 でも、リアルの今は、ソレが無いんで、本当に感覚に頼るしかない。

 そして、コウちゃんが言ったように、ローズスネイクの群れが現われる。

 うわぁ~………マジで来た………アレを私に捌ける?
 1匹ならそれなりに簡単に捌けると思うけど………。
 いや、死薔薇は5本に別れるから5匹までならなんとかなるとは思うけど………。
 群れですか………それも、かなり大物が混ざってますね。

 ローズ系の蛇って、一見すると極彩色の派手な蛇にしか見えないけど……。
 実際は、その美しい模様があるだけに、凶悪な蛇なのよねぇ~………。
 警戒色が派手なだけに、その毒や攻撃性もすばらしく高いのよねぇ………お値段もね。

 嗚呼、出来れば、死薔薇の鞭をもう1本欲しいわ。
 インベントリの確認して見ようかな?
 うわぁ~ラッキー…有ったわ…良しこれを装備する。

 あれ? うっそ……使ってなかったのに、これも同じレベルだわ……どうして?
 コウちゃんに聞いてみようかな? なんて考えていると………。
 私が、死薔薇の鞭を2本持っているのを見てか? コウちゃんが、話しかけてきた。
 
 『ああ良かった………ママ自分で気が付いたんだね
  死薔薇の鞭は、2本で一対なんだよ

  だから、片方を仕舞っていても、もう1本と連動して
  レベルが上がるレジェンド級のアイテムなんだよ

  あのゲームでは、無かったアイテムだったから
  ママは気が付かなかったんだよ』

 それを聞いて、私は納得する。

 ああ、そういうことなのね。
 あの色々とてんこ盛りのRPG【黄昏の解放】よりも、リアルの方がレアなモノ多いってことね。

 たぶん、これからも、知らない………というか、ゲームには出て来なかった魔物とかも出てくるんでしょうねぇ………。
 勿論、武器や防具、アイテムなんかも、この世界だけにしか存在しないモノもあるでしょうねぇ………。
 ああ、コンプごころが誘われるわ。

 「コウちゃん、言ってくれれば、2本使っていたのに………」

 頬を膨らませてそう言う私に、コウちゃんが無情に言う。

 『あの時のママのレベルで2本は扱えないよ
  魔力値はたぁ~っぷりと余裕が有っても

  体力値…HPは、全然足りていなかったから
  直ぐにHPが足りなくなったと思うよ

  だって、最初の頃は、1体~2体しか絞め殺せてなかったから………』

 「むっ…言われてみれば……確かに、2本同時には使えなかったわね
  でも、今なら、HPが足りているから2本同時に使えるわ」

 『良かったねぇ~……
  ママの護衛騎士達が、生真面目な訓練の鬼達で…………』

 「うふふふ………あの頃は大変だったなぁ~………
  この軽い身体じゃなくて、ストレスで太った
  重いたぷんてぷんの身体だったから……それなのに………」

 思い出すわ……見掛けだけは綺麗で優しげなアレンとアランの双子の護衛騎士達。
 その他の近衛騎士達も、見かけは綺麗でも中身はサドばっかりだったなぁ~……。
 思わず、遠い日を思い出す。





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