花に願いを
第4話
コロノ達がギルドへと戻ると、まず外の掃除をしていたガンタタが驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になり迎えてくれると思いきや、北門に仁王立ちして立ちふさがった。
「コロノ、まずはお疲れ様だ。正直こんなに早く帰ってこれるとは思わなかったぞ。……ただ……後ろの女、そいつは誰だ? もしかして部外者か?」
「違う。入団希望者」
ガンタタの言葉に一切の焦りを見せることなく冷静にコロノは答える。それを聞いたガンタタは、厳しい表情を動かさずに、
「じゃあコロノ、お前はまだ入団していない奴に手伝ってもらったのか?」
少し声を荒げて言った。軽猫は小さく縮こまりながら時々ガンタタの声に体がビクッと跳ねる。
「ちゃうよガンタタ。相変わらず生真面目やな?」
そんな言葉と不思議な香りを纏いながら、ガンタタの後ろからフィオーレが現れる。
「彼女はすでにうちらのギルドの一員よ。御免な? 軽猫さん。ガンタタの来る前から入団をしたから知らなくても仕方ないんよ」
「え、えぇ?」
状況が呑み込めず、軽猫は目を白黒させている。
「まぁ、懐かしい軽猫さん、そして入団試験を終えたコロノ君は、色々言いたい事あるから、うちの部屋に来てくれへんかな?」
もちろん断る理由も二人にはないので、もう一度顔をみあわせてから、すでに歩き出したフィオーレの後ろを追った。ガンタタはフィオーレの言葉を信じ切って掃除を始めていた。
中に案内された二人は、入り口の近くで立ったまま固まる。フィオーレはゆっくりと奥にある椅子へと座り、静かに切り出した。
「さて、結果として言わせてもらうけど、本来は今回の試験は失敗になるんや。だけど、彼女がギルドのメンバーであることは事実やし、チームでもない二人が協力して依頼をクリアした事は反則やけど、二人が今ここでチームを組んでいた事にすれば別に反則にならずに済む。だから、今ここで内緒にチームを組んでくれへん? 大丈夫、ギルド長の権限で違反は無しにできるよ」
それを聞くと、軽猫が慌てたようにフィオーレを止めに入る。
「ちょ、ちょっと待ってよ。あたしがいつここに入ったことになってるの?」
「その質問の答えを知りたいならチームを作る。できないなら、コロノ君の試験は失敗としてまた次回、ここにきてもらうことになるんやけど? あぁ、ついでに失敗になった人は自分の星に帰ってもらうで?」
顔こそ笑顔のままでフィオーレは言うが、言葉はとても冷たく二人の体が固まる。二人の間に沈黙が流れる。
「……ど、どーするの?」
最初に口を開いたのは軽猫だった。心配そうな顔でコロノを見つめながらそう聞く。
「……別に軽猫にまかせる。ここで試験失敗になっても別にいいし」
「……駄目」
聞こえるか聞こえないかの声で、軽猫は小さくつぶやく。
「え?」
小さく漏れた軽猫の言葉に、フィオーレは問い直す。
「そんなの駄目。あたしはコロノとチームを組むよ。なんでここの名簿に私の名前があるのかも知りたいし、なにより洞窟から適当な理由だったとしても、仲間のように出してくれたのはコロノだもん。私はやっぱりコロノについていきたい」
きっぱりとそう言った軽猫の顔をコロノもフィオーレも驚いた顔で見た。そんな二人の様子に、軽猫は顔を赤くして、手を一生懸命突き出して振る。
「い、いや、そんな変な意味はない! あ、あの浮ついた感情とかじゃなくて、と、友達として言ったんだ、……よ?」
「ふふふ、軽猫さん、あんた可愛いね?」
「い、いや……」
フィオーレは餌を食べる魚の様に口をパクパクさせる軽猫からコロノへと視線を移す。
「で、君もそれでいいん?」
「軽猫が決めたことに従うよ」
「そっか、なら二人はチームということで登録しておくわ」
満足そうに笑顔を浮かべてフィオーレは言った。そして表情を改めると今度は肘をついていた机の中から古そうな紙を一つ出した。どうやら手紙のようだ。
「コロノ、まずはお疲れ様だ。正直こんなに早く帰ってこれるとは思わなかったぞ。……ただ……後ろの女、そいつは誰だ? もしかして部外者か?」
「違う。入団希望者」
ガンタタの言葉に一切の焦りを見せることなく冷静にコロノは答える。それを聞いたガンタタは、厳しい表情を動かさずに、
「じゃあコロノ、お前はまだ入団していない奴に手伝ってもらったのか?」
少し声を荒げて言った。軽猫は小さく縮こまりながら時々ガンタタの声に体がビクッと跳ねる。
「ちゃうよガンタタ。相変わらず生真面目やな?」
そんな言葉と不思議な香りを纏いながら、ガンタタの後ろからフィオーレが現れる。
「彼女はすでにうちらのギルドの一員よ。御免な? 軽猫さん。ガンタタの来る前から入団をしたから知らなくても仕方ないんよ」
「え、えぇ?」
状況が呑み込めず、軽猫は目を白黒させている。
「まぁ、懐かしい軽猫さん、そして入団試験を終えたコロノ君は、色々言いたい事あるから、うちの部屋に来てくれへんかな?」
もちろん断る理由も二人にはないので、もう一度顔をみあわせてから、すでに歩き出したフィオーレの後ろを追った。ガンタタはフィオーレの言葉を信じ切って掃除を始めていた。
中に案内された二人は、入り口の近くで立ったまま固まる。フィオーレはゆっくりと奥にある椅子へと座り、静かに切り出した。
「さて、結果として言わせてもらうけど、本来は今回の試験は失敗になるんや。だけど、彼女がギルドのメンバーであることは事実やし、チームでもない二人が協力して依頼をクリアした事は反則やけど、二人が今ここでチームを組んでいた事にすれば別に反則にならずに済む。だから、今ここで内緒にチームを組んでくれへん? 大丈夫、ギルド長の権限で違反は無しにできるよ」
それを聞くと、軽猫が慌てたようにフィオーレを止めに入る。
「ちょ、ちょっと待ってよ。あたしがいつここに入ったことになってるの?」
「その質問の答えを知りたいならチームを作る。できないなら、コロノ君の試験は失敗としてまた次回、ここにきてもらうことになるんやけど? あぁ、ついでに失敗になった人は自分の星に帰ってもらうで?」
顔こそ笑顔のままでフィオーレは言うが、言葉はとても冷たく二人の体が固まる。二人の間に沈黙が流れる。
「……ど、どーするの?」
最初に口を開いたのは軽猫だった。心配そうな顔でコロノを見つめながらそう聞く。
「……別に軽猫にまかせる。ここで試験失敗になっても別にいいし」
「……駄目」
聞こえるか聞こえないかの声で、軽猫は小さくつぶやく。
「え?」
小さく漏れた軽猫の言葉に、フィオーレは問い直す。
「そんなの駄目。あたしはコロノとチームを組むよ。なんでここの名簿に私の名前があるのかも知りたいし、なにより洞窟から適当な理由だったとしても、仲間のように出してくれたのはコロノだもん。私はやっぱりコロノについていきたい」
きっぱりとそう言った軽猫の顔をコロノもフィオーレも驚いた顔で見た。そんな二人の様子に、軽猫は顔を赤くして、手を一生懸命突き出して振る。
「い、いや、そんな変な意味はない! あ、あの浮ついた感情とかじゃなくて、と、友達として言ったんだ、……よ?」
「ふふふ、軽猫さん、あんた可愛いね?」
「い、いや……」
フィオーレは餌を食べる魚の様に口をパクパクさせる軽猫からコロノへと視線を移す。
「で、君もそれでいいん?」
「軽猫が決めたことに従うよ」
「そっか、なら二人はチームということで登録しておくわ」
満足そうに笑顔を浮かべてフィオーレは言った。そして表情を改めると今度は肘をついていた机の中から古そうな紙を一つ出した。どうやら手紙のようだ。
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