悪役令嬢は婚約破棄されて覚醒する
001★婚約破棄ですか
それはパーティーが始まって優雅な音楽が奏でられる中で、唐突に始まった。
「シルビアーナ、お前との婚約を
今ここで破棄するっっ」
突然始まった一方的な宣言に、名指しされた私・シルビアーナは内心で重い溜め息をはいてしまう。
もちろん、実際に溜め息を吐くわけにはいかないので、噛み殺しましたけどね。
いったい、なんですの?
いきなり、このような大事なパーティーの場で、唐突に婚約破棄などという馬鹿げた発言をするなんて…はぁ~…いや、常々馬鹿だ馬鹿だとは思ってはいましたがねぇ………。
再び吐き出してしまいそうな溜め息を噛み殺し、私は精一杯優雅に、婚約者であるルドルフ皇太子へと振り返る。
ルドルフ皇太子は、カイドール辺境伯爵家の長女である私を指差して、傲然と侮蔑の視線を向けていますわね。
はぁ~…やっぱり、それですか………。
たしか、リコワール男爵が下働きの女に手を付けた子だとか………
ピンクブロンドで金色の瞳のリコワール男爵家が養女に迎えた少女でしたわね
えぇーと名前は…ああ、マリエとか言いましたわね
そのマリエ・リコワール男爵令嬢の腰を抱えそれですか……はぁ~………
最近、ルドルフ様がところかまわず連れまわしていると噂される、リコワール男爵家のマリエ嬢は、確かに噂の通り方のようね
デブで寸胴な私と違って、マリエ嬢はボンキュッボンですし
色彩も、光属性の魔力を持つと言われているだけあって
明るく華やかな色合いで………
私は、ついつい自分の色彩や体型と比べて劣等感を覚え唇を開きかけてから、キュッと閉じるしかなかった。
私の髪はどんなに手入れをしても、くすんだ灰色で瞳はよどんだ沼色………
じゃなくて、私達の婚約は、皇帝と私の父が決めたことなんですが………
そこに、当事者である私達の意志は関係無いんですけどねぇ…はぁ~
私が落ち込んだ意識をどうにか浮上させた先では、ルドルフ皇太子が指を突き付けたまま蔑んだ口調で、まだ言葉を続けていた。
「………本当に、お前は容姿同様に
腐っているな
マリエ・リコワール男爵令嬢への
悪辣な嫌がらせの数々
お前がやったという証拠は
あがっているっっ
お前のような輩に
国母となる資格はないっ
皇太子妃になる資格など
もはや微塵もない
よって、皇太子妃となる者の
証しを返してもらうっ」
その宣言と同時に、騎士団長の息子が私を無理やり取り押さえた。
そこに、マリエ・リコワール男爵令嬢を腕に引っ付けたまま、ルドルフ皇太子が私の額を飾るサークレットと、首元を飾るネックレス、そして両手首のブレスレットを毟り取った。
その3点セットは、婚約が成立した時に、皇家から送られたモノらしい。
なんでらしいというかというと、気付いたときには身に着けていたからである。
それぐらい幼い時からの婚約なのですがねぇ………。
騎士団長の息子に取り押さえられ、ルドルフ皇太子に、皇太子妃となる者の証しを毟られても、意外と腹が立たないものですわね。
いや、本当に婚約破棄が成立するなら万々歳ですわ。
自分の意思が通るなら、私だって、こんな馬鹿馬鹿しい婚約なんて御免です。
そう思う私をよそに、私から毟り取った3点セットを腕に引っ付いているマリエ・リコワール男爵令嬢に向けて差し出して言う。
「これは、希少な光属性を持つ
お前にこそふさわしい、マリエ」
「シルビアーナ、お前との婚約を
今ここで破棄するっっ」
突然始まった一方的な宣言に、名指しされた私・シルビアーナは内心で重い溜め息をはいてしまう。
もちろん、実際に溜め息を吐くわけにはいかないので、噛み殺しましたけどね。
いったい、なんですの?
いきなり、このような大事なパーティーの場で、唐突に婚約破棄などという馬鹿げた発言をするなんて…はぁ~…いや、常々馬鹿だ馬鹿だとは思ってはいましたがねぇ………。
再び吐き出してしまいそうな溜め息を噛み殺し、私は精一杯優雅に、婚約者であるルドルフ皇太子へと振り返る。
ルドルフ皇太子は、カイドール辺境伯爵家の長女である私を指差して、傲然と侮蔑の視線を向けていますわね。
はぁ~…やっぱり、それですか………。
たしか、リコワール男爵が下働きの女に手を付けた子だとか………
ピンクブロンドで金色の瞳のリコワール男爵家が養女に迎えた少女でしたわね
えぇーと名前は…ああ、マリエとか言いましたわね
そのマリエ・リコワール男爵令嬢の腰を抱えそれですか……はぁ~………
最近、ルドルフ様がところかまわず連れまわしていると噂される、リコワール男爵家のマリエ嬢は、確かに噂の通り方のようね
デブで寸胴な私と違って、マリエ嬢はボンキュッボンですし
色彩も、光属性の魔力を持つと言われているだけあって
明るく華やかな色合いで………
私は、ついつい自分の色彩や体型と比べて劣等感を覚え唇を開きかけてから、キュッと閉じるしかなかった。
私の髪はどんなに手入れをしても、くすんだ灰色で瞳はよどんだ沼色………
じゃなくて、私達の婚約は、皇帝と私の父が決めたことなんですが………
そこに、当事者である私達の意志は関係無いんですけどねぇ…はぁ~
私が落ち込んだ意識をどうにか浮上させた先では、ルドルフ皇太子が指を突き付けたまま蔑んだ口調で、まだ言葉を続けていた。
「………本当に、お前は容姿同様に
腐っているな
マリエ・リコワール男爵令嬢への
悪辣な嫌がらせの数々
お前がやったという証拠は
あがっているっっ
お前のような輩に
国母となる資格はないっ
皇太子妃になる資格など
もはや微塵もない
よって、皇太子妃となる者の
証しを返してもらうっ」
その宣言と同時に、騎士団長の息子が私を無理やり取り押さえた。
そこに、マリエ・リコワール男爵令嬢を腕に引っ付けたまま、ルドルフ皇太子が私の額を飾るサークレットと、首元を飾るネックレス、そして両手首のブレスレットを毟り取った。
その3点セットは、婚約が成立した時に、皇家から送られたモノらしい。
なんでらしいというかというと、気付いたときには身に着けていたからである。
それぐらい幼い時からの婚約なのですがねぇ………。
騎士団長の息子に取り押さえられ、ルドルフ皇太子に、皇太子妃となる者の証しを毟られても、意外と腹が立たないものですわね。
いや、本当に婚約破棄が成立するなら万々歳ですわ。
自分の意思が通るなら、私だって、こんな馬鹿馬鹿しい婚約なんて御免です。
そう思う私をよそに、私から毟り取った3点セットを腕に引っ付いているマリエ・リコワール男爵令嬢に向けて差し出して言う。
「これは、希少な光属性を持つ
お前にこそふさわしい、マリエ」
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