悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

074★シルビアーナの苦悩?


 コウちゃんとガッちゃんに、そう明るく言ったけど………

 と、思っていたら、私は、市役所の職員をしながら、自衛隊員の予備役に入っていた、男性の時の記憶がポンッと戻って来た。
 そして、くだんのダンジョンの位置を思い出した。
 そう、あのダンジョンの場所を………。

 予備役で知り合った自衛官仲間と一緒に、永遠の牢獄に時間制限いっぱい入って遊ぼうって………。
 何度死んでも生き返れるから、海外任務なんかに行く前に、絶対に死なないって………暗い意味を込めて遊んでいたのよねぇ………。

 いや、派遣先の海外で、胸を撃たれて死んだけどね。
 そこで、コウちゃんの魂を手に入れていたし………。
 なぜか、あの地に自縛らず、日本に戻っていたけどね。
 黄泉帰りのイベントを、何度もしていたお陰かしら?

 あのイベントを遊んでいるのは、陸海空の自衛官と警察官と消防隊員と海上保安庁の職員っていう、命の危険がある職業人ばっかりだったって話し、聞いたことあるし………。
 自分自身がそうだったから………。

 あっ…そうそう、たまに、民間航空のパイロットも混じっていたって………。
 まっ、何度も死んで、生き返る保障のある場所に、何でも願いを叶えてくれるお宝(噂では、大きな水晶)があるなら、探してみたいって思うよね。

 お陰で、記憶が浮いてきて《永遠の牢獄ダンジョン》の位置がわかったわ。
 うふふふふ………このダンジョンの真裏の位置にあったわ。

 そこなら、色々な装備も、途中の村で買足し出来るもんね。
 ココから出たら、食料その他を買って《永遠の牢獄ダンジョン》に行けるね。
 とりあえずは、私をエサに、このダンジョンの魔物達を釣って、ガッちゃんに貢がないとね。

 私も、魔力を磨いて、腕輪の中の子達に、ご飯(魔力という名のエネルギー)をあげないとね。
 早く、この子達も蘇生させて、連れて歩きたいわぁ~………。
 もふもふに埋もれて、もふもふをゆっくりと堪能したいわ。
 その為にも、このダンジョンを逆ルートに辿りながら、お宝をコンプして出口へと向かうのよ。

 きっと、大丈夫、まだ、お父様達は、あそこでバタバタしているはずだもの。
 私をここに、迎えにくる余裕なんてあるはずないもの。
 その間に、攻略よ………いや、攻略は終わっているけどね。

 と、いうことで《狂いし神子》が居るはずだった部屋の扉を、内側から開けて外へとでた。
 そう、最初の左右の小部屋のある場所に………。
 扉を出て閉めた途端に、視界に入って来たモノは………。

 うげっ………目に優しくない魔物が出て来たわ
 なんで、一番最初にアンデットを出してくるのぉぉぉぉ~………
 これじゃ、ガッちゃんのご飯に………

 と、内心で喚く私を他所に、ガッちゃんは飛び出して行く。

 そして、ご飯に対して、好き嫌いの無い大食漢のガッちゃんが、嬉々としてアンデットの群れに飛び掛っていた。
 それを見て、呆然としていると………。
 コウちゃんが、私に話しかける。

 『ママァ~アンデットも動いてるでしょ

  動くエネルギーを内在している存在なの
  ガッちゃんは、エネルギーを食べているんだよ

  まあ、物質も分解して吸収しているけどさ
  人間と食事方法や内容は、まるっきり別の存在だから………

  だから、たとえママのだぁ~い嫌いな
  Gを食べても、許してあげてね』

 コウちゃんの説明に、私はふと思い出す。
 そう言えば、Gって古生代あたりから、ずぅ~っと存在している、すっごい生命力の強い生物なんだよね。
 カルーチャって別の名前もあったねぇ~……ああ、歴史を感じます。

 それだけ、連綿とほとんど姿も変わらず、生き続けているんだから、種族的にきっとエネルギー値が高いはず…たぶんきっとね………そう思えば、きっと見ても大丈夫よ。

 なんて、思っている間に、アンデットの群れは綺麗に消えていた。
 うっ…私の馬鹿、魔力上げが出来なかったわ。
 次は、アンデットでも、必ず打つわと心に決めて、私はまた歩き始める。

 そして、次に出会った魔物は………。
 何か可愛くていたたまれない、角ウサギの巨大版だった。
 愛くるしい瞳、可愛らしいお耳、ふわふわのお尻尾、そして、輝くように白いふこっとした毛皮………うっ、打てない。

 いや、魔物の証拠の捩れた角があるわ。
 角に向かって、打てばイイのよ。
 そんな私に、コウちゃんが、酷いコトを言う。






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