オタクとヤクザが恋したら…

かのちゃん

22 オタクとヤクザ、帰省する

ぐふふふふ♡テルくんのおかげで、いい作品ができた♡

(今度、あいつに謝ろう。)

これで夏コミは大成功♪
プルプルプルプル。

「おい。電話、さっきからずっと鳴ってるぞ。」

えっ!?作業をしてた時から!?もう、早めに言ってよぉ〜。

「いや……モデルに集中してたから。」

私は電話に出ると……。

「もしもし?」

「『もしもし由香?』」

あ!お母さん!

「『元気しとる?』」

うん!しとるよ!

「『あんたに電話かけたけど、なかなか出らんけん心配したばい。』」

ああ……ちょっとぉ……色々しとってねえ。気付かんやったばい!

「『ところで……今年はいつ帰ってくると?』」

えっ!?

「『お盆休みたーい!毎年帰ってくるやん!』」

今年はあ……げっ!
8月10日……夏コミの開始日じゃん……。
仕方ない……新作は秋コミに持ち込もう。

「10日に帰ってくるよ。」

「『わかった!お父さんに伝えるけん!おいしかもんば、たーんと作るけん!』」

うん!じゃ、またね〜。
私は電話を切った。
すると、遼ちゃんが私の後ろから抱きついてきた。

「誰から電話だったんだ?」

お母さん。

「九州出身なのか?」

うん。福岡出身。毎年、お盆とかお正月に帰ってくるんだぁ。

「……。」

なに!?私の顔をじっと見つめて。

「俺も行っていいか?ご両親にも会いたいし、由香の博多弁、もっと聞きたいし。」

い、いいよ……。

「なあ。寝る前にもう一度、博多弁で「好きだよ」って言ってくれないか?」

ええっ!?そんな無茶苦茶な……わかったよ。

「……遼ちゃん、好いとーよ。」

「……!」

遼ちゃんは無言でさっさと寝室に行って、バタンと閉めちゃった。

「かわいすぎるぜーーーーーーーーー!!博多弁、サイコーーーーーーー!!」

心の声、漏れてるよ。





8月10日。東京駅から新幹線で、私達は博多駅まで行った。
着いた〜!私の故郷、福岡!!
……で、遼ちゃん?なんなの?その服装。
袴なんか着ちゃって……まるで、成人式みたい。

「ご両親に会うから、きっちりしねえとな。」

いやいや!そこまでやんなくていいから!






博多駅からレンタカーを借りて、私の家へ。
レンガで黄色の家……ここが私んち。
ピンポーン。

「はいはーい。」

家の向こうから声が聞こえて、ドアがガチャっと開いて、55歳の黒髪のショートヘアーの女の人と60歳の白髪のメガネをかけた男の人が出てきた!
この人達が、私のお母さんとお父さん!

「由香〜!よー来たねえ!」

「お母さん、お父さん!正月以来ね!」

「さあさあ早く上がって……由香が大好きな通りもんもあるばい!」

その前に、ちょっといい?

「ん?」

紹介したい人がいるの……。
アイパー、グラサン、強面、袴!
両親はそれを見て、固まってる。

「私の彼氏、皇牙遼太郎さん。遼ちゃんと呼んどる。」

すると、遼ちゃんは、両親の前に紙袋から何かを取り出した!
ま、まさか銃!?

「初めまして!!皇牙遼太郎です!!娘さんには、お世話になっております!これ、東京のお土産です!東京ばな奈、是非食べてください!」

あの遼ちゃんが、敬語〜!?

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