青空は、異世界でも同じでした。

娘々ノベライザー8975

第3話 悲しみを乗り越えてその先へ

私は、死んだ。
真山あすかは、閉鎖空間らしき場所で椅子に座っていた。
今の状況で私の表情を出すとしたら。

((( ;゚Д゚)))

まぁ、誰だってそうなるよ?
異世界で初めて死んだんですから。

『そのわりには、内心では、落ち着かせるために冷静になろうと自分の状況を整理しているようね。』

はい、どの世界でもいらっしゃる女神の登場…ん?

『いや、女神じゃなくて…我は、死神ですから。』

ちょっとちょっとちょっと、まってまって。
いやいやいや、無いわ。
これは、無いわぁー。

真っ白な閉鎖空間の中でも黒いローブを羽織った女性がいるのは、まだ大丈夫。うん、大丈夫。

でもさぁ。

「これは、無いわ。うん、死神をやめてジョブチェンした方が良いわ。」

つい、口にしてしまったせいか慌てて両手で抑えたが、その死神さんは、涙声で泣きながらも訴えてきた。

『す、好きで…し、死神なんて、やんないもん!!むしろ、これが我の仕事なんだから…仕方ないんだもん!!』

急に子供ぶるような話し方に、少しキュンッてなってしまった。
めっちゃ、可愛いんですが。

とりあえず、自分の整理が出来たお陰で話を続けるように聞いてみることにした。

「あの、さ?私は、死んだんだよね。生き返れないってことで良いのかな?」

『ん、それは、答えられない。貴女、転生していないけど、転移しているから…本来は、生き返れないけどね。』

つまり、一度の人生だからリスタートが出来ないわけか。
厄介なシステムだなぁ、と思った私だった。

『だけど、我には、出来ないってだけの話。』

ん?
それは、管理権限がある他の人に頼めば、生き返れるってことかな?
でも、ここって明らかに。

『そう、貴女は、私の管理場所に来たの。理解、できる?』

あぁ、なるほど。
これは、さすがに自分の危険性が更に理解してきた。
現段階で、私の身体は、命の危機に晒されているわけですね、はい。
いやいや、今、一瞬で落ち着いたらあかんでしょ!?
むしろ、慌てる事案じゃないですか、やだぁ。

「ねぇ、誰か、私の身体を生き返らせて!!ヘルプミー!!」

大声で叫ぶ私の悲痛な願いは、果たされなかった。
まぁ、分かってたけどね。
自己責任ですもんね。

ー自己判断能力スキルを獲得しました。

また、あの声。
てか、久々に聞いたな。

『え?いや、今の声、賢者様!?』

ーユニークスキル(賢者の真理)を獲得しました。

へぇ、この声は、賢者さんなんだ。
つまり、賢者と話せることが出来るのかな。

ー解。賢者の真理と自己判断能力のスキルを結合してエクストラスキル(思念通話)を獲得しました。

おぉ、なんか、ゲーム感覚で面白そう。
てことは、魔法を覚えてスキルを増やしたら。

ー解。魔法とスキルの結合により新たな呪文魔法、もしくは、モンスターや人間との取り引き方法などに用いれることが可能になります。

じゃぁじゃぁ。
私とワイバーンが戦った時の事は、賢者さんは、覚えているのかな?

ー解。エクストラスキル(記録映写)メモリアルアップを獲得しています。その時の映像をご覧になりますか?

イエスイエス!!

『なぁ、我のことを忘れてはないか?我…いや、私にも見せろ!!いやいや、私とも絡めよ!!』

あ、忘れてたわ。

「あ、あの。見る?私、あの時にさ、死ぬ前の記憶がすっぽり思い出せなくてさ?」

『まったく、仕方ないなぁ!!一緒に観てやらんでもないぞ!!』

ツンデレか、可愛いなこんちくしょうめ。
私と死神と賢者さんの三人?で、上映が始まって見ることになった。

霧が立ち込めた主観的映像のVRな戦闘シーンが始まると、私の記憶が少しずつ思い出してきた。

ワイバーンの頭が低く突進してきたのをいきなり目の前に姿を現してきた。
自分は、その時にワイバーンの突進に合わせて跳び箱の動きをしてワイバーンの首の上に乗っかって首の延髄に連打する。
だけど、私の記憶がそこで途切れたのは、覚えていた。
あの後に、私は、下半身を真っ二つにされた後になって意識を取り戻したのだ。

ー解。ワイバーンに乗っかり連打された後、賢者の真理とバトンタッチされました。

今、なんと?
え?
私の意識を乗っ取ったわけですか?賢者さん?

ー解。あれ以上の戦闘時間に外傷を与えることが不可能と判断しました。賢者の真理、戦闘モードによりワイバーンの身体ごと下半身半分をユニークスキル(捕喰)クラウモノを獲得し、最後まで暴れたせいで下半身と引きちぎられました。捕喰によるスキルでワイバーンの能力、スキル、生態をただいま分析、解析を続行中。

うん、死神さん。
今の賢者さん、さらっと死んだ経緯が垣間見うたようなきがしませんでしたか?

『…貴女は、とんでもない賢者様を呼び出したようだな。私には、どうにもならないよ。』

あ、見捨てやがったな。この死神さん。
つか、嫌だよ。
こんな賢者さんのせいで死んだなんて。
いや、殺されたような感じもするけど?

ー不解。最善の戦闘に基づいていm

賢者さん、黙っててくんない?
むしろ、話しかけるまで何も言わないで。

ー……解。追記、生還するまで、残り2時間56分。

…ん?
今、賢者さんの最後の言葉、何て?
生還?

『え、ちょっと待って。賢者様、それは、いくら管理権限を逸脱してないかな?一応、賢者様でも女神様クラスの神聖術となる最上級魔法を使わないと生き返れないんですけども?』

ー解。外部からの教会の祭司様による神聖術を行使中。生還率、25パーセントずつ向上中。生還まで、残り2時間15分。生還率まで、残り80パーセント。

賢者さんと死神さんとの会話がなぜか面白かった。
いや、生き返れるのならまだ、あの子に会えるのだろうかと不思議と嬉しく思えてきた。

ーユニークスキル(百合愛)ガールズラヴァーを獲得しました。

ちょいちょい、そんなユニークスキルは、いらんわ!!恥ずかしいからやめて!!むしろ、死神さんに聞かせたくないユニークスキルだわ!!

『…ま、まぁ、ひ、人それぞれ…だ、だから、な。///』

うっわぁー、完全に私への扱いがそっち系列の人種だと思われたじゃないですか、やだぁ!!

ーふぁい。

おい、賢者さんや。生き返った後で倫理道徳の意味を解らせなきゃあかんようだな。
覚えてなさいよ、変態賢者!!

ー黙録。黙って記録。

いやいや、マジで黙ってくれないかなぁ!!

とまぁ、なんやかんやで数時間の賢者との茶番と言う名ばかりのコントをやっていたら、身体が光だした。

『うん、あすかちゃん。君は、すっごい面白いね。また、気兼ねなく死んだらまた、話そうよ。』

「いや、身体が持たないんですが。むしろ、生きていて欲しくないのかな?ミディアちゃんは?」

このやりとりが、本当に最初で最後になるかもと思うと、ちょっとは、寂しいかなと私は、思えてきた。
楽しい一時があっという間に過ぎた時間が僅かになってミディアちゃんが抱きついてきた。

『あすかちゃん。また、話そうね。約束だよ?ミディアは、いつも待ってるから。』

死神らしからない笑顔が可愛くて、少女だと思うような屈託のない無垢な瞳をした娘が、手を振って送り出してくれた。
あんな子が、私の妹だったら、きっと毎日で話し合いたいものだなぁ。

「…あすか?」

私は、目を覚ました。
長い間、眠っていたかのように身体を起こすと動かそうとするとギシギシと骨が鳴るのだ。

「おはよ。ゆな。」

窓の外から、朝陽が私の身体へと浴びさせてくれた。
ゆなが言うには、二日間も寝ていたと話してくれたのだ。
心配をさせてしまったゆなに、僅かながらにぎゅっと優しく抱き締めてあげて頭を撫でてあげた。

悲しみと死地を乗り越えた私とまなは、とある場所で休んでいたことに気づかなかった。

王都エルスメキア連合国。

そこは、ウィザードとヒーラーの女冒険者が滞在している場所だった。

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