悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する
045★最後のステージへの最終防壁をなんとか越えられました
テレビ番組と同時に、女暗殺者だった前世の記憶の中に、そういうモノを食べたという記憶がある。
正確には、ゲテなモノ全般である。
活動区域が、日本だけじゃなかったようで、密林とか熱帯雨林とかの原生林系を移動しながら、そこに有るモノを食べたという記憶がよぎる。
その味は、美味しいと呼べる感覚のモノはかなり少なかった。
記憶という知識だけなのと、女暗殺者の時の記憶ということで、叫びだすことは無かったが、どうしてこういう時にそれが浮かぶかな? とは思った私であった。
その冷静沈着な部分が備わっているらしく、私はそこで、ふと思い出す。
ゲームでは、たいがい冒険者ギルドやハンターギルドへと、討伐証明に獲物の部位を持って行くことを………。
「コウちゃん
悪いんだけど
後でこの中に入って
あの巨大スズメバチの
毒嚢を採取して
きてくれるかな?
イナゴは……たぶん
翅だろうから……
それもお願い」
私のセリフに、コウちゃんは胸張りで頷く。
『ママ…俺に任せて正解……
ガッちゃんだと
お願い忘れて
食べちゃうから……
あいつは、しばらく
入れない方が良いよ
他の子の分まで
食べちゃうからさ………』
腕輪の中で、仮死状態で蘇生されるのを待つ子達の分まで食べちゃうとコウちゃんに言われ、私は肩を竦めて頷く。
「確かに
そうなりそうね
ガッちゃんたら
本当にすごい
食欲だこと………
っと……ガッちゃん
ムカデの討伐証明の為に
顎は残してねぇ~………」
と、口元に手を当てて、出来るだけ大きな声で言う。
その声が聞こえたのか、ガッちゃんはタテガミの一部を伸ばして、ひょいひょいと顎だけを私の目の前に積んで行く。
本体は、全部丸呑み状態である。
コンパクトなガッちゃんの身体の何処に、入るのかしら?
いや、それだけ、生命力を極限まで削ったってことよね。
あの3点セットのセイで、この世界のことすらよくわからないまま生活していたけど、いったいどういう世界なのかしらね。
ファンタジー要素たっぷりなのは確かだし、色々とてんこ盛りのRPG【黄昏の解放】に出てくるのって、魔族の他に妖魔族なんてモノも居たような気が………。
そう言えば、和製の妖怪みたいなモノも居たっけ………あれ?
なんか、色々とかなりごちゃ混ぜしていたような気が………。
魔法あり、神力あり、妖力ありで………異種族交配もあったわね。
それで、より強い種族を創り出すって………。
あと、悪魔合体なんかもあったわねぇ………。
なんて、現実逃避している間に、またしてもガッちゃんが綺麗にしてくれました。
勿論、討伐証明になる部位は、左の手首の腕輪に収納しました。
ある意味で、ガッちゃんて最終兵器よねぇ~………。
でもって、治癒から美容までOKなコウちゃん。
ここに送られて、いい子を手に入れたわぁ~………。
本気で、テイム能力あって良かった。
じゃなきゃ、このダンジョンの中を彷徨って、人生が終わっちゃうなんてこともあったんだから………。
さて、逃避はここまでにして、真面目に先に進みますか。
とりあえず、もう何も出現しないことを祈りつつ、魔力で周辺を探索してみる。
詳細に探っても、生物らしいモノは何も引っかからなかった。
『主さま
もう獲物は
いないみたいです』
ちょっと残念そうに言うガッちゃん、いったいどれだけお腹が空いた状態でいたのかしら?
コウちゃんは、そこまで飢餓感にあえいだ感じないけど………。
なんて考えながら、足元へと帰って来たガッちゃんを抱き上げ、肩へと移動させる。
大きさは、さっきより少し大きくなったかな? 本当に気持ち程度。
あの恐竜もどきの群れの方が、エネルギーになったのね。
コウちゃんとガッちゃんを肩に乗せ、私はその巨大空間を難なく通り、反対側の扉へと辿り付いた。
「さて、これが
ラストの扉
なのかしら?」
私の呟きに、コウちゃんが答える。
『たぶん、コレが
最後の扉だと思う』
そのコウちゃんの言葉に、ガッちゃんも大きく頷いて言う。
『うん、間違いないよ
あいつ等
力使い果たして
ここを作るのが
精一杯だった
みたいだから………』
コウちゃんとガッちゃんの言葉に頷いて、私は精緻な紋様が描かれた扉を押す。
扉はゆっくりと左右に開かれた。
そして、ゲーム内で見慣れたラストステージの部屋の内装が私の眼に飛び込んで来る。
反対側からだけど、確かに、その部屋がラストステージ《狂いし神子の討伐》の神子がいる部屋だった。
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