オタクとヤクザが恋したら…

かのちゃん

31 遼ちゃんのお母さん①

朝。私達が寝ていると……。
ピンポーン。
ん……誰だろ?こんな早くから。

「……俺が出てくる。」

遼ちゃんはベッドに降りて、寝室を出て、玄関のドアを開けると……。

「あ、遼太郎さん。」

「テル。どうしたんだ?浮かない顔して。」

「実は……皇牙組の事務所に、こんなものが届いて……。」

ん?一通の手紙?

「遼太郎さん宛です。」

遼ちゃんが、封筒の下の方をよく見ると……。

〈ほしぐも園〉

「俺が育った施設だ。」

封筒を開け、便箋を広げると……。

「……!?」

どうしたの!?驚いた顔をして……。

「……俺の実の母親が会いたいって。」

えっ!?手紙の内容をよく見てみると……。

〈皇牙遼太郎様 おととい、あなたの母親と名乗る女性が施設を訪れました。住所も書いています。 園長〉

遼ちゃん!やっぱり、お母さんは遼ちゃんのこと、今でも好きなんだよ!

「……会いたくねえ。」

遼ちゃん?

「自分を捨てた母親なんかに会って、なんの得がある!!あんなやつの顔なんかみたくねえ!!」

遼ちゃんは、怒り出した……。

「遼ちゃん。お母さんが会いたがってるのは、もっと理由があるんじゃないかな?私はそう思う。遼ちゃんも本当は、お母さんに会いたいんでしょ?私も一緒に着いて行くから。」

遼ちゃんは、一度黙って、それから口を動かした。

「ああ。一応、会ってみる。その前に、施設に行って、事情を説明してもらわねえとな。」

うん!






私達は、車に乗って、遼ちゃんが育った施設、ほしぐも園へ。

「来た時はびっくりしたわあ。嘘だと思って聞いみたら、本当にあなたのお母さんだったから!」

「……そうですか。」

「そうそう!遼太郎!あなたがここの前に捨てられた時、一緒に置いてあった母子手帳があったわ!今でも大切に保管してるから!」

園長さんが、机の中から取り出して、私達のテーブルに、母子手帳を持ってきた。

「これ、あなたのお母さんの名前よ!」

園長さんが指をさしたのを見ると……。

〈皇牙恵〉

皇牙恵……この人が遼ちゃんのお母さん……。

「私より若かったから驚いたわあ。」

園長さんよりも若いんだ……。






ほしぐも園を出て、1時間かかる田舎町へ。

「ここか。」

左に曲がって、着いたのは……大きな家。
まるで、屋敷みたい。
私達は車を降りて、引き戸の前にきた。
インターホンを押すと、奥から「はーい。」という声が聞こえ、足音がだんだん近づき、ドアがガラッと開いた。
出てきたのは、黒髪のショートヘアーで、白の半袖Tシャツと、短パンのジーパンを履いた50代ぐらいの女性……。
遼ちゃんの顔を見た途端、とても驚いた表情になった。

「あなたね……。」

「おう……。」

この人が、遼ちゃんのお母さん……。

続く!

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