私だけの世界
修学旅行〜初日〜鈴木(2)
救急隊の人に外に出ておくように言われ、上裸である俺を気遣ったのか、毛布を持って来てくれた。
まもなくして、救急隊が呼んだ警官が4人来た。現場検証のため、3人の警官が中に入り、1人は俺たち3人に事情聴取のようなものをとるつもりらしい。
警察が来てから、いつの間にか俺たちの周りにはほかの生徒たちも集まってきていた。
「すみません、一回着替えてもいいですか?」
俺が警官に問いかけた。手は血まみれで上は毛布のみ、それだけであれば些か問題はなかったのだが、応答でボロを出せば、もしかしたらバレるかもしれない。
まだ捕まってはいけない。あと、4人殺す予定なのだから。俺の夢がここで終わることは絶対に許さない。小板橋、中田、榊(さかき)、陸(くが)、蓮(はちす)の順に殺していく。
この夢を成し遂げるためには、今この場でバレるわけにはいかない。ボロが出ないように、一度着替えてリフレッシュしようと考えた。
「いいえ。では少し待っててください。そろそろ出てくると思うので。」
目の前の三十代くらいの警官が答えた。
残りの警察官はトイレの中へ行ってしまい、ドアは閉められている。当然中の様子はうかがえない。
「わかりました。」
俺がそう言ったのだが、先生が
「流石にこの格好で待つのは目立ちますし、他の生徒に頼んで、着替えだけでも持って来させてもいいのではないですか?」
と先生が言った。周りに生徒はたくさん集まっていることから下した判断であろう。
「うーん。そうですね、わかりました。いいですよ」
警官が答えた。俺は集まってきた生徒たちの中から同じ部屋の奴を1人見つけ、そいつに頼んだ。ついでに小板橋の姿も探したのだが、ここにはいないようだ。ああ言う系の女子はこういうの嫌いなのか?
小板橋寧々(こいたばしねね)は同じクラスの女子だ。特に目立つような女子でもなく、馬鹿騒ぎなどは嫌いそうに見える。友達とかといるときは何故かいつもテンションが高く、SNSに写真をよく投稿する印象だ。そして、中田の好きな人。
「わかった行ってくるわ。」
俺が頼んだ男子生徒が答えた。
「俺のリュックのとなりにTシャツ畳んで置いておいたから、それでよろしくな」
「おっけー」
とりあえず俺の着替えはさせてくれるようだ。ありがたい。着替えを待っている間、俺たちは警官の質問に答えることとなった。
「じゃあまず先生から」
先生がまず自分の名前から応え、鈴木の名前や殺させるような理由等色々聞かれ、それに応答している。その間に着替えが届いた。先生への事情聴取により第一発見者が俺と聞き、質問の矛先は俺へと向かった。
「わかりました。ありがとうございます。じゃあ次は第一発見者の宮藤君に聞こうか。」
警官が俺に言った
「わかりました、ただ今着替えが届いたので着替えていいですか?」
「どうぞ」
俺はいそいそと先ほど届いた服を着て、その間に考えを巡らせていた。
「大丈夫です」
Tシャツを着る間にある程度考えをまとめた。
「じゃあまず名前からね」
「宮藤聖都です」
「鈴木君とはお友達?」
「そうですね。友達です。」
鈴木と俺は友達、いやむしろ親友と呼んだ方がいいと呼べる仲であった。小学校の頃からの付き合いだ。とは言っても、小学校の頃は大して中は良くなかったが、中学に上がり、俺らの間で流行ったスマホゲームで意気投合し、そこからよく遊ぶようになった。高校1年になってからは2人でカラオケに行こうが、2人で映画を見に行こうがなんの違和感もなく、とても楽しめた。
「そっかそっか。鈴木君を発見したときはどんな感じだった?」
警官が質問を続ける
「そうですね、見つけたときは何よりもう、血がすごい出てるって感じで、鈴木の胸にナイフが刺さってて、その場でちょっと固まってたんですけど、なんか喋ってるって言うか、呻き声みたいなのをあげてる気がして、とりあえずナイフを抜いて、血を止めなくっちゃって思って、服を脱いで縛ったんですよね。」
嘘はそんなについていない。もっともらしいことを言った自覚があった。
「じゃあもう見つけたときには、だいぶ血が出てたんだね。部屋のトイレに行かないで、ここの共同トイレに宮藤君が来たのはなんで?」
警官が言った。なんて嫌な質問だ。トイレに行くのに理由が必要なのかよ。
「実は鈴木と俺2人で夕飯食べ終わった後にここのトイレに寄ったんですよ。でも俺の方が先に出ちゃって、外で鈴木を待ってたんですよ、それで3分くらいかな?待っても鈴木が出てこないんでトイレに様子を見に行ったんです」
少しばかり嘘をつきすぎてるな。ここに繋げなければ俺はここで終わる。夢半ばで終わってしまう。俺は頭をフル回転させた。
「じゃあつまり、2人で入って、宮藤君が先に出てて、その待ってる間に鈴木君が胸を刺されたってことになるけど、トイレの中に鈴木君と宮藤君以外の人はいたの?」
警官が追い打ちをかけるように問いかける。
「2人で入ったときは誰かいたのかは定かではないですが、待ってる間1人の男の人が出てきたんです。だから、そいつが鈴木をやったって思ってます」
「なるほど。その男の人の顔は覚えてる?」
「正直、全然覚えてないです。まさかこんなことになると思ってませんでしたから。でも顔を見れば絶対わかると思います」
「なるほどね。わかりました。じゃあ最後に質問ね。鈴木君を殺したのは、宮藤君じゃないよね?」
まもなくして、救急隊が呼んだ警官が4人来た。現場検証のため、3人の警官が中に入り、1人は俺たち3人に事情聴取のようなものをとるつもりらしい。
警察が来てから、いつの間にか俺たちの周りにはほかの生徒たちも集まってきていた。
「すみません、一回着替えてもいいですか?」
俺が警官に問いかけた。手は血まみれで上は毛布のみ、それだけであれば些か問題はなかったのだが、応答でボロを出せば、もしかしたらバレるかもしれない。
まだ捕まってはいけない。あと、4人殺す予定なのだから。俺の夢がここで終わることは絶対に許さない。小板橋、中田、榊(さかき)、陸(くが)、蓮(はちす)の順に殺していく。
この夢を成し遂げるためには、今この場でバレるわけにはいかない。ボロが出ないように、一度着替えてリフレッシュしようと考えた。
「いいえ。では少し待っててください。そろそろ出てくると思うので。」
目の前の三十代くらいの警官が答えた。
残りの警察官はトイレの中へ行ってしまい、ドアは閉められている。当然中の様子はうかがえない。
「わかりました。」
俺がそう言ったのだが、先生が
「流石にこの格好で待つのは目立ちますし、他の生徒に頼んで、着替えだけでも持って来させてもいいのではないですか?」
と先生が言った。周りに生徒はたくさん集まっていることから下した判断であろう。
「うーん。そうですね、わかりました。いいですよ」
警官が答えた。俺は集まってきた生徒たちの中から同じ部屋の奴を1人見つけ、そいつに頼んだ。ついでに小板橋の姿も探したのだが、ここにはいないようだ。ああ言う系の女子はこういうの嫌いなのか?
小板橋寧々(こいたばしねね)は同じクラスの女子だ。特に目立つような女子でもなく、馬鹿騒ぎなどは嫌いそうに見える。友達とかといるときは何故かいつもテンションが高く、SNSに写真をよく投稿する印象だ。そして、中田の好きな人。
「わかった行ってくるわ。」
俺が頼んだ男子生徒が答えた。
「俺のリュックのとなりにTシャツ畳んで置いておいたから、それでよろしくな」
「おっけー」
とりあえず俺の着替えはさせてくれるようだ。ありがたい。着替えを待っている間、俺たちは警官の質問に答えることとなった。
「じゃあまず先生から」
先生がまず自分の名前から応え、鈴木の名前や殺させるような理由等色々聞かれ、それに応答している。その間に着替えが届いた。先生への事情聴取により第一発見者が俺と聞き、質問の矛先は俺へと向かった。
「わかりました。ありがとうございます。じゃあ次は第一発見者の宮藤君に聞こうか。」
警官が俺に言った
「わかりました、ただ今着替えが届いたので着替えていいですか?」
「どうぞ」
俺はいそいそと先ほど届いた服を着て、その間に考えを巡らせていた。
「大丈夫です」
Tシャツを着る間にある程度考えをまとめた。
「じゃあまず名前からね」
「宮藤聖都です」
「鈴木君とはお友達?」
「そうですね。友達です。」
鈴木と俺は友達、いやむしろ親友と呼んだ方がいいと呼べる仲であった。小学校の頃からの付き合いだ。とは言っても、小学校の頃は大して中は良くなかったが、中学に上がり、俺らの間で流行ったスマホゲームで意気投合し、そこからよく遊ぶようになった。高校1年になってからは2人でカラオケに行こうが、2人で映画を見に行こうがなんの違和感もなく、とても楽しめた。
「そっかそっか。鈴木君を発見したときはどんな感じだった?」
警官が質問を続ける
「そうですね、見つけたときは何よりもう、血がすごい出てるって感じで、鈴木の胸にナイフが刺さってて、その場でちょっと固まってたんですけど、なんか喋ってるって言うか、呻き声みたいなのをあげてる気がして、とりあえずナイフを抜いて、血を止めなくっちゃって思って、服を脱いで縛ったんですよね。」
嘘はそんなについていない。もっともらしいことを言った自覚があった。
「じゃあもう見つけたときには、だいぶ血が出てたんだね。部屋のトイレに行かないで、ここの共同トイレに宮藤君が来たのはなんで?」
警官が言った。なんて嫌な質問だ。トイレに行くのに理由が必要なのかよ。
「実は鈴木と俺2人で夕飯食べ終わった後にここのトイレに寄ったんですよ。でも俺の方が先に出ちゃって、外で鈴木を待ってたんですよ、それで3分くらいかな?待っても鈴木が出てこないんでトイレに様子を見に行ったんです」
少しばかり嘘をつきすぎてるな。ここに繋げなければ俺はここで終わる。夢半ばで終わってしまう。俺は頭をフル回転させた。
「じゃあつまり、2人で入って、宮藤君が先に出てて、その待ってる間に鈴木君が胸を刺されたってことになるけど、トイレの中に鈴木君と宮藤君以外の人はいたの?」
警官が追い打ちをかけるように問いかける。
「2人で入ったときは誰かいたのかは定かではないですが、待ってる間1人の男の人が出てきたんです。だから、そいつが鈴木をやったって思ってます」
「なるほど。その男の人の顔は覚えてる?」
「正直、全然覚えてないです。まさかこんなことになると思ってませんでしたから。でも顔を見れば絶対わかると思います」
「なるほどね。わかりました。じゃあ最後に質問ね。鈴木君を殺したのは、宮藤君じゃないよね?」
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