それでも僕らは明日に向かう

ノベルバユーザー311087

第五話

忘れられないはずだった…。
忘れてはいけないはずだった…。
僕を救ってくれた人を
そして恨んでいた。
《僕を救ったから》
来居八女
彼女が僕と初めて会ったのは中学校に入った時だった。
僕の通った中学校は二つの小学校が合わさって編成されていた。
彼女は隣の小学校に通っていて中学で一緒になった。
とても活発でいつもにこにこしていてクラスの中心には必ず彼女がいた。
そのくらい何に対しても意欲的でかつ全力だった。
そんな彼女とは対照的に…とまではいかないが少なくとも彼女のようなできた人間じゃなかった。
そんなことだからもちろん関わりは小さかったし、卒業するまでこの距離感なんだろうなと勝手に思っていた。
そんな僕らの関係が変わったのは中三の春だった。
ちょっとした僕のミスが発端だった。
僕は授業中は八割方小説をノートに書いていた。
僕はずっと後ろの席だったしずっとばれていなかったから油断しきっていた。
国語の授業だったと思う。
はらりとプリントが落ちたにも関わらず僕はそれに気付かなかった。
斜め前の彼女はそのプリントを拾って届けてくれたのだが…
全く気付いていない僕は小説を隠すことができなかった。
そんな経緯で彼女に小説がばれてしまい僕の学生生活はひたすらこの小説をひたすらいじられて終わりだと思った。
大きな黒歴史を作ってしまったと思った。
しかし彼女は小さな声で
「後で見せてね。」
と一言だけ残して僕の小説をみんなに広めることなくとどめてくれた。
それが初めのかかわりだった。
それからは小説が一定程度書き終えると放課後などに彼女に見せて毎回ダメ出しを食らっていた。
そんなこんなでだんだんと仲は良くなって…いくこともなく以前に比べれば少し話す程度まで仲は進展してついに卒業式を迎えようとしていた。
小説にダメ出しを食らうこともう1年近くになるのかと塾の帰り道にボーっとただただ星を見ながら歩いていた。
家まで早く帰って彼女に小説を書かないといけない。
そんなことを考えていた。
そのために裏道を使った。
薄暗い路地だった。
僕はそこで無灯火の車に轢かれた。
それもひき逃げだった。
僕の意識は一瞬で途切れた。
何もわからず起きたら真っ白な部屋のなっしろなベッドの上で寝ていた。
病院のベットで聞いた。
あの路地に面するところに八女の家はあり塾帰りに大きな音が聞こえたので向かってみたら僕が血だらけで倒れていた、と。
僕らの関係はそこからだった。
たまたま同じ高校への進学が決まっていた僕らは親友と互いに呼べるまでになった。
そして忘れもしない高校2年の4月僕らの関係が始まった日に渡した小説で僕は八女に告白をした。
その時書いていた小説が恋愛小説だったこともありすんなりと受け流されてしまいかけたが
「これは君に対しての気持ちも含まってるんだよ。」

めっちゃ恥ずかしかった。
多分顔は真っ赤だったろう、彼女は少し驚きながらも首を縦に振ってくれた。
こうして僕は八女と付き合い始めた。
八女との思い出を記憶から呼び起こす度に涙が出そうになる。
なぜ思い出せなかったのか。
なんで忘れていたのか。
そしてなぜ彼女は僕のことをそこまでして心配してくれるのかを…。

          

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