悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

062★皇太后セレナーデ・ハイオシスからの手紙 3通目・1枚目

  『親愛なる甥っ子カイドール侯爵 レギオン殿へ

   私は、この夢見の悪い内容を書くべきか?
   と、何度も何日も悩んだわ。

   この夢が、いわゆる《先読み》などの
   未来視みらいしの可能性が強いから………

   何時もの夢と違い、あまりにも、鮮明なので……… 

   でも、どのような戦いでも
   情報を多く握っている者が勝つとあの人が言っていたから………

   ここに、その見た夢の全ての内容を記すことにしたわ

   ただし、馬鹿孫が、シルビアーナとの婚約破棄した時のみ
   貴方に渡すように………

   そう命じておいたわ

   これを、貴方が読んでいるというコトは
   傲慢になりきった馬鹿孫が
   ブランデル息子に廃嫡されたというコトね

  ああ…そうそう、貴方は綺麗に忘れていると思うけど

  ブランデル息子の側室の皇子よりも
  レギオン、貴方の方が継承権は上よ

  アレクサンデルの同母の妹を、母としているのだから………

  勿論、シルビアーナやラインハルトにも
  皇位継承権はあるわよ

  それも、きちんと考慮して、夢の内容を参考に
  この先を選択してね

  より良い未来へと繋がることを祈っているわ

  さて、余計な話しは無しにして、私の見た夢を書き残します
  シルビアーナの婿選びの参考にしてね

  馬鹿孫が廃嫡になったから
  皇太子は、第2皇子になっていたわ

  そして、この子は、困ったことに
  シルビアーナに夢中なのよ

  飼っていた、リスリンという
  リスに良く似た魔物と同じように………

  自分が差し出したモノを
  何でも美味しそうに食べる愛らしい姿に
  夢中になっていたわ

  『その愛らしいシルビアーナの姿を
   絶対に他の人間に見せたくない』

  って、叫んでいたのよ、本当に困ったコトにねぇ………

  あげくが、婚姻する前から、何かと理由をこじつけては
  ベッドへと引きずり込み
  頑張ってシルビアーナの体力を削っていたわ

  ようするに、活動できる時間を削っていたの

  私が、ソレを注意すると………

  『後宮に監禁するか、離宮に幽閉したいぐらいなのを
   我慢して、皇后として、最低限の公務を取らせている』

  って言うのよ

  子供は、皇子3人と皇女が1人生まれていたわ

  皇女は、アルディーンに嫁がせたわ
  シルビアーナの代わりにって………

  アルディーンという婚約者から、奪ったという事実を
  代わりの子供で宥めたってところね

  さらに言うならば、全員、乳母に預けて
  シルビアーナに近寄ることを許していなかったわ

  もっとも、皇女ルナリーナは、誕生の時から
  アルディーンに与えられたの

  そして、成人まで育てられて婚姻したわ

  『自分が、一緒の時と、公務の時以外は
   子供を側に寄せたくないっ』

  て…言っていたわ……困ったこと………

  それで、私が………

  『貴方とシルビアーナの子供でしょう
   貴方って、てっきり子煩悩だと思っていたんだけど?』

  って、言ったわ
  それに対して、あの子の返した言葉は………

  『シルビアーナの時間は、私だけのモノです

   子供は、シルビアーナと過ごす時
   私より愛されるから、本当は一緒に会いたくない

   でも、シルビアーナが合いたがるからあわせているんだ
   私は譲歩しているんです』

  そんなコトを言うのよ、まったく、困った子なのよねぇ………

  『シルビアーナが、愛しくて、愛しくて、たまらない

   私は、シルビアーナが逝った後に
   追いかけるように逝きたい

   何が何でも、シルビアーナを残して逝ったりしない
   だって、シルビアーナが哀しむから………』

  なんて言うのよ………
  もう、精神が病んでいるとしか言いようが無いわね

  でも、夢の中では、他の男も
  シルビアーナに対する行動に大差無かったわ






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