悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

051★パーティー会場にて・レギオンの回想3

 パーティー会場に入りシルビアーナを探そうと歩き始めた私に、忌々しい侍従長が声をかけてきた。

 チッ…また、魔法障壁が張られた場所に案内する気か?
 コイツは、皇家主催のパーティーで、私を見付けると必ず、魔法障壁の張られた一画へと私を案内する。

 その場所には、各国の大使と貴族、たまに王族なども居た。
 要するに重要人物を守る為に、特別に警備を厚くした場所だったりする。
 が、それは、表向きの話しで、皇族の血を引く私の謀反を警戒して、この場所に封じているのだ。

 もっとも、既に、私にはこの程度の魔法障壁など何の意味も無いがな。
 私の【雷獣牙】の一振りで砕くことが出来る。

 私の魔力は、皇帝ブランデルと元クリスタリア王国第1皇女である、皇妃アデリーヌの2人を合わせた魔力に、魔術師長レアンドルの魔力を合わせたよりも、多くなっている。

 あの辺境で魔力枯渇を起こしては、魔力回復薬エリクシルをガブ飲みして、魔物や魔獣、魔昆虫や魔樹などと戦って得た魔力だ。

 それでも、シルビアーナの魔力量よりは落ちるが………。
 迅雷のレギオンと謳われた剣の腕はより鋭さを増した。
 このパーティー会場に居る近衛騎士を全て屠っても、お前を取り戻す。

 もはや、この国に未練も何も無い。
 私の行動が原因で、滅ぶならそれも良いだろう。

 民の嘆きなど知るものか。
 愛しい娘を奪われた、私達の嘆きを知らないのだから………。

 それに、北の魔物の群れを押し返し、以前の直轄領よりも魔の森を押し返したのだから、その分の恩恵(魔物の被害が、レギオンが領地替えを受け入れてからほとんど無くなったコト)を彼らは受けていたのだから。
 この国や皇家には、既に義理は果たした。

 今度は、私と娘シルビアーナの貸しを回収させてもらうぞ。
 さて、あの馬鹿はどんな風に行動するのか?

 そして、その時のブランデルはどんな行動をとるのか?
 楽しみだな。

 待っていろディアーナ、君の嘆きは、私が晴らす。
 ラインハルト、お前とシルビアーナを逢わせてやろう。

 いっそ、あの馬鹿とブランデルを虚勢してやろうか……。
 クスクス…我慢するのも、ここまでだ。


 私の護衛兵達の剣は、すべてミスリル銀製で、それぞれの属性に合わせた魔法をエンチャントしておいた。
 魔力切れを考えずに戦えるように、回復の腕輪も各自5本ほど腕に嵌めている。

 一定以上戦って、シルビアーナを手にしたとき、私が『転移しろ』と命令すれば、彼らはあの場所に転移するように、転移のピアスも着けている。
 準備は万端だ。
 あの馬鹿はどんな茶番を起こしてくれるのか?






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