青空は、異世界でも同じでした。

娘々ノベライザー8975

第1話 卒業式、そして、異世界。

私は、この度。
高校を卒業します。

「ひより、あすか。卒業式、でないの?」

鴨川ひよりと真山アスカは、卒業式に出ていなかった。
何より、学園の講師たちの挨拶や話が長いから付き合うことは無いように出ることは、しなかったのだ。

「え、いやだよ。ゆなは、真面目すぎんよ。ちょっとは、私たちの身になって話してよ。」

立花ゆなは、私の親しいお馴染みで真面目なところが可愛くていつも妹みたいなやつだ。
最後くらいは、キチッと卒業して欲しいのかまなには、悪いけど付き合いが長いから理解されてしまっている。

「あすかは、分かるけど…ひよりは、卒業単位がやばいって最後の試験でやらかしてたよね?誰のおかげなのかな?」

「あ、あの時は、流石にやばってなったけどさぁ。ゆなは、あすかに弱いよな。あたしには、強気なのってどゆことかね?」

二人のやりとりを見ている私は、つい笑ってしまっていた。
二人の笑顔が私にとって、かけがえのない思い出として脳内に書き込まれた。

ーーーをーーしまーーーした。

「ん?ねぇ、今の聞こえた?」

私は、背後から誰かの声が聞こえた。
でも、そこには、誰もいなかった。

「あたしは、言ってないよ?」

「右に同じく。」

ーーー聴覚思念体のスキルを獲得しました。

今、はっきりと耳元で何かが聞こえた。
女性のアナウンスが耳の鼓膜にダイレクトに聞こえたせいなのか、耳鳴りがおき始めた。
その音が段々と強くなる。

「………………?」

二人の話が聞こえてこなくなった。
一体、今の私は、どうなっているのか解らなかった。
だけど、二人は、自分の両肩を掴んで保健室へと連れて行くみたいだった。

「あ…、……っと…から。」

「だい…ぶ?……すか…あ…か?」

耳鳴りのせいで聞き取れたのは、僅かでしかなかった。
保健室の扉を開けると、保険医の人は、居なかった。
それはそうだ、今、卒業式の真っ最中なのだから三人以外誰もいないのだ。

「ゆな、あすかを見ていて。先生を呼んでくる。」

ひよりが保険医の人を連れてくるらしくその場をあとにした。
走っていく音でさえも聞こえなくて頭を抱えて蹲る私。

つらい

つらいよ、キンキンと擦れる音が

痛い

まなは、私の頭を膝枕をして寝かせてくれたのだけど、耳鳴りが辛くてまだ収まる気配が無い。

どのくらいの時間が続いているのだろうか。
耳鳴りは、未だに続いていて頭が割れそうになるほど、痛みを感じさせていた。

ゆなは、私に何かを話しかけていた。

まだ、何も聞こえない状況でまなが何か話している。

私は、辛い痛さを我慢してまなの言葉に意識を集中させた。

「…あすか、わたしね…あすか…と……す……」

私は、そこで意識を失った。
次に意識を戻した私は、驚きを隠せなかった。

空に、翼を持った首の長い生き物が飛んでいたのだ。

さっきから、耳鳴りみたいな音があの翼を持った首の長い生き物から発せられていたことに気づいたのは、少ししてからだった。

「…んえ?」

はっきりと見えている。
飛竜だと思わしきその生き物は、何故か自身のいる場所を旋回しているみたいだ。

不思議な異世界に来たのも、ついさっきだと言うのに何故だろうか。
空を見ていてあることに気づいた。

よく見ると、太陽が三つあるのだ。
ひとつは、赤い太陽。
ふたつは、黄色の太陽。
そして、みっつは、白い太陽。

流石にこの状況であることに気付かなければいけないことがある。
まなが居ないのだ。
確か、膝枕しているはずならゆなの顔が見えるはずなのに、そこには誰も居ない。

「ゆな?ゆなってば、居ないの?」

不安になるあすかは、首だけを動かして見渡そうとする。
すると、すぐ近くでくすぐったそうな声が聞こえた。

「あ、ゆな。居たのね。良かっ……ふぁ?」

「ふぁ?」

お互いの顔を見て驚いた。
そこには、ゆなではなくて…ゆなに似た耳が長いエルフが居た。
あすかは、直ぐに退こうとするが、そのエルフは、頭を掴んで上を指差した。

「あ、動かないで。ワイバーンが見張っていて動けないの。あなたと同じ人が居たけど、何処かに走って行っちゃったけど…残念ね。」

その言葉に顔色が真っ青に変わっていく。
もしかしたら、ゆなに危ないことが起きているのではないかと。
あすかは、ゆなに似たエルフに話をし始めた。

異世界に転移した場合の話、違う世界なら現在に至る経緯の話を。
もちろん、相手は丸っきり理解は出来ないだろうと思いつつも落ち着くには、良い時間を要するだろうと。

「なるほど、ね。最後くらいは、理解は出来るけど。その子は、もしかしたら…近くのワイバーンの巣に向かっているかも。」

方角的には、北に走って行っちゃったまならしき人物を探すためにそのエルフと一緒に行くことになった。
ただし、ワイバーンの活動時間外の夜になってから向かうことになったのだけど。

「ゆな、無理はしないでね。私に何かを話しかけていたのを聞くまでは、生きていてよね。」

私の異世界に転移した話は、これからも続くのだろう。

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