本国軍

そんなことを言っていたが、それでも実物を見てしまうと、驚きが隠せなかった。

「おいおい、規模がおかしくねぇか！？」

普通のスタンピートは普通にダンジョンの過剰分しか出てこない。

だから、彼もスタンピートで町が一つ占拠されてしまったときに違和感を感じたのだが、それでも、たまに大量にモンスターがあふれるということはある。

しかし、今目の前に見えているスタンピートに関しては、規模が大きすぎて、これでは普通に魔国からの進攻レベルである。

魔国というのは、ダンジョンとは全く関係のないのだが、こちらに関しても、ダンジョンと同じようにトップのことは魔王と言われている。

実際は全く関係がないのに、なぜ人間国の中では同じような名前で言われているかというと、名前の由来は違うのだ。

まず、ダンジョンのほうに関しては、魔物の王という意味で、魔王と言われている。

しかし、魔物と魔族と魔法を使う魔国の方のトップに関しては、魔の王という意味で使われている。

そして、魔国に関しては、ダンジョンとは違い地上に普通にあり、そして自分から人間を襲っている。

つまりゼアークのやろうとしていることは、そちらの魔国寄りなのだ。

「まじか…ここまでの規模となると、ここにいる者たちでは受け止めきれない。
おそらく王宮の奴らは状況を知らないから、援軍にも期待ができないか…」

「どうしますか？」

「このまま、ここで戦っていても、絶対王都の方からの援軍はこないだろう。
しかし、ここでスタンピートを止めるための最適解は王都に帰ってすべての軍で迎え撃つことなのだが、それをしてしまうと、ここの住民が許してくれないだろう。」

実際、このままこのモンスターの軍勢に勝つためには、この国の戦力を総動員すれば撤退できるだろう。

それに、もしもそれができれば、中級がいくつか来ても大丈夫だろう。

しかし、ここにいる少しの軍勢では無理なのだ。

「我々は今から籠城戦を行う。
反撃の為には本国の応援が絶対に必要だ。
だから、俺らが絶えている間に、何とか呼んできてくれ…」

そして、彼らは籠城戦をする決意をしたのだ。

しかし、王宮では…

「どうやら、スタンピートが起こったらしいですね・」

「ああ、どうやら我が国の大事な街が1つ取られてしまったらしい。
これでは威信に傷がつくな…
援軍でも送るか？」

「大丈夫ですよ。私の所の諜報員に現地の状況を伝えてもらったのですが、今回のスタンピートに関しては、比較的少ないらしいですよ。
まぁ、最初の町に関しては、不意打ちの性でやられてしまいましたが、しっかりと訓練を受けている王国兵なら打ち破れるレベルです。」

「そうか…」

「それに、今そちら側に全軍を向けてしまっては、後ろがガラガラになってしまい、ほかの国から攻められてしまいます。
ですので、あとは彼らが、大量のモンスターの資源を持ってくることだけを待ちましょう。」

「それもそうだな。
今まで以上に規模が小さいなら、現地の兵隊だけでも大丈夫だろう。」

「それでは私は、領地の方の問題を解決しなくてはいけないので…」

「何か問題があるのか？」

「そこまで大きな問題ではないのですが、そろそろ後継者を本格的に育成しようかと…」

「ん？お前は結婚していたか？」

「ええ、しっかりと教会の許可も得て、国王様にも許可は得ましたよ。」

「そうか…まぁ、優秀なものを輩出することを願う。」

そういわれて、その貴族は、王宮から出ていった。

「さて、後継者はどの奴隷にさせるか…
自分はトップに立たないといけないし。」

そう、彼はもちろん、ゼアークのスパイだったのだった。