転生させていただきます! 〜チート能力と異世界生活〜

自治会長

#55 閑話 カタランティス軍事帝国騎士団 団長




〜帝都〜 アルカディアル


アルカルド城


この漆黒の城の謁見の間にて、ある女が膝まづいている

『最高指導者閣下、カタランティス軍事帝国騎士団総隊長 クリスティーナ・ヴォン・ナードラルでございます。今回はどのようなご用件でございましょうか。』

「あぁ、お前を呼び出したのは今回の戦争の総司令官をお前に任すためだ。お前は本陣にて軍を操れ。」

『閣下!?それでは貴方様が、この戦から手を引くと言うことなのですか!?』

クリスティーナがそう言うこと…
その男は不敵な笑みを浮かべる。

『たわけが、この俺が戦から引くわけないだろう。今回は俺が戦の先陣を行かせてもらう。今回の相手は、強敵だからな、俺の腕がなるってもんだ、』


『そ、そうおっしゃるのなら、私どもは何も言うことはございません…』

『まぁ、そう言うわけだ。もう下がってかまわん。』


クリスティーナは立ち上がり謁見の間を後にしようとする…
すると男は、何かを思い出したかのようにクリスティーナを呼び止めた。

『一つ言い忘れていたが…


お前を先陣から外した理由は…

もうわかっているはずだ。




   俺を甘くみるんじゃねぇ        』





バタン














(クリスティーナ視点)



…はぁ、はぁ、はぁ…

あのお方にバレていたとは…
もう、裏で動いているのもお見通しってわけか…

クリスティーナは、左腰に下げた聖剣エレングレストを鞘から抜き刃を眺め…自分の寝室のベットで泣いた。





時は遡り15年前



クリスティーナがまだ7歳の時の話だ。

ナードラル家はカタランティスの辺境伯で
聖剣を保有していた。
ここカタランティスでは、公爵家から辺境伯家までは、国の騎士として働くよう聖剣が譲渡されている。


『パパ! 今日もあのピカピカした剣見せて!』

『あぁ、わかったよ。クリスはあの剣が大好きなんだな』

『うん!大好き!』


この頃のクリスはにはわからなかったが、父の顔は、少し険しいものだった。
聖剣を持つと言うこと、すなわち家ごと国により管理され戦争には駆り出され、いつ死ぬかもしれない戦場へと毎回毎回出向かなければならないのだ。

『そうか…クリスにもそう遠くないうちに同じことをしなくちゃいけない。だからその時まで聖剣には触らせないよ』

『え〜!見るだけは?』

『んー、まぁそれなら仕方ないね』

『やった〜!』





そんなことを言っていられるのは、クリスが15の時までだった。


『…パパ…な、なんで…』


そうクリスの父が死んだのである。
父親の死…それはクリスの人生の終わり


クリスはその時初めてわかることになった。

聖剣を保有することは、外見では名誉あることだ。しかし、実際のところただの束縛するためのモノ・ ・にすぎないのだ。




クリスが剣を握って7年…
彼女は、この国の騎士団の総隊長となった。
騎士の頂点に立ったと言うことは、国の中でも頂点に近い存在というわけだ。
しかしそれよりも上には上がいる…
そうアンドール・ヴォル・シュルクアーティである。
彼の尋常ではない威圧感にクリスは絶望した。
《こいつがトップに君臨する限りこの負の連鎖は終わらない》と



クリスは、少しでもその絶望感を埋めるためにも善を尽くそうとした。
戦争では先陣へ赴き、相手国の国民を避難させたり…

国にはバレないように動いていた…

はずだった…


だが、あの男には最初からお見通しだったのだ。

『……お、お父さん……私…もう…何もできない…』

クリスティーナには、今は亡き父に語るしか方法はないほど追い込まれていた。






しかし、クリスティーナは諦めなかった。
これが最後…
そう思って行った行動が…己ならず、この国の民を救うとは…

今はまだ知る由もなかった…

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