桜舞い散る中に忘れた記憶と君のレブロンの香りが戻ってくる。

80y親父!

桜舞い散る中に忘れた記憶と君のレブロンの香りが戻ってくる。 第 2話

パコーン!パコーン!
(ソフトテニスの練習の音)


「はいっ!全員集合!」
顧問が呼んでいる!

気が短いからダッシュでいかなきゃ!



「お前達もいよいよ 2年生になってそして、17歳になる!
17といえば、どんな事でもスポンジのように何でも吸収 出来る時期だ!
他の学校は、まだ、3年生がいて最後の春季大会にむけて必死で練習している!
しかし!お前達は、幸か不幸か3年生達がタバコの問題で退部させられ 2年生のお前達が試合に出場しなければならない!
俺は、知っての通り野心家だ!
お前達 2年生が、他校の3年生を打ち負かし優勝してくれる事を思い描いている!
そこでだ!我が校は、一面しかないテニスコートを硬式テニス部と日替わりで使用していては、優勝も夢物語であり、なんとかしなくてはいけないと思い、知り合いに掛け合ってみた。
なんと!四菱の独身寮の寮長がテニスコートを貸してくれる事となった!
寮の人達がテニスコートをここ10年ぐらい使用した事がないのでどうぞ、使って下さいとのことだ!
学校からの移動は、電車で二駅あるが、30分もあれば現地に到着する!
今日からは、筋トレとかは、無しで
そのテニスコートで、実戦練習を行う!」





なんとも、急な話だな!



「今日の移動は、野球部のバスを借りた!今から全員、移動準備をして野球部のバスに集合!」
顧問は、テンションがあがりっぱなしだ。




兎にも角にも、僕達部員6名は、野球部のバスに乗り込んだ。
部員6名とは、公式試合団体戦で出場出来るギリギリのメンバーだ。
先輩達のタバコ事件で一年生も入部してこなかったため、この6名で
日本一を本気で目指す!っという なんとも無茶な話だ。


バスが動き出し、20分後に四菱の寮に着いた。

寮の入り口で、寮長がお出迎えを
してくれた。
「お疲れ様!入り口入ってすぐ右に倉庫部屋があるから、そこで着替えて下さい。そこに、コートのネットもあるから、使用して下さい。」


こちらが無理をお願いしているのに
なんとも、腰の低い方だ。
寮長は、住み込みで、この、寮の中に3LDKの居住空間があるらしい。


顧問が張り切って
「お前たち!すぐに着替えてコートの準備をしろ!」



寮長の前だから余計に張り切って
いる!



とにかく急いで準備をしなければ
後で痛い目にあう。



僕達は、倉庫部屋に向かおうとした時に顧問が僕と鈴木君を呼び止めた!
「おい!鈴木、坂本!お前達2人は、今日から部長と副部長だ!今日の練習メニューを2人で着替えが終わったら、話し合ってからコートに来るように。他の者は、着替えが終わったら、すぐにコートの準備!長らく使用していないコートだから、トンボをかけたり、ローラーを引かないといけないぞ!」




えっ?


優勝目指すのに俺たち2人で練習メニューを?

確かに、鈴木とは、気があって高校入学時からの親友だけど、鈴木は、テニス未経験者だ。
とっ、言う事は、俺が考えるの?


とにかく急いで着替えねば!

僕達2人が倉庫部屋に入った時には、他の4人は、着替え終わり
コートに向かっていた。

鈴木君と二人で倉庫部屋に入ると
何とも表現のしにくい甘い香りが微かに漂っていた。
甘いのか、柔らかいのか?何とも言えないが、確かに僕のDNAに訴えかける、懐かしいような、包まれるような香りだ。
香りの元を探すように周りに目をやった。
目に止まったのは、この場所に似つかわしくないグランドピアノ
だった。


ピアノを何気に眺めていると


コン!コン!
扉をノックする音がした。


「すいませんけど、ピアノに楽譜わすれたから、取ってもいい?」

敬語なのかタメ口なのかわからない口調の女性の声がした。

僕は、着替えも終わっていた。
鈴木君に目をやると、鈴木君も軽く
首をたてに振った。


僕は、


どうぞっ!

扉の方向に声をかけた。



ガチャ!
扉が開くと同時に
「ごめーん。」
少し、低めのテンションでハスキーボイスの女性の声。


扉が半分ぐらい開いた時に声の主の
女性の姿が見えた。
同時に、気になっていた香りが、今度は、ハッキリと、この部屋に立ち込めた!

その瞬間、僕は、10分ぐらい石像になった!

いや、実際には10秒ぐらいなんだろう。


なぜ、固まってしまったのかわからないが、確かに僕の中で何かが反応した。それこそ、DNAが動いた。

彼女は、髪をかきあげながら、ひきつった、照れ笑いを見せた。



彼女との最初の出会いだ。
なんとも言えない感情が渦巻き、みぞおちが苦しくなり、訳がわからない状態におちいってしまった。


この時の僕は、まだ今後
彼女に振り回される事を
想像もしていなかった。

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く