世界最強の強くてニューゲーム

ゼクト

中ボス

そして、彼がダンジョン内に入ると、ゼアークのダンジョンとはまた違った構造をしていた。

(これは…アンデットか…)

アンデットをメインとして操るダンジョンの特色として、光が少なく、そして異常なほどに黒い靄が存在するのだ。

(アンデットとなると、レベル差でどうにかなるレベルだといいのだが。)

この世界でのアンデットは何も不死身ではない。

確かに生命力は高く、なかなか消滅はしないのだが、別に神聖な魔法を使わなくても、ある程度の力の差があった場合、物理的に消滅させることも可能である。

(できれば、このダンジョンのレベルが低ければいいのだが。)

そう願いながらも、彼は中に入っていった。

しかし、なかなかアンデットとは出会わなかった。

そして…

(中ボス部屋まで来てしまったのだけど…よかったのか?)

結局一体もエンカウントしないまま、ボス部屋まで来てしまった。

(それに、いくらアンデットの気配は生命力がないから感じにくいとはいえ、ここまでいないものなのか?)

まだ、彼はこのダンジョンに入ってきてから、一回もモンスターの気配を感じていない。

そして、それは諜報活動系のスキルを極めている彼にとっては普通はあり得ないことなのだ。

数キロ先くらいだったら、スキルの効果で何がいるのかわかるようになっている。

つまり今、彼を中心として半径数キロメートルの中に、アンデットは1人もいないことになるのだ。

(それに、アンデットの中ボスか…)

アンデットに特に特効があるわけでもない彼は中ボス戦が不安だった。

しかも、このダンジョンのレベルがまだ一体もモンスターと戦っていないのでわからないのだ。

(とにかく行くしかないか。)

そして彼は、中ボスに挑むための扉を開き中に入っていった。

そこには、顔がかけている骸骨がいた。

「貴様も、このダンジョンの贄になりに来たのか?
このダンジョンは史上最強にして最凶。
我らがダンジョンマスター様は、ここに来た勇者どもの死体を使ってアンデットを作り上げるという最高に効率的な考えをお持ちである。
キサマもどこの人間かはわからないが、我らがダンジョンの供物にしてくれるわ!」

そういって、いきなり魔法を撃ってきた。

(遅いが…危険なのか?)

黒く染まっている魔法はまさしくアンデットだけが使える魔法なのだろう。

ちなみに、前にゼアークが使った黒色の魔力に比べ、こちらは少しだけ紫に近かった。

「ほう?よくよけたな…しかし、これで終わりだ。」

逃げた先には地雷があったらしく、地面に足を付けた瞬間に爆発を起こした。

「はっはっは。われらはこの世界を征服するために現れたもの。
キサマのような小童に無駄な魔力は使う必要はないのだ!」

アンデットは爆発した場所に向かってそう高らかに言うのだった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品