天才が異世界で困ってます

夏季

8話 神器を手に

目が覚めると俺はマナミに膝枕をされていた。
上を見上げるとかわいらしいマナミの顔が見れる。
しばらく見ているとマナミは俺が目を覚ましたのに気づきいきなりボロボロと泣き始めた。
そして俺の事を強く抱き締めた。

「よかったよぉ……死んじゃったかとおもったよ……」

「な、なんで俺生きてるんだ?」

急に抱きつかれた俺は必死に照れを隠しながら聞き返す。すると、マナミか必死に涙をこらえながら答えてくれた。

「なんかね、神器に触った瞬間一気に呪文が頭に入ってきたの。そしたら、うしろでガク君があの魔物に吹き飛ばされてるから急いで回復魔法つかったの。その間に他の皆があの魔物を倒してくれたんだけどね」

そうか……俺は本当に邪魔しかしてないな……
申し訳ない……

「本当にありがとう、あと足引っ張ってばっかでごめん」

「仕方ねぇよ。ガクは戦闘向きじゃないしな、気にするな!」

俺が謝るとケンタは俺たちを見てからかうようにニヤニヤしながら言う。
リキとハヤトは俺の事を睨みながら、

「いいから、早く白井から離れろ」

「白井さんがかわいそうですよ」

と、この状況に不満なのか不機嫌になりながらそっぽを向いてしまった。

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しばらくして落ち着いたあと、俺は自分の神器を取りに行った。俺の神器は予想はできていたが本だ。皆は神器を持った瞬間スキルや魔法が頭の中に入ってきたそうだが、俺に入ってきたのは魔物の情報とポーションなどのレシピやそのヒント、あとは【オールメモリー】というスキルだった。このスキルは見たものを一瞬で記憶することができるというもので、結局戦闘にはむかなかった。

もう、戦いには行かないでおこう……

俺はそう胸に誓い、城へともどった。

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