現実に満足なんてできない!
プロローグ
「うわぁぁぁ」
病院の個室に少女の泣き声が響いた。
部屋の中にはひとりの女性がベッドに横たわっている。
「おかあぁぁぁさあぁん」
悲しみに満ちた少女の叫びが室内に響くと同時に部屋の扉が開いてひとりの男性が息をきらしながら入ってきた。
「母さんは!」
男性はどうにか息を整えると何かにすがるような声でそう言った。
「... ...」
僕は何も言うことができなかった。だが入って来た男性は無言の意味を理解したらしく膝から床に崩れ落ちてしまった。しかしベッドの横で泣いている少女を見ると立ち上がりその少女を後ろから抱きしめながらベッドに横たわっている女性に向かって言った。
「母さん、二人のことは、友也と恵のことは俺に任せろ。絶対にこいつらを立派な大人に育てるから。だから安らかに眠ってくれ。」
そう言うと男性も少女と一緒に泣きだしてしてしまった。苦痛に満ちた泣き声が響きわたる。その光景を見たまま僕はただ立ち尽くしてしまった。悲しみで胸が締め付けられるように痛くなって何も考えることができなくなってしまった。ただ心の底にある思いを口に出すことしか出来なかった。
「現実に満足なんてできない!」
反射的にその言葉が口から出てきた。
これが僕が現実に満足することができなくなった瞬間だった。
初投稿です。初めて小説を書いてみました。まだまだ初心者なのであたたかい目で見ていただけると幸いです。
二話もあるので呼んでいただけると嬉しいです。
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