悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する

ブラックベリィ

046★《狂いし神子の討伐》が攻略できない理由をしりました1

 開いた扉を潜れば、そこは何度挑んでも攻略できなかったRPG【黄昏の解放】の《狂いし神子》が居る筈の部屋で、狂気におちいった神子が存在する筈なのですが………。

 えぇーとぉー…《狂いし神子》は、何処ですか?
 向こう側に見える大扉から入ると、真正面にデデェーンと居た筈なんですが………。

 困惑した私は、両肩に乗せているコウちゃんとガッちゃんをチラッと見てから聞く。

 「ねぇーコウちゃん
  ガッちゃん

  あちらの大扉から
  入った時に

  真正面に居る筈の
  《狂いし神子》って
  何処にいるの?」

 部屋の中を見回しても、そこにはそう言う気配ひとつ無いことに困惑した私の質問に、コウちゃんが言う。

 『あのね…ママ……
  《狂いし神子》って

  本当は悪いやつ等に
  遊びで解体
  されちゃったんだ』

 感情が含まれない言葉に、私はギョッとする。

 えっとぉ~…解体って……遊びって? 悪いやつ等?
 えっ? えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ~………うっそぉ~…も…もしかして?

 それって…考えたくないけどぉ……コウちゃんやガッちゃん?
 腕輪ン中で、蘇生を待ってる子達も………。

 もしかしなくても《狂いし神子》が、解体されたことによって誕生したってこと?
 うわぁ~……聞きたくないような事実に、パニックになっちゃいそうなんですけど………。

 でも、そうね、日本の神話にも、身体や顔を洗っただけで神様達が生まれたっていうのあるんだから………じゃなぁ~い………はぁはぁ……。

 驚きすぎて、言葉にならない私に、今度はガッちゃんが言う。

 『創造主の女神を
  イジメる為だけに
  神子を狂わせて……

  あいつ等は
  破壊したんだ』

 ガッちゃんの言葉に、悔しさを滲ませたコウちゃんは、私の首筋に顔を埋めるようにして、その続きを口にする。

 『あいつ等は

  俺達の元となった
  女神の愛し子の
  神子を壊すことを

  完全に
  面白がっていたよ』

 その時に味わっただろう苦しみに耐えるように、コウちゃんがもふもふのお手手で縋りつく。
 ガッちゃんも、同じように私の首筋に顔をグリグリして言う。

 『ただ、その代償に

  この世界が
  危うくなるほど

  時空間障壁を
  大きく疵付けたんだ

  破壊した神子の
  魂の核を

  自分達の
  都合の良いように

  利用しようと
  したようだけど

  この世界の【ことわり】によって
  大きな反動を
  喰らったんだ』

 その話しを聞いても、まだ情報が足らないことを感じた。

 とりあえず、深く考えるのを後にして、もう少しその辺りの情報が欲しいわ。
 《狂いし神子》は、その悪いやつ等によって、既に破壊されているらしいし………。
 もう少し、何が、どうして、どうなった、が欲しいわ。

 「えっと………ガッちゃん

  なんか難しくて
  わからないから

  もう少し理解わかり易く
  言ってもらって
  良いかしら………」

 私の言葉に、最後まで額の魔石で成り行きを視ていたガッちゃんに聞く。

 『主さま
  俺達が解体されて

  それぞれ《封印》
  されたことは

  理解りかいしてますよね』

 私に隠す気が無いガッちゃんは、自分達が《狂いし神子》だったモノから誕生したことを口にする。

 「大まかには
  理解りかいしたつもりよ」

 答えた私に、ガッちゃんが続ける。

 『解体した僕達を
  次々と【虚】の

  時空間に《封印》し
  存在が消滅するまで
 
  力だけを
  抽出するようにした
  設備を

  あいつ等は
  ココに造ったんだ』

 「このダンジョンは
  そういうコトの為に
  造られたのね」

 『はい…まんまと
  引き込まれて………

  解体された僕達の
  魂の核である

  コウちゃんが【虚】に
  《封印》される時に
  暴れた結果

  神子であった時に
  抵抗して

  空間に付けた
  瑕疵きず
  そのことで
  歪んで裂けました』

 それを聞いて、なるほどと私は思った。

 「そう、その空間が
  裂けたソコから

  コウちゃんは
  私の前世が
  生まれ育った

  地球に流れて
  来たのね」









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