オタクとヤクザが恋したら…

かのちゃん

13 ホントのこと言って!

遼ちゃん、おとといからずっと不機嫌だから、あんまり喋ってない。
てか、喋れる雰囲気じゃない……。
何があったのか全然話してくれない。
おまけに、夜ご飯は別々。
いつもよりお酒の量がすごいし、タバコを吸う数だって多い。
今日はカレーでいいかな?簡単で早く作れるし。

「お?由香ちゃん?」

ん?あ……。

「テルくん!」

こんなところでなにしてんの?

「飯を買いに行ってるんスよ〜。」

そうなんだあ。

「仕事休み?」

いや……帰り。遅くなったから、カレー作ろうかな〜?と思って。

「……。」

テルくん?なんか、険しい顔になってる。

「ちょっといい?」

えっ……。






連れてこられたのは、喫茶店。

「ごめんね。遼太郎さん、待ってるよね。」

ううん。気にしなくていいから。
あ、でも……。

「どうした?」

最近、すごく気になってたことがあるの。

「遼ちゃん、おとといからずっと不機嫌なの。お酒とタバコの量が増えてるし、私とはあんまり喋らないし……。皇牙組で、なんかあった?」

「あ……。」

まずい顔になってる……。
テルくんは、コーヒーを飲んで、いっときして口を開いた。

「……おとといから、月宮蓮という男が入ってきた。その男は、遼太郎さんが2年前の抗争で、殺したはずの男が作った組の若頭補佐。つまり、スパイだったんだ。」

ス、スパイ……。

「遼太郎さんはそいつから命を狙われてるんだ。変な真似をしたら殺すって言われてる。」

だから……あんなに……。
ありがとう、テルくん。

「いいえ。」






帰ってきたら驚きの光景が。
ソファーで寝そべってる遼ちゃんと、テーブルにはたくさんのビールの空き缶。
灰皿にはたくさんのタバコの吸殻が。
遼ちゃん、ちゃんと捨ててよ〜。
って言っても無視。
このままじゃ、遼ちゃんが壊れちゃうよ……。

「……遼ちゃん。」

「……ん?」

「テルくんに聞いたんだ。皇牙組であったこと。」

「……!?あ、あいつ、俺の由香に喋りやがったな!!」

遼ちゃん、落ち着いて!!

「離せ!!」

離さない!!

「他の組からのスパイが来て、変な真似をしたら殺すって言われたんでしょ!?なんで私に相談してくれなかったの……。私は遼ちゃんの彼女なのに……ホントのこと言って!私、遼ちゃんのことが好きだから……。」

「由香……。」

私、つい涙が出ちゃった。
遼ちゃんは、しゃがみこんで、私の顎をクイッと上げた。

「お前の言う通り。皇牙組にはスパイが潜入していて、変な真似をしたら殺される。皇牙組も潰れるだろう。ごめんな……お前に心配されたくなくて、ずっと黙ってた。それでも、俺の傍についてきてくれるか?」

「うん……ずっと遼ちゃんの傍にいる。」

「それだけで、俺は幸せだ。」

遼ちゃんは、私の唇にキスをした。
大好きだよ、遼ちゃん……。
これからも嫌なことがあったら、私に言って。
私は遼ちゃんの彼女だから……。

続く!

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