ゲーム

拡張していって、気が付いたことがある。

(なんだこれは…)

とりあえず、横に拡張していたのだが、少しだけ下の方にも拡張をしていた。

すると、そこから得体のしれない石が見つかったのだ。

(今まで見てきた医師に関しては、見た時点で鑑定結果が出ていたんだが…
これに関しては、出てこないな…)

そう、ゼアークはこの世界に来てから、ゲーム時代に持っていたスキルを使うことができていた。

そのスキルの中に鑑定もあったので、それを使っていたのだが、それを使っても正体がわからない石が出てきたのだ。

(まぁ、そんなこと言っても、俺の鑑定スキルに関しては、そこまで完全ではないからな。)

鑑定にもレベルがあるのだが、ゼアークの鑑定のレベルに関しては、最高ではない。

最も、ダンジョン内のことはわかるようになっていたので、別に鑑定はいらないと思っていたのだが、それでも、このように掘っていくことによって見つかったものに関しては、ダンジョンの権限の方の鑑定でもわからないようになっているのだ。

(そもそも、この世界に来てから鑑定のスキルがうまく働かないのかもな。)

この世界は、ゲームの世界とは変わっている。

実際、こんだけの時間を使って、こんだけの騒ぎを起こしていたら、人間側から勇者が来てもおかしくない。

しかし、このダンジョンに勇者が来る気配はなく、そもそも今回の戦争で手に入れた町の住民に情報を聞いても、勇者というのは伝説のお方で、いなくなってから随分と時間がたっているらしい。

(あのゲームでも、冒険者が攻めてくることはあったが、所詮冒険者に関しては、勇者の前夜祭のような物。
あのゲームの醍醐味はやはり勇者が魔王のダンジョンを攻略することだ…
その勇者がいないとなると、さすがにこの世界もつまらないものだ。)

魔王と勇者。

この2つの勢力が均衡していたからこそあのゲームは成り立っていたのに、その勇者側がいないとなると、魔王にとってはヌルゲーになる。

ヌルゲーというのは、最初は楽しいが結局人間が追い求めるのは、一瞬一瞬も目が離せないような接戦だ。

つまり、ゼアークはこの世界に空き始めているのだ。

(しかし、世界のバランスというのは、うまくできているはずだ。
それに、俺がこの世界に来たのは、レベルが１００になった瞬間。
そのことを考えれば、今後もあのゲームをプレイしている者が、この世界に送られてくる可能性はあるのだ！)

実際、この世界にゼアークを運んできたのは、あのゲーム。

つまり、あのゲームが存在する限り、この世界にプレイヤーが来る可能性はあるのだ。

そして、会社側にとっても、ゼアークと言う実験台で成功を確認している。

つまり…

「早く来ないかな～。」

ゼアークが望む世界はそこまで遠くないのだ。